第33話ポロリもあるんですか?※詳しい描写はしないよ?
「「「いらっしゃいませ!ようこそギョウブの湯へ!」」」
入口にズラっと並ぶ多種多様な獣人の中居さん達に出迎えられる俺たち。やたら日本風なのが気になるのは俺だけだろうか。
大きなロビーでは高級旅館らしく騒ぐものもおらず、むしろ小金持ちのような人からキャピキャピする我がパーティがジロっと見られている節もある。
「みんな、こういうお高いところでは騒ぐなよ?特にクロ。」
「へ?ダメなのか・・・。」
「俺と手繋いでような?」
「うんー。」
こうしていると見た目相応なちびっ子にしか見えないんだけどな、その実一人で国を襲うことも出来る
出会った時から心の成長も早いのか、当初は言うことも聞かずよくかえでや俺に窘められることも多かったが今じゃ自制も覚えるようになってきた。
暴れられないストレスも解消してやらないとな、落ち着いたら何かいいクエストがないかこの街のギルドに行ってみよう。
その後案内された団体用の部屋は見事なまでの離れの一等室であった。【マツの間】とか書いてあったしやはりウシオか誰か日本からの
「いい部屋じゃのう、派手さだけでなく侘び寂びも抑えているあたり妾好みの部屋じゃ。」
「へ?ウシオがプロデュースしたんじゃないのかここ。」
「一回しか来たことないと言うたであろう?確かにここまで日本人の干渉を感じればそう感じるであろうがの、恐らくは妾以外の者が転移してきた結果じゃろうな。」
「温泉旅館経営チートってか?どんな技能があればそんなこと出来るんだか・・・。」
「なーなーすごいぞ悠介!この家の外に出るとすぐお風呂だぞ!」とクロに引っ張られて言った先はいわゆる各部屋に添えられた家族風呂というやつだろうか?入口の反対側にあるドアを開けた先は湯気立ちのぼる立派な露天風呂が用意されていた。
「一番風呂は妾が貰うぞ?」と既にタオル一枚のウシオがしゃなりと入っていった。
「じゃあ二番はクロだぞ!」
「え、もうお風呂はいるのー?」
「ほなウチももらおかなー」
と次々声を上げるみんな、珍しく大人しいのはシルバーとアリスくらいだった。
「どうした?みんなと一緒に入ってくればいいだろ?」
「わたくしはそもそもお風呂に入る習慣もありませんからね。」
「ボクもです。」
女神はいいとしてアラクネは風呂に入ったことがないのか・・・?
「確かに以前酔った時はかえで様に連れていかれましたがあんまり・・・。この大きな身体もあって湯船のお湯も出てしまいますし。」
「あー!アリスとシルバー見っけたぞ!ほらおふろはいるぞー!!」
そう言ってすっぽんぽんののクロが風呂場から飛び出してくる、それを見ないようにしていると何故か俺まで腕を掴まれていた、わざわざ魔力を物質化させたもう一本の腕で。
「ちょっと待て!俺はマズいだろうが!!」
「ん?ユウスケは食べたことないぞ?それよりお風呂はみんなで入るものってカエデも言ってたぞ!」
と脱衣所を走り抜け、そのまま俺を抱えて湯船に飛ぶクロ、当然頭からダイブする形となった。
ざっぱーん。
「あらあら、ユウスケちゃんも男の子やなぁ?やっぱ我慢できなかったんやね♡」と俺を救出するライラ、当然タオルすら付けずに全裸である。
無理矢理連れてこられたアリスとシルバーは同じく服を着たまま湯船で目を回していた。
「クローーーーッ!!」
「わーい、みんなでおふろたーのしーぞー!!」
「祐介に裸を見られるのも今さらだし悲鳴も出ないわね・・・。」
「こういう時は風呂桶をぶつけられるのがセオリーなはずだけど。」
「皆羞恥心というものが見事に抜け落ちておるのう・・・。はあ、冷酒が美味い・・・。」
結局全員の裸を見ることになったが真っ赤になっているの俺だけであった、どうなってんだこの異世界は。
あとライラはくっつき過ぎである。ほらかえでが対抗して逆側にくっ付いて・・・いつの間にか装備が脱がされてるし。
「やっぱカエデちゃんとユウスケちゃんはええ仲やったんやな?ウチが告白しても
「それはもう女にされたもの?」
「やめて恥ずかしい。」
「えっホンマに!?」
その後は俺を挟んでのガールズトークが展開されたので俺はさっさとクロを洗ってやると風呂を後にしたのだった。
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「ほーら動くな、髪まだ乾いてないだろ?」
「えへへーなんだかふいてもらうの気もちいいぞー♪」
もう今更ドライヤーがある事にツッコミは入れなかったがクロは嫌がるのでやめた。代わりに
ブラシで髪をとかしてやると意外なほどサラサラで美しいのがわかる。普段はかえでの真似をしてオレンジブロンドの長髪をポニーテールに纏めてるのだがこうして下ろしていれば正統派美少女だな、白いワンピースとか似合いそうだ。
「ユウスケもクロの髪すきか?ママと同じ色なんだぞアタシ!」
「そうだったのか。」
「うん!!ママもアタシの髪をそういうのでサッサッてやるの好きだったな。クロムの髪はキレイねって!」
そういや下の妹も俺に髪を解かされるのが好きだったな、大きくなってから恥ずかしがってあまり頼んでこなくなったけど。
こうしてこの世界のみんなと楽しく過ごしていると日本でかえで以外からはあまり相手にされなくなってたなとふと考える事がある。確かにかえでと共にいることで家族以外、いや家族すらもまともに俺に接してくれなかった世界よりこっちの世界の方が・・・なんて思ってしまう。
これじゃかえでに見せてもらった異世界ラノベの主人公と一緒じゃないか。
なんて考えながら夕暮れの暖かい日差しの中でクロを抱えたままうつらうつらと船を漕ぎ、畳の上で居眠りしてしまったのである。
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