第35話 一行はダンジョンに行きたいようです?
その後、晩御飯も終わっていたのにラーメンを食べに行ったことがバレた俺はクロやウシオ、かえでとシルバーも次の日連れていくハメになったのだった。
「わーい、らーめーん!」
「お?兄ちゃんも隅に置けないねぇ、昨日も女の子二人連れて来たと思ったら今日はさらに四人も・・・って姉御、久びさじゃねぇか?」
「なんじゃ、ラーメン屋と聞いてもしやと思ったがシバではないか。」
「店主さんと知り合いだったの?」
「うむ、こやつとは前に温泉街を訪れた時に知りあっての。野盗めいた真似をこの妾に働いたので返り討ちにしてやったのじゃ。」と軽く睨んだ。
「姉御のおかげで改心したんじゃねえか!」
「ふん、貴様の息子に庇われておらんかったら今頃あの世じゃわい。」
「まあまあ、せめて今日はオレの奢りにしてもらうぜ!」
そう言ったシバさんのご好意に甘えて俺たちはラーメンはもちろんの事、ギョーザや炒飯に加えて気合を入れた彼女の様々な中華風の炒め物をご馳走になり食いきれないのでクエストに行っていたアリスや旅館の厨房を借りて練習に励んでいたライラも呼んでさんざんご馳走になってしまったのだった。
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次の日。
さて、みんなのリラックスにもなっただろうしそろそろ次の目的地に向かうかな・・・と言っても広いこの大陸だ、何か指針でもあればいいんだけども。
「でしたらユウスケ様、ダンジョンに挑むというのはいかがか?」
「おー、異世界モノの定番だね!」
「定番なのか?よく知らないけどどんな感じなんだ?」
「ふむ、ではこの不肖アリアドネがご説明致しましょう!」
この世界にはダンジョンと呼ばれる魔物の巣窟が存在する、大きく分けて二種類。
古来から存在する遺跡や古城、人が寄り付かないような所にあった洞窟などに魔物が住み着いてしまい様々な種の巣となってしまったパターン。この場合は罠などがあっても既に破壊されていたり魔物や人が掛かって破られている場合が多く、宝物などには期待できない。
もう一つはダンジョンコアと呼ばれる巨大な魔石によって迷宮が生成されるパターンだ。
ダンジョンコアの発生には諸説あるが一般的には大型の魔物が死んだ後、その魔石が魔力溜りからどんどん力を蓄えていくと何かのきっかけでコアへと変異しそこを最深部として周囲をダンジョンに変貌させるのだと言う。
この場合迷宮は一つの巨大な生き物のように生命力を渇望するため周囲の魔物や人間を引き寄せようとおいしい宝物や餌で釣るのだと言う。多少内部を壊したり罠を発動させてもダンジョン自体が修復してしまうためどんどん新しいトラップや魔物が生成されるが、同時に希少な武器や防具に中には特殊な魔道具さえ生み出される場合がありそれを狙って一攫千金を夢見る冒険者が後を絶たないらしい。尚、中で死んだものは栄養として吸収されるため骨さえ残らない。
「そして後者の場合は必ず最深部にコアとなった大型の魔石がありますのでそれをダンジョンから切り離せばダンジョンの完全制覇となるのです!」
「へえ、んでそれを取っちゃうと後はどうなるの?」
「するとそこは宝箱や罠が復活しなくなる先に説明したようなダンジョンとなるのです。でも中には普通の遺跡や森がある日出現したダンジョンコアによって活性化しダンジョンへと変貌してしまう事もあるらしいです。ちなみにダンジョンコアは高く売れますが滅多なことでは取ってしまわないというのが暗黙のルールであります。」
「どーしてだー?」
「宝物が新しく生まれないからです。大規模なダンジョンの中にはそこで発生する宝物や魔物を利益として発展した街が生まれる場合が多いですからね。特に近場では隣国の迷宮都市が有名です、我らが傭兵ギルドの本部もあるんですよ?」
「よし、じゃあ次の目的地はそこにしよう!」
「悠介珍しくやる気じゃない?」
「俺この世界の魔道具が面白くってさ、珍しいものが出れば一攫千金になるぞ?」
「では決まりじゃな、出発は何時にする?」
「ウシオ院。」
「なんじゃそれは。」
あとはみんなで話し合い、その日の正午にはまた準備を整えて隣国、【エルフの国ツーパ】へと進路を定めて俺たちは出発したのだった。
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「彼奴らは獣王国からエルフ森林国へと向かいました。」
「さらに仲間も増えたようだな。」
「はい、近距離戦力となるオセロメーが加わったようです。」
「まあ良い、監視を怠るな。同時にやつの目はこちらが敵対した瞬間逃げられなくなる、余計な手は出すな。」
「畏まりました。」
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