第17話 ダチョウがサイに進化するんですか?!
盗賊とエセ商人の元から王都方面へ向かい一日後、あとたっぷり二日はこの街道を行かないと着かない距離らしい。
完全に暇を持て余していた俺は試しにかえでにテイムしてもらった盗賊の頭が乗っていた地竜を馬車に併走させていた。
まあ、馬はほぼ歩いているんだが。
「よーしよし、案外乗り心地は悪くないな。」
「曲がりなりにも竜種であるには違いないからの、しかも
今の御者席にはウシオが座っている。
元世界の馬車の手網がどうなってるかは知らないが、こちらの物は一種の魔道具である。魔力さえ込めていれば余程下手な者でない限りは暴れたりせずに命令を聞かせ、さらには馬の負担も軽減するらしい。
もちろん魔道具であるからには等級も関わってはくるが。
「ん?かえで、なんかこの地竜おかしいぞ!?なんだか息が上がって震えてる感じだ。」
「え?ちょっと待って。」
そこで馬車と地竜を止める。
みんな馬車から降りてきたので俺も地竜から降りるとその場に蹲ってしまい、息も荒くなってきたようだ。
「ふむふむ・・・わかった!この子進化しそうなんだ!!」
「おお、
「ええとですね、地竜の場合は進化することで上位種の
たまに女神らしいこと言うな・・・。など考えていたら俺の頭を読んだらしいウシオが吹き出した。
「うわ、ウシオちゃん大丈夫?・・・とにかくやってみるね、じゃあ行くよタラちゃん!」
「それはやめろ。」
かえでが触れて目を閉じるとたちまち彼女と地竜が隆起してきた地面に包まれてしまう。
そして中からの光が土の壁を吹き飛ばすとそこには先程までとは全く違う姿へ進化した四本の立派な脚で巨体を支える甲羅を背負った地竜、いやタラスクがそこに居たのだ。
元の状態で馬程度のサイズだったのに今はもう象のような大きさである。
「これは凄いな・・・。なんというか、威圧感はもちろんだけど内包する生命力みたいなものも上がったように感じる。」
「おお、妾も魔物の進化などじっくり見た事なぞあらなんだ、してかえでよ間近で見た様子はどうであった?」
「ん?ボワッてふくらんでミシミシバーン!って感じだったよ?」と、小さくまるまってから両手両足を広げてのジャンプでなにか伝えてこようとする。
「・・・確か悠介は幼馴染だったの。」
「・・・ああ。」
小さい頃からの苦労をまさか異世界に来てから理解してくれるものがいるとは思わなかった・・・。
「おお凄いですねぇこのタラスクは、ボクもここまでのレベルの個体は初めてです!」
「そうなの?」
「ええ、かえで様。魔物も上位種、しかもドラゴンともなると頭も相当良くなります。ボクが家族と討伐したことのあるタラスクは下位の地竜を率いて戦術まがいの動きをするような奴でした。見ればこの個体は相当頭も切れそうです。」
「思わぬ拾い物じゃのう、馬より此奴に馬車を引かせた方が余程快適になりそうじゃ。」
「たしかに。」
その後馬車はタラスクに引かせることで二日かかる道程を一日半にまで短縮してくれた。
お役御免の馬は一時的に【亜空間】の中で休んでる。王都に着いたら売るのもいいだろう。
「征きます!星のようにタラスク!!」
「それはかえでがその子を投げられるようになったらなー。」
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