第28話 暗躍してる人がいるようですよ?
~???視点~
「・・・以上、【
そう言葉を切り、退室していく茶色い頭全体を隠したターバンにこれまた足先も見えるか怪しいマントを羽織った人物。そしてそれを見送る無精髭の厳つい男と一人の女。そこはどことも知れぬ窓一つない執務室のような場所だった。
「・・・どう思われますかライル様。」
「そんな者『有り得ない』の一言に終わるであろうが、そんなこともわからぬのか貴様は!!」
報告に上がったのはやれ新人冒険者として登録したその日にレッドキャップ共のキャンプを一つ壊滅させた、毒竜の小娘を誘導し王国目掛け放ったのに無力化した、クラーケンの群れを焚き付け襲わせた港街でもあっさり返り討ちにした等々そんなものA級冒険者にも出来ない事だ。しかも毒竜に襲われ瘴気に侵された国王もそんなこと無かったかのようにピンピンしているという。
「それも【漂流者】である可能性があるならば話は別だ、仲間諸共ひっ捕らえてオレ様の元へ献上しろ!!勿論同行しているというウシオのやつも必ずだ!!」
「しかし相手はただの冒険者の上、パーティーにはその【
「構わん、何がなんでも罪をふっかけ捕まえろ!仲間の誰かしら隙のあるやつの一人くらいはいるだろう。」
「なるほど、他は全員女なので自然とエドガワ本人も着いてくるという事ですね。実行致します。」
「勘だけはいいと
女は一瞬頬をひくつかせたものの心乱すことなく頭を下げてその場を立ち去る。
ーーーここは獣王国首都、【百獣】の執務室である。
~悠介視点~
「ちょっと待て!!」
「ん、なぁにユウスケちゃん?ウチに早速甘えとうなった?」
「違うわ!なんで俺をそこまで気に入ったんだよ!?」
「女に言わすんか?いけずやなぁ♡」
とパサッとエプロンを外してしなだれかかってくるライラ。野生みのある臭いなどは一切せずに独特の淡い香水のような香りが俺にまとわりついてくる。
「命を救われた上にその相手をウチの身を気遣った上で手こずること無く倒す。そんな強者に出会えただけでウチはもうメロメロなんよ?もしかするとぉパーティにもそういう子がおるんちゃう?」
・・・今二人ほど反応したな。
「ぼ、ボクの家族はユウスケ様に身の危険どころか貞操の危機を救われたのです!なればボクが忠義を尽くすのは当然でしょう!」
「そうよね!私だって昔祐介に救われたのよ?」
よくわからず見ているクロと昼メロでも見てるかのように人を酒の肴にするウシオと駄女神。
「なあなあけっこんってなんだ?」
「お嬢ちゃん?それはオスとメスをね、パパとママに変えるめっちゃ幸せな事なんよ?」
「めっちゃはわからんけどなんかいいなそれ!ならアタシもユウスケとけっこんするぞ!」
「クロちゃんにはまだ早いの!」
「なんだとーアタシもう135さいだぞ!」
なんでテイマーとドラゴンで争ってるんだよ・・・。
ん?いま【
更に熟練度を上げた俺の【探査】はスマホとも連動し、探査範囲に赤いビーコン、つまり敵対する人間・魔物などが侵入するだけで反応するようになったのだ。
更にある程度は相手が何者かまでくらいならわかる。例えば
「ちょっと腹ごなしに散歩行ってくる。」
「・・・ユウスケちゃんこの街初めてやろ?ちっとばかし案内したるよ?」
「あっズルい!私も行くよ!」
「かえではみんなとここにいてくれないか?」
最初俺一人でと思ったがライラの目を見れば俺がなにか察した上で分かってくれていると見て取れた。ウシオも酔ってはいるが理解してくれているようだ。
「ウシオ、
「・・・心得た。」
「なんなのもう。」
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「ユウスケちゃんも察しがええんやな?今騒ぎが止んで細々人が戻っとる時になんかアカンやつも来たってようわかったな?」
「それも俺の魔法なのさ。・・・アイツだ。」
それはサルにほぼ近い獣人の女性だった。見れば目は虚ろでまっすぐに俺たちのいたライラの下宿に向かって歩いている、目の前にいる俺たちなど目にも入らない様子で。
そして俺たちとすれ違いしばらく進んだところで倒れた。往来の真ん中で人が倒れたのだ、すぐさま周りにいた人たちが大丈夫かと駆け寄ってくる。
そして俺たちは気付かないふりをして裏道に曲がった。
「何コレ。」
「んー、十字架?」
【
直接手に触れないようにしてフワフワと浮かせてから【
これは女神の鑑定スキルを参考に作った上位魔法でスマホに鑑定結果を直接表示する連動魔法だ。
『【制約の十字架】これを渡されたものは予め込められた命令の通り動かざるを得なくなる強制行動魔道具です。』
『現在この魔道具に込められた命令は【ユウスケ・エドガワに付きまとう女どもを観察し、一人になったものに対して「突然突き飛ばされた上に財布を盗られた」とでも言いがかりをつけ衛兵を呼べ】となっております。装着者は【探査】範囲外より強制的にここへ走る事も命令されていたため魔道具を外された途端に息絶えました。』
との鑑定結果だ。
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