第7話 初めてのお使い?
「あ、ユウスケさんじゃないですか!お加減大丈夫ですか?」
「ええ、起きたらスッキリでしたよ。ご心配おかけしました。」
そして先ほど襲われた件を報告する、聞いてみれば連中は冒険者ランクを上げようともせずに初心者狩りや女性冒険者に粉をかけては被害報告が上がる迷惑なパーティだったそうだ。
「そうですね、宿代の貸しはそれで帳消しということで。それと先日は行えなかったユウスケさんたちのランクの査定を行いましょう。」
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冒険者にはランクというものが存在する。
それは勿論単純にその者の強さを可視化しわかりやすくする目的もあるが、分不相応な依頼を受けて失敗する事態を防ぐための防衛策でもあるらしい。
ランクは上からS・A・B・C・D・Eの順に並んでおり普通始めはEランクから。
強さの指針としてはBランクともなればもはや人外の域に達するということだ、ならばSランク冒険者となるとどんなバカげた力を振るうようになるんだか・・・
ちなみに貨幣価値は白金貨1枚で10万円相当、金貨は1万、銀貨は千円、銅貨は百円ほどの価値で国を跨げば多少の変動はあるものの大きな差は無いらしい。
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「ありがとうございます、それで査定とはどんなことを?」
「簡単なことですよ、ギルドの現役Cランク冒険者を試験官として模擬戦を行って頂きます。勝敗ではなく皆さんの戦い方を見てランクを決めるスタイルです。」
「あ、そうすると魔術師と戦う形になるのかな?」
「私まだペットを捕まえてないよ?」
「わたくしも装備がありません。」
「では一旦保留ですかね、登録事態はしてありますのでEランク相当のクエストなら受けられますよ。それと装備は支給品がありますのでそれをお使いくださいね♪」
その後、ギルドからの支給品と依頼掲示板からクエストを受注した俺たちは早速その足で郊外の森林へ向かっていた。
「なになに、【薬草採集の要請】と【レッドキャップの住処の特定】か。」
「ええ、どちらも森に関する依頼でしたので一度に達成できるかと踏んだのです。」
「あわよくば私のマーイステディも手に入るかもだしね!」
薬草の採集に関しては俺はズブの素人だがギルドで見せてもらった見本の魔力は覚えておいた。それさえ応用すれば・・・。
魔法を発動すると俺の魔力が水面を伝わる波のように四方に広がっていく。
それはステータスにマップと探しているモノ、さらには敵対心を持つモノを点のように表示する探索魔法である。この世界の全ての根幹には魔力が絡んでいる、故に薬草の魔力反応を覚えておけばビーコンとして検索対象を表示できるのだ。
今は半径1キロがせいぜいだが熟練すればいくらでも範囲は広げられるだろう。
ん?
「どうかなさいました?」
「ああ、ここから先で敵の反応だ。なんか4・5人くらいで集まって何か運んでるように感じる。」
「モンスターならテイムか倒すだね!行ってみよう悠介!」
と、貰ったばかりのナイフを振り回しながら走り出すかえで。
「ちょっと待て!敵だとわかってて突っ込むアホがいるか!」
「おまちくださいかえでさーん!」
どこで覚えたのか、ナイフを振り回して薮を切り開いていく楓を追いかけるとその先で木の幹に身を隠した彼女を見つけた。指を手に持っていきシーっというジェスチャーを送ってくる。
果たしてその先には・・・数体の
その虫のようなものは黒いフサフサとした体毛が無数に生えており、日本で言うタランチュラのお化けのようだった。さらに観察すれば白い毛も生えていて蜘蛛特有の大きな腹部も見えてくる。
・・・さらによく見ればちょうど蜘蛛の頭部にあたる場所から・・・女性の身体が生えている・・・だとぉ!?
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