セカンド

おぼろい

プロローグ bright morning

朝の光が眩しく、少しまだ寒い空気が肌を撫でて、つんとした痛みを感じた。

はぁはぁと息があがり、体に熱を感じる。

景色は変わらず、右を向けば大きな崖と岩たち、左を向けばスギにも似た魔法植物が群を成して生えていた。


生きていると感じる。


この透明な体でも、見えない体を感じれる。


ゆっくりと最後のカーブを曲がる。

ゆっくりとスニーカーだけが見える足を止め、目を閉じ、息を整える。

被っているフードがカサカサと風に揺れている。

ふぅ、と息を吐き、目を開ける。


視界には広大な森と大きな岩たち、そして朝日が神々しく輝いている。

耳にしていたイアフォンを取り、静寂に身を任せる。


静寂


虚無のようにいる自分にとって静寂は愛おしいものだ。

まぁ、寂しいのもまた、事実だが。

ふと、体を見ると透明な体に、まるでコップの水に射した日が映るようにぼんやりと歪んで景色が映っていた。


今、私は微笑めているのだろうか。

いつか、私の表情を見てくれる人はいるのだろうか。


男は佇んだ。

朝は過ぎてゆく。







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セカンド おぼろい @oborogoto6

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