第2話
「本気で言っているのか?
本当にそれでいいのか?
後で後悔することになるぞ」
嫌ないい方をしますね。
この男も我が一族の一人です。
先祖返りの私の足元にも及びませんが、人間とは比べものにならない力を持っていますし、私よりも長く生きているだけに、駆け引きは私よりも上です。
なにか隠し玉を持っているのでしょう。
「あなたは一応私の父親です。
問答無用で殺すのは勘弁してあげます。
なにを隠しているのです。
私が我慢している間に話しなさい。
さもないとその首捩じ切りますよ!」
「分かった、分かった、分かった。
全部話すからまずは聞いてくれ。
先祖返りのお前には分からないだろうが、人間の血が濃くなった我らは、家の存続も大切に思ってしまうのだよ。
お前には何の価値もないモノだろうが、俺達には大切なモノなのだ。
だからステファノプロス侯爵家の存続も考えてくれ」
「嫌ですが、嫌と言わさないだけのモノを準備しているのでしょうね」
こいつの考えは私とは相いれないものですが、学んだ貴族の常識からは妥当な考えですから、私に言う事をきかすだけのモノを用意しているのでしょうね。
腹立たしいことですが、聞くだけ聞いてやりましょう。
大したモノでなければ無視してやるのですが……
「今回のヨアンニスのしくじりに、多くの騎士団が巻き込まれた」
まさか!?
あの方のことですか?!
この腐れ外道が!
「殺すなよ!
俺を殺すんじゃないぞ!
これでもお前の父親で、お前の力は十分に理解している
お前を怒らせない範囲で、家の事を考えているんだ。
あの男にも悪影響を出さないように考えている。
あの男に何かあれば、お前はこの国を滅ぼしかねないからな。
落ち着いたか?
落ち着いたらよく話を聞け。
最初に言った王太子に身をまかせろというのは、一つの方法だが、全てじゃない。
俺の思い浮かぶ策は全て教えてやる。
それを使うも使わないもお前の自由だ」
ことがあの方の生死にかかわると言うのなら、話を聞くほかありません。
ステファノプロス侯爵家の事など知った事ではありませんが、あの方の役に立つというのなら利用させてもらいます。
王太子に身を任せるなんて論外ですが、油断を誘って寝首を掻いてもいいのです。
もっとも、あの方に変な噂が聞こえるのは嫌なので、そんな手を使うくらいなら、正々堂々王宮に乗り込んで首を捩じ切ったやります。
「分かりました。
では確認しておきますが、私が選んだ婿をステファノプロス侯爵家の当主にしてもいいのですね?」
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