第4話 約束 シュウジ編
「はーい、シュウジ様出来ましたよ!私特製、ビーフカレーです。ほらほら、ヨダレ出てますよ?ほらほら食べてください。」
美味しそうだ。見た目、香りどちらも文句のつけようがないほど完璧だ。不覚にも、よだれが出てしまった…
「じゃあ、食べようかな?」
僕は、空になった胃袋にこの光り輝くビーフカレーを注ぎ込む。
「うまっ、これはいける!」
皿を持ち、必死になって口へ掻き込む。その時、僕はふと疑問に思い、つい口に出し呟く。
「この味、どっかで食べたことがあるような…いや、メイさんが私特製とか言ってたし、それはないか」
「メイさん、少しいい?」
僕は、目の前でビーフカレーを上品に食べるメイさんに質問をする。
「メイさんの親御さん、心配しないのか?もう7時だけど…」
「大丈夫ですよ。私、一人暮らししてるのでそのことに関しては全然気にしないでください。」
やっと理解した。僕の家事の手伝いをする理由は、一人暮らしの費用を稼ぐためか。
当たり前だよな。どこの善人が、好き好んで僕の家事の手伝いをするのか。
まぁ、まぁあ、別に僕の事が好きなんじゃないかなんて勘違いはしてないけどな!
と思いつつ、僕は大きなため息をついてしまう。
「ははぁーんシュウジ様、もしかして期待とかしてました?私がシュウジ様、のこと好きなんじゃないかって?」
「な、な、な、何を期待してるだ。そんなことあるわけないだろ!このビッチが」
「ひどっ!」
あっ、やってしまった。
見事に的中していたからついキツイ口調で言ってしまった…
メイさんは、意識がどこかへ行ってしまっているようで「処女なのに」と連呼している。
これは100%僕が悪いやつじゃんか…
「メ、メイさん。ごめん、僕が悪かったよ。」
言いすぎてしまったという後悔から謝ったのだが、メイさんは意識をどこかへやってしまってから上を見てそこからビクともしない。
「なんでも言うこと聞くから機嫌直してくれよ…」
そう言った瞬間だった。どうやらメイさんの意識は戻ってきたようだった。だが、一つ問題が………
「なん、でも?」
まずい。
「なんでもと言いましたね?」
やっと意識が戻ってきたかと思えば、次は不敵な笑みを浮かべる。
僕自身が言った言葉を取り消すなんてことはしない。さあ、こい!どんな要求でも聞いてやる。
「じゃあ、要求しますよ〜。今週の日曜日、一緒に買い物にいきましょう!」
「なんだ、買い物か。ならいいよ。」
「えっ?」
なぜかメイさんは驚いた表情をする。だって買い物じゃないか?食材買って、服買って、趣味の物を買う。それだけだろ?よしっ!無理難題を言われなくて良かった。
「じゃあ、食べ終わったし、風呂入って寝ようかな。ごちそうさま。うまかったよ」
そして、僕は2階へと上がった。
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