第27話 告白はマジで初めてなんだが!?(悠介談)

「これはせめてものお礼っちゅうやつや!たんと食ろうてな?」

「これは・・・!?」

「さっきの化け物烏賊よ?」


ここはオセロメーのライラが下宿するアングィラ海上都市にある宿屋の食堂。

彼女は「助けてくれたお礼っちゅうわけやないけど」と俺たちを食事に招待してくれたのだ。宿屋に着くや否や背負子の様なものを背負ってどこかに走っていったかと思うとすぐ戻って来てさっさと台所に入っていってしまった・・・ん?今両手と背中に・・・。


そうして今、俺たちが座ったテーブルには数え切れないほどの皿が運ばれてきたのだ。

こんがり焼かれ魚醤のようなソースを掛けられたステーキ、透明でプルプルと光を反射するイカそうめん、黒い艶とニンニクの香りがたまらないイカ墨パスタ、シンプルに塩のみで味付けされた塩辛、中にイカ墨で黒くなった米のようなものが詰め込まれたイカ飯、ワタとゲソにエンペラを香ばしく絡めて炒めたわた焼き、イカの他にも様々な海の幸を散りばめたブイヤベースに海鮮パエリア、他にも俺の知らないような様々な料理のオンパレードである。


「すっごーい!!ぜんぶうまそう!!」

「ホントに凄い!私たち30分も待ってないよね??」

「ああ、これ全部ライラが?」


と、最後にこれまた美味しそうな串焼きを運んできた彼女に問いかける。

宿屋に戻って普段の格好をしたらしいがやはり水着のような露出度で、そこに上から白いエプロンを着けている。

ほんとこの世界は当たらなければどうということはないを地で行くような装備の子ばっかじゃないか?駄女神の指針なのか?


「もちろんウチ一人じゃアカンわ、食堂のみんなも手伝ってくれとるし。」

「にしたってレパートリーからなにからビックリでさ、これホントに俺たちが倒したクラーケンなのか?」

「もちろん!ヤツは新鮮なうちがいちばん美味いからはよ食べよ?な!」

「「「「いただきます!!」」」」


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感想は、この世界に来て食べたもので一番美味かった!!

最初はさっきまで目の前でウネウネしてた軟体生物が美味いのか?と訝しんでたけど串焼きを一口食べた途端にプリプリの身が口の中で弾けて旨み溢れる雫でいっぱいに・・・!!

あとはもう皿まで食らい尽くす勢いでみんな食べ始め、気付いた時には空っぽの皿と満足気な顔で笑顔をこぼす仲間たちの姿があったのだった。

ウシオとシルバーは残った塩辛とイカそうめんをツマミに酒を飲み始めていた。


「いやー、こんな気持ちよう平らげてくれたら作った甲斐があったっちゅうもんや♪みんなお腹すいてたんやなぁ。」

「いや、ホント美味かったあの化け物イカがこんなに旨い食材だなんて・・・これがライラの腕前なんだな。」

「んへ?もう・・・そんな火の玉ストレートで褒められたらお姉さん参ってまうわ///」

「んん!?ちょっと悠介!」「どうしたかえで。」

「ライラさんの親密度が基準を突破しましたのでテイム可能ですって。」「テイム?!」


その後食事の後片付けをみんなにお願いし、俺とかえではライラにテイムについての説明をすると、


「なるほど、テイムはようわからんけどウチの力が強うなるなら拒否する手はないわ。親密度?もようわからん、かな?」と、俺に熱っぽい視線。

「ほんとにモテモテね悠介は・・・。」

「えっ、また俺のせいなの?」


現在かえでの使役するのはアラクネのアリアドネ、クロムドラゴンのクロ、タラスクのタラちゃん、そして既に契約済みのオセロメーのライラである。

タラスク以外はかえでじゃなく、俺への親密度?が基準を超えたためテイム可能となったのだ。

もちろんテイムしたかえでへのステータスとスキルのフィードバックがある為、彼女も他に見劣りするような強さでは無いのだ。


「ユウスケちゃんにしてもかえでちゃんもえらい強さやったもんな・・・アレ見たらB級でふんぞり返っとるヤツらも裸足で逃げ出すんちゃう?なんだったんあの手を振っただけでクラーケン纏めてイカ飯みたいに輪切りになったやつ。」

「ああ、俺の魔法だよ。」と俺は最小出力でテーブルに置いた魔石を【水切ウォーターカッター】で真っ二つにして見せた。

「まさか!?魔石を壊せる程の水の魔術やなんて信じられへん・・・。」


魔石は魔物の素材だが、どういう訳か燃やし尽くしても全身なます切りにして他の素材がダメになったとしても魔石だけは回収できるほど頑丈だ。大男が固定した魔石に全力で剣を振るっても傷をつけるのがやっとでヒビさえ入らないが、魔力を消費したあとは欠片も残さず消え去るらしい。


「ウチは決めた。」「何を?」

「そら勿論ユウスケちゃんのお嫁になることやわ、ウチらオセロメーの本懐は強いオスとその血を継ぐつよーい子を残すこと!その為にウチら女は豆粒みたいにちっちゃい頃からオカンから料理の四十八手を叩き込まれるんやで?オトコを射止めるには胃袋からってな。」

「「「お嫁さん!?」」」


そこで反応したのはかえでを始めとしたパーティの面々。

・・・俺は鈍感じゃないが何もせずにその場からどっかに逃れたいと思ったのもこの世界に来て初めてだった・・・。

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