第20話 ドラゴンが仲間になった!・・・んです?
クロム
【
【ドラゴン族スチール種毒持ち亜種】
ドラゴンの中でも上位に入る強力な種である。すらっと細身な身体はダークグリーンの艶が美しい鱗に覆われ、金属を帯びているため並の地竜などでは歯が立たないほど頑丈。
翼は無いが黒い魔力を凝固させて飛行することが出来、鉤爪の生えた腕を振り回せば鋼の鎧だろうと細切れは避けられない。
尚、クロムが人間のような姿なのは彼女の母親が人間であるせいだ、要はドラゴンハーフなのである。しかし、ドラゴン特有の色濃いオーラを纏った状態ならば例え変化などせずともLvの低い者には雄々しき巨竜にカモフラージュできるようだ。
そのブレスは闇の魔力の影響を色濃く受けているため他の生物にとっては瘴気という猛毒となりうる。
もしあと数日悠介の到着が遅れれば王の命は無かったであろう。
今はまだこの姿のままだが存在進化すれば巨大なドラゴンの姿に変わることも可能だろう。マスター悠介の魔力を主と認め、かえでを介して契約した。
俺はクロムの目線に合わせて話すために片膝を着いて語りかける。
「・・・クロ?」
「うんクロだぞ!!」
「お前ドラゴンなの?」
「そうだぞ!他の
ふんぞり返ったので立派なお胸は強調されまくりだ!ばるんばるん。
ようはこの姿のままで王を含めた近衛隊を返り討ちにしたってことか。
「なあ、クロはなんでここに来た人間と戦ったんだ?」
「えっと、ちょっと前にアタシのパパとパパの妹がケンカしてどっちが強いか戦ったんだ!そしたらパパが負けちゃって妹のドーレおばさんがつぎは人間と戦うぞって飛んでったけど負けちゃったらしいんだ!だから今度はアタシがその強い人間と戦うために来たんだけど・・・どれがその人間かわからなくてウロウロしてたらな、向こうの山で黒いマントをグルグルからだに巻いたヤツから『向こうの大きな城の方にいるぞ』って教えてくれたんだ。」
たどたどしく喋りながら大きく身振り手振りで、獣王国に聳え立つ細長く険しい山で謎の人物に出会いそこからまっすぐと王都を目指していけと教わったらしい。
「のうクロムとやら。」
「なーに?狐っぽいの。」
「ぽいの・・・そのドーレとやらはどんなドラゴンじゃ?」
「えっとね、こんな色のドラゴンだぞ!これおばさんからおまもりにもらったやつ。」と言って何も無い空間に手を突っ込み入れ、
クロ曰く、自分が使えるのは空間を操る魔術と黒い翼、そして身体を包むオーラの鎧と瘴気のブレスの四つだけらしい。
手渡された赤いウロコをまじまじ見つめる
「レッドドラゴンか・・・しかも闇の魔力で空間収納迄こなすと・・・。」
「なるほど、じゃあクロ。お前の倒したい人間はもうお前がやっつけたみたいだぞ?ブレスでここに来た人間倒したろ?」
「ホントか!?」
「ああ、その人間が
そう聞くと年相応の満面の笑みで喜ぶクロ。
ウシオからはすまなそうに目配せが来たのでこっそり「貸一つだぜ?」と言っておいた、物凄い目で睨まれたが。
「そっかーじゃあじゃあアタシはあのお城に行かなくっていいってことか?なんだ、つまんないな。」
「その山にいたヤツは他になにか言ってたか?」
「うーん、もし誰も戦ってくれなかったらお城を壊したらもっともっとまっすぐ行ってその先の町も壊しちゃえばそれだけで強いってみんな認めてくれる?だっけな。」
俺とシルバー、ウシオは顔を見合せ頷きあう。
「よしじゃあクロ!俺とその山に行こう。」
「わかった!なんでだ?」
「その山にいた奴はクロに
「えっ、そうだったのか!?そんなの許されないぞ!」
「しかもそいつは俺やウシオ、ここのみんなの大切な家族がいる町やお城を壊せって言ったんだぞ?そこを壊したら死んじゃう人も多いのに、だ。」
「そうだったの??よし、クロに任せろ!そいつやっつけるから!!」
「でも。」
「でも?」
「その前に俺と城に行って何か美味いもの食おう!」
「やった!アタシお腹ペコペコだ!」
たしか悠介は小さい妹いたし、子供と遊ぶの好きだったっけな・・・とニヤニヤしながらその背中をかえでは追いかけるのだった。
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