第30話 7日目A:7日目(最終話)


【 7日目 】


 7日目。

「タタタタタタタタタタタタタタタタ……」

「…………」

 翌朝、「タタタタ」と徐々に小さくなっていく音に気が付いて、ワタシは目を覚ましていた。

 ワタシが目を開けるとそこには「よくある天井」が見えており、ワタシは今自分が“仰向けになっている”という事に気が付いた。

 ワタシは『ここはいったい何処なんだろう?』とそう思い、体はダルくありはしたけど、「ゆっくり」と上体を起こしてみせた。

「?」

 と、この時ワタシの目の前には白衣を纏った(まとった)「ふわふわ髪の若い女」と「催眠術師」が立っていた。

 女は「ニッコリ」と微笑み掛けながらに私に言う。

「おはよう御座います患者様。 ご自分のお名前は分かりますか?」

「名前……」

 ワタシは額(ひたい)に手を当ててみては考えた。 ワタシは「乳房」を持っており、長い髪の毛は「ウエーブ掛かった黒髪」だった。

 ワタシは言う。

「分からない……。 ワタシはワタシが何者であるか分からない……!」

 この時ワタシは頭に“痛み”を抱えており、吐き気も覚えてみせていた。 そして視線を横へと移してみせると、自分の腕には「チューブ」が刺さっているのが見えていた。

 女は言う。

「それでは患者様、ご自身の“使命”や“目的”が何かは分かりますか?」

「それなら分かるっ!」

 ワタシは勢い良く答えてみせた。

「ワタシには“やるべき事”があったんだ! そう……! ワタシは“家に帰る”んだ! 実家に帰って父と母とに会わねばならない! ワタシの目的は“それ”なんだ……!」

 “何故帰らなくてはならないのか?”それはワタシにも分からなかった。 しかしワタシは拳を強く握っては女に対して答えてみせた。

 すると女と「催眠術師」は互いの顔を見合わせた。

 それから女はワタシの方へと視線を向けては、こういう事を言って来た。

「患者様、今から私が“アナタが何者であるかの”の説明をします。 アナタはきっと“すんなり”と私の言葉を受け入れます。 それから私達はアナタに対して催眠術を掛けであげます。 アナタは“特定の条件下”に於いて『ピー』という音を聞くと“アナタの内側に居る人物”と会話をする事が出来るようになるのです。 アナタは“その人物”と会話をする事で“本当の自分”を取り戻す事が出来るのです。 理解出来ましたか?」

「……はい」

 意味が良く分からなかった。

 女は言う。

「リラックスをして下さい。 鼻を使って深呼吸をして下さい。 頭が“ボーっ”としてるのは薬で治療をしているからです。 アナタがいったい何者であり、これから何をするべきなのか、私が思い出させてあげますよ♪」

 女はまるで“昔馴染み”であるかのようにワタシに微笑み掛けて来た。

 ワタシは頭が痛かった。 しかし女医の話を聞いていると肩の力が抜けて行っては “気分が楽になる”のを感じていた。 そしてウトウトと微睡(まどろみ)を感じてみせて後、自分がいったい“何者であるのか”を思い出してみせてくれていた。


END

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