第16話 初心者キラーはどこにでもいる?

「ユウスケさんいったいどういうことでしょうか?」とあくまで被害者を装い両手を上げてこちらを睨んでくるユーノ、それにしっかり照準を合わせる俺。

俺たち二人の周りはしっかりと残りの盗賊と丁稚共に剣を向けられている。


「悪いけどお前を嵌めて一網打尽にしてくれってのがギルド長から俺が受けた依頼なんですよ、冒険者キラーのユーノさん?」

「な、何を言って・・・。」

「少し考えればおかしい所はいくらでもあったんだよ、まず王都に大店を持つ商人って設定ならなんで魔道具のカバンマジックバックの一つも使わない?こんな派手にさも襲ってくださいみたいな馬車を三つ用意出来る商人が持ってないのは流石におかしいだろうが。『たまたま持ってきてない』なんて商人の風上にも置けないことは言わないよな?」

「グッ、ぐぬぬ。」


冷や汗を描きながら目だけは周りを見渡すユーノ、まあだいたい考えてる事はわかる。


「二つ目、チラチラ様子を伺ってるのはコレだろう?」と、最初に渡された氷砂糖を見せる。


「なっ、確かに蜘蛛野郎以外は食ったはず・・・。」

「それ何十年前の差別用語ですか・・・」

「そうなのか?」

「ええ、ユウスケ様。今でもたまーに亜人排斥主義者みたいなのがいるんですよ。」


そうしてアリスの峰打ちによりバタバタと周りの取り巻きが倒れた。


「マジックみたいなもんだよ、俺よりあんたの方がこういう小狡いことは得意じゃないか?お前最初に自分で食ったヤツ以外は遅効性の催眠薬でも仕込んでたろ?」


現にしっかり食ったかえでとシルバーはしっかり寝ている。ウシオは・・・寝たフリだろう、寝たフリだよな?


「アラクネが酔うのは甘味じゃなくカフェインだ、砂糖で酔っ払う種族なんて知らん。」

「ボクも知りませんね。」

「わざわざコレを食ったヤツを同じ馬車に集めたのもおかしいからな?あとは寝た俺たちを拘束して奴隷商にでも売っちまえば終わりだったろうに。んな事繰り返してりゃギルドに目をつけられるのもわかりやすい。」


「く、クソ冒険者の分際で・・・


「じゃ依頼はご破算だな。お前にはこれをやるよ食え。」


と催眠薬たっぷりの氷砂糖はさっさと俺の手に【亜空間】アナザーで移してあるので銃を突きつけながら残り全てを口に放り込ん出よく咀嚼させた。


「おーいウシオさん?後どうするこいつら?」

「・・・ハッ、そ、そうじゃのう、意識を借りとってあるならまとめて拘束しておくかの。小鳥を渡しておったろう?あれに書いて放つと良い」

「伝書鳩みたいなもんか。」

「日本には昔から伝書鳩を使った機関も多くあったのじゃぞ?」


逆にスマホとかは知らないんだろうなと思いつつ、殺した盗賊のボスをいつもの如く焼却して埋め他の連中は縛り上げて適当な馬車に突っ込んだ。

黄金糖とやらは結局ただの黄色い染料をつけただけの氷砂糖だったようだ。それも小さな樽にひとつ分だけだ。

他の箱やらは恐らく俺たちを拘束したあとにでも放り込む算段だったのかもしれない。


「・・・しかし我が主ながらこうも簡単な策に落ちるとは・・・。」

「仕方ないだろうな、俺は性格上人を疑ってかかるようなやつだとしても戦争も戦いも体験したことの無いのが俺らのいた国だし。・・・でも女神は大丈夫なのかコイツ。」

「して、二人は馬車を扱ったことは?」


あとは馬車の一つをそのまま貰うことにした俺たちは残りの馬と伝書鳩をバランのほうへ放ってからこのまま王都へ向かうとこにした。


「かえでさん~それは私のお肉ですよ~。」

「はやいものがちだよ~。」


・・・本当は起きてんじゃないのかな?

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