第11話 2日目G:次世代破壊兵器
「それじゃあ続いて『次世代破壊兵器』についての話をするわ」
彼女はボクへとそう言った。
「お願いします」
彼女は言う。
「まず『ABCD兵器』って分かるかしら?」
「何ですかそれ?」
「“既に名前が付いている”のかも知れないけれど“私なりの呼び方”よ。 言ってしまえば『A』が一番強力であり、『D』が一番弱い兵器であるとして、『A~D』でカテゴライズをしたものである。 つまりは『A』が『アトミック兵器』、『B』が『バイオ兵器』、『C』が『ケミカル兵器』、『D』が『ディザスター兵器』である」
彼女は続ける。
「例えば『D兵器』……、『ディザスター兵器(災害兵器)』は人類に対して“取り敢えずの混乱”や“文明そのものへのダメージ”はあったとしても、人類はそれから“復興する事”が可能である。 次に『C兵器』……、『ケミカル兵器(化学兵器)』であるのだけれど、コイツは“威力こそは高い”ものの“範囲が限られてしまう”という欠点がある。 逆に『B兵器』……、『バイオ兵器(生物兵器)』はその“範囲こそは広大”ではあるものの“威力はそれほど高くは無い”というのが欠点である。 まあこれら3つは個人の感じ方によってはね“脅威に感じられる順番”ってーのが変わってしまうのだけれども、『A兵器』に関しては別である。 『A兵器』……、つまりは『アトミック兵器(核兵器)』であるんだけれど、コイツの威力はとっても高く、現状“最強である”と言っても良い。 しかしコイツには欠点がある……」
「欠点ですか?」
「ええ、そうよ」
ボクは尋ねる。
「例えば“相手国に報復をされる”とかですか? それとも“戦後も火種が残る”であるだとか?」
「……え? “報復”って何の話よ? 私は別に“戦争兵器としての優劣の話”をしているってーワケでは無い。 ただただ単に“どうすれば全人類を滅亡させ遣る事が出来るのか”の話をしている」
「…………」
ボクは言葉を失った。
彼女は言う。
「『核兵器』は“威力や範囲に優れている”のだけれどもね、全人類を滅亡させる事が“確実である”ってーワケじゃあない。 例えば“ヒマラヤ山脈の山頂に居る人”は無事なのかもしれないし、“どこぞの未開な地域の洞穴(ほらあな)に居た人”とかには関係の無い話であるかも知れない。 また爆心地近くであったとしても“運良く瓦礫(がれき)と瓦礫の間に挟まって一命を取り留める事”もあるかもしれない。 つまりは『核兵器』を使用する事で“文明を滅ぼす事”が出来たとしても、“生き残った人類に遺伝的な変化を齎す事”があったとしても、それでも“人類を絶滅させる事”は難しい。 恐らく、そう確実に、“誰か”が必ず生き残る。 “あと一歩”が足りていない。 それが『核兵器』の欠点よ。 『核兵器』では人類を“滅亡させる事”が出来ないの」
「…………」
彼女は言う。
「しかし私が今回提供しようとしている『次世代破壊兵器』であるのであれば、そうはならない。 『次世代破壊兵器』とは文字通り“次世代の威力”を有しており、それは現状の『核兵器』をも超えている。 コイツは“一つの例外”も無く……、“地球上全ての地上および海上付近にて暮らしをしているあらゆる生きとし生けるもの”を“絶滅させ遣る事が出来る”のよ。 生存能力が高いと言われている虫(ゴキブリ)であろうが何であろうが、“地中深くおよび海中深くにて生息している生き物以外の全て”をね、たった一つの例外も無く“滅ぼし去る事が出来る”のよ」
「…………」
ボクは黙って聞いていた。
彼女は言う。
「どう? 素晴らしい話であるとは思わない? どこぞの僻地(へきち)に居ようがね、誰一人として生き残らない。 例外無く全人類を“根絶やしにする事が出来る”のよ。 それはそれは古くより『人類の悲願』の一つであった“善悪の彼岸(彼岸と此岸)”を……、“良しと悪しとの境”をね、“無くし遣る事が出来る”のよ。 つまりは誰かが望み続けていた“真の平等”というものが、漸く(ようやく)訪れるってーワケなのよ♪」
彼女は笑顔でそう言った。
彼女は言う。
「またこの『次世代破壊兵器』であるけれど、現代人はこの“原理”を知り遣らない……。 まあ“一般的に知られていない”だけであり“極秘に開発されている”のかも知れないけれど……」
と、彼女は急に沈黙をしては固まると、ボクに対して“続きを促すよう”に見つめて来ていた。
ボクは言う。
「(続きを)お願いします」
「OK♪」
彼女はボクへと“意思が伝わった事”が嬉しかったのか(笑顔を見せては)話を続けてくれていた。
「この『次世代破壊兵器』であるんだけれど、“大型化(大規模化)”すれば前述通り“人類滅亡まっしぐら”が可能である。 しかし“小型化”をしたその場合、“暗殺”なんかで有効である。 何故かって? それは“現代人の知らない原理が使われているから”であるからよ。 例えば“ソイツ(小型化した次世代兵器)”を使った場合、その“現象そのもの”は確認出来ても“原理そのもの”までは分からない。 つまりは“ソイツ”が“爆弾であった”とした場合、“爆発そのものは確認出来る”し“犯人っぽい奴の見当”くらいは付けられる。 しかしそれでも“原理そのもの”までは分からない。 それ故、犯人っぽい人物が『ボクが超能力でやりました』と供述しても、“因果関係が分からない”から“法で裁けない”って事になる。 ん~、まあ“実際の裁判”ではどーなるものかは分かりはしないが……」
彼女は言う。
「どうかしら? 汎用性(はんようせい)が高そうでしょう?」
「カーニスさん、それは(具体的には)どういう兵器であるんです? 何かヒントは無いんですか?」
「残念ながら“コレ”に関するヒントはナシよ。 本当に“キケンな兵器”であるからね、ヒントの一つも許されない……」
彼女は暗くそう言った。
と、彼女は瞬き(まばたき)をしては話を続けた。
「それと『小児ガン患者の半数ぐらいを救い遣る術(すべ)』なんだけれどもね、こいつは“全てのガン患者を助けるようなものではない”という事を改めて伝えて置いておく」
「あの……、その“半数”というのは“成功率が50%である”って意味なんですか?」
「ん~、なんと言うか“完全に有効である場合”と、“進行を遅らせる場合”と、“手遅れの場合”とがあるのよね。 分かりやすく言うとだね“ガンの予防接種”って事なのよ。 ほんじゃから既に“手遅れ”である場合では“改善の見込みが無さそうだ”って思ってる」
予防接種だって……? ボクは耳を疑った。
「本当にそんな事が出来るんですか?」
「最近TVで何か(なんか)で医者が“似たような事”を言ってたわ。 だから私の理論はね“正しかった”んじゃーないのかなーって思ってる。 まぁ“私の予想”と言ってもね“18年前の古臭い予想”であるんだけれどもね」
彼女はいったい幾つ(何歳)なんだろうか、とボクは思った。
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