第6話 お約束の展開もあるんですか?

その後俺たちは今後の方針として。


[1、極力この世界の人たちとは深くかかわり合いにならない。チートやらバレると面倒なので。]

[2、Lv上げをしながらまずはこの国の王都を目指す。情報が欲しいのだ。]

[3、そのためにもまずはギルド。情報も欲しいが路銀も欲しい。]


の三つのミッションをクリアすることにした。


「そういやこの宿はどうしたんだよ?路銀はおろか宿泊費だって無かったはずだろ?」

「あー、それは⋯アイムさんに個人的に借りました⋯。病院やら治療院って概念すらこの世界には無いようで。」

「大騒ぎで大変だったんだよ?『新人研修受けた若造が知恵熱出してぶっ倒れたぞ!!』って。」

「早速かかわり合いになってるじゃんか⋯。まあいいや、お金稼がないと彼女にも負担かかるだろうし。」


そうして俺たちは宿を出て再びギルドに向かうのだった。


━━━━━━━━━━━━━━━


この世界の人間とは、普通の人間の他に亜人種を複数まとめて呼ぶことが多い。それでもLvなんてものがあるんだから日本の一般人とこの世界の一般人では別種族に思えるほど力の差があるだろう。


大別すれば人と魔物を分けるのは意思疎通が出来るか否か、更には人間種と敵対しているかどうかが肝になってくる。

以上を加味して人間という括りに含まれるのは


ヒューマン(人間)

エルフ

ドワーフ

様々な獣人

有翼人(天使に在らず)


ラノベにありきたりな魔物娘だのモンスター娘だのクリーチャー娘はこの世界では一部の攻撃的なものを除き獣人族に含まれるのだそうだ。なおそこにはフツーに悪魔族(エレメントとは異なるらしい)やアンデッド系も含まれるというのだから驚きである。

なお、ギルド受付嬢のアイムさんは普通の人間に見えて実は【パピヨン】と呼ばれる蝶の亜人種であるらしい。そう言われればあのメイド服ちょうちょの羽みたいな飾りがあったような⋯。


━━━━━━━━━━━━━━━


「よォにーちゃん!かわい子ちゃんを二人も連れ歩いてお大臣様のつもりかァ!?オレたちねーちゃんに恵まれないかわいそーなパーティに両方分けてくれねぇかなァ??そうしたら殺しはしねェからよォ!!!」

「優しいねぇアニキは!」

「さす人格者!!」


「マジでいるんだなこういう奴ら。」


『ギルドに向かうのに近道をしましょう!』と裏道に入っていったシルバー駄女神を追った俺たち。

その路地を塞いでいたのはオーク、ゴブリン、ワーウルフの三人組であった。


「パーティって名乗ったからにはこいつらも冒険者なのか?」

「そのようですね⋯全く、女神であるわたくしに醜悪な顔を向けないでくださいまし。」


「ああ!?」

「兄貴を舐めてんじゃねぇぞヒューマンがぁ!!オークでも舌が回るほうだろうが!」

「いっつもおめェは褒め過ぎだ!気が緩むじゃねぇか!!」


「うへー、あたし達こんなのにターゲットにされたわけ、確かに美少女だってだけで罪かもだけどぉ?」

「かえで、それ以上は同レベルだからやめとけ。」


俺は指を強めにパチンと鳴らした。

そして、獣人三人組の横を通ろうと後ろの二人に手で促す。


「おい、逃がすわけねぇだろがァ!!二人ともやっちまえ!!」

「⋯。」

「⋯。」

「どうしたおめぇら?さっさと野郎からぶち殺して⋯おいしく⋯いただ⋯へぇ?」


それ以上オークの巨漢が言葉を続けることは無かった。

女神曰く、醜悪な三人組は俺がさっさと氷漬けにしてやったからな。


「うわ、悠介なにしたの?」

「何ってそのままだろ?一応気道は確保したまま全身うすーく凍らせたんだよ。」

「既にそこまで使いこなしているのですね⋯末恐ろしいです。」


【氷結】アイシクル

さっき思いついた氷属性の発展系の魔法だ。薄い氷でいいのなら発動からほぼ数秒で全身凍りつかせられる拘束魔法に近い。攻撃力は無いが気づかれなければ動きを止めるのにこれ以上の良い手はないはずだ。

こいつらはこのまま放置したとしても半日は死なないだろう、ギルドに着いたら報告してやればいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る