第12話

「私たちはアマゾーンという冒険者だ。

 私がリーダーのダニエラ、ハルバートを使う」


「私が盾役で剣士のヴァレリアだ」


「私は元盗賊で斥候や投擲をしているソフィアです」


「私は魔法使いのカルラです。

 もっとも魔法使いといっても初級なんですがね」


 今日はクランの面接日です。

 孤児のネイを保護した翌日に、念願だった女冒険者パーティーが入団を希望してきてくれました。

 私が女なので、しかもパーティーにたった一人の女なので、トイレや眠るときの警備が問題になるのです。

 魔境でもダンジョンでも、トイレと眠るときが最も無防備になるのです。


「私が今日の説明をさせてもらうウィリアムだ。

 今回の入団契約には色々と制約がある。

 理由はポーラの弟子になる者には、知識と技術の秘匿を護ってもらうためだ。

 その事は冒険者ギルドを聞いているかな?」


「はい、聞いています。

 ですがそれはポーラ様の弟子になる私だけではないのですか?」


 彼女たちのうち、カルラだけが私の弟子になるつもりなのですね。


「それだけでは困るのだ。

 ポーラに危害を加えられては困るのだ。

 具体的に言えば、ポーラを直接誘拐するのはもちろん、誘拐の協力は当然として、見て見ぬ振りも困るのだよ」


「それは、随分警戒しますね。

 よほど高度な魔法を使われるのですね」


「いや、魔法自体は中級の上までしか使えない。

 だが、その中級の上の魔法書と魔法巻物を創る出すことができる。

 それがどれほどの金を生むか、同じ冒険者ならわかるだろう」


 四人の女冒険者が息をのむのが分かります。

 カルラは生唾まで飲み込んでいます。

 彼女は、自分が初級の魔法書や魔法巻物を創るところを、思い浮かべているのでしょう。


「眠い」


 私が膝の上に抱き上げていた天使、ネイがぐずります。

 たった一日で信じられないくらい懐かれてしまいました。

 でも嫌な気はしません。

 昨日宿に戻って湯で身体を洗ってあげたら。

 アカや汚れ、悪臭を洗い流したら、天使が現れたのです。

 プラチナブロンドの髪と処女雪のように純白の肌。

 そんな天使のような幼子に慕われてうれしくない人間などいません。

 私は優しく抱きしめてあげました。


「まあ、そういう理由なんで、ポーラに危害を加えないための制約を色々設けたうえで、魔法誓約を交わしてもらう。

 それと基本ポーラの護衛役になってもらう。

 率直なところ、俺たちだけではトイレと眠るときに問題がある。

 ポーラに嫌われて逃げ出されたら困るのは俺たちも同じなんだ。

 護らなければいけないのだが、トイレの時に近づきすぎるわけにもいかん。

 その辺を頼みたいのだよ」


 女四人が噴き出してしまっています。

 ウィリアムには笑いの才能もあるようです。

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