第7話
「ポーラ嬢はジュースや水を飲んでくれ。
こういうところは行儀が悪いからね。
妙齢の女性が酔うと危険なんだ。
退屈だったり眠かったりしたら、部屋に戻って寝てくれ。
ああ、鍵は厳重にかけるんだよ。
合鍵の可能性も考えて、机をドアの前に移動させておくんだよ」
「はい、ご心配ありがとうございます。
助言通りにさせていただきます」
ウィリアム様は本当に慎重です。
狩りの間もそうでしたが、絶対に危険を冒されません。
常に安全マージンを大きくとられます。
お陰で全く危険を感じずに初狩を経験できました。
予定以上に早く自分の手でお金を稼げるようになりました。
「お前は過保護なお母様かよ。
心配なのは分からないでもないが、そういう事はさりげなくやればいいんだよ」
「バカな事を言うな。
何事も本人の自覚、危機感が大切なのだ。
言わずに後悔するくらいなら、言って嫌われた方がい」
「へい、へい、へい。
お優しい事で。
そんな事よりも、乾杯だ。
狩りの大成功に、乾杯!」
「「「「「乾杯!」」」」」
ウィリアム様とイライアス様の役割分担は素晴らしいです!
狩りに同行させていただいて分かったのですが、お二人は双子でした。
積極的な性格と慎重な性格は、意識して役割分担されているのです。
海千山千の冒険者として生きていくうえで、必要に迫られてそういうやり方を学ばれたのだと思います。
それとお二人はかなりの身分出身です。
少なくとも士族を家臣に持つくらいの貴族出身です。
なぜ分かったかというと、仲間の冒険者の態度です。
明らかに主人に対する家臣の態度でした。
それと剣技です。
全員が正当な騎士の技を会得しておられます。
修行のために家臣を連れて、冒険者として魔境やダンジョンに挑まれているのか?
分家も臣籍降下もできないので、自活の方法として冒険者を選ばれたのか?
理由は分かりませんが、貴族出身なのは間違いありません。
貴族士族出身だからと言って、全員が行儀がいいわけではありませんが、海千山千の冒険者パーティーに加わるよりは、よほど安心できます。
それに、このパーティーと私の相性がとてもいいのです。
実力のあるパーティーなのは間違いないのですが、攻撃魔法と治癒魔法の力が弱かったのです。
貴族家主従のパーティーだからなのかもしれませんが、物理的攻撃力に重点をおいたパーティー編制なのです。
今までは魔法薬や魔法書・魔法巻物を購入して足らないところを補っていたようですが、どうしても費用が多くかかりますし、数も十分確保できなかったのです。
それが私が加わったことで、ダンジョン主を斃せたのです。
彼らが喜んで私を迎えてくれるわけです。
だからこそ私も安心できるのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます