スライム

「おっす。スライム見つけて来たぞ」


赤騎士が言った。


「唐突だな! 何で捕まえたの?」


青魔導師が尋ねた。


「素手で」


赤騎士がドヤ顔で答えた。


「「何で」の解釈違い! ありがちな奴! そういうのいいから!」


青魔導師が叫んだ。


「特に意味はないさ。お前の家に来る途中で見つけたから捕まえたんだ」


赤騎士がスライムをつかみながら答えた。


「徹頭徹尾、全然意味わかんねぇ! ウチに持って来る意味ないでしょうよ!」


青魔導師は頭を抱えた。


「だから意味はないと言っているだろう。強いて言えば、お前に見せた時の反応が気になってな」


赤騎士がスライムを青魔導師の家に放ちながら言った。


「言った! 今言ったよ理由! つか何当たり前のように家に入れてんだよ!」


青魔導師がスライムを追いかけながら言った。


「そりゃお前、一家に一スライムって言うだろ?」


赤騎士が言った。


「初耳! 聞いたことないわ! つか、床がベトベト!」


青魔導師がスライムを捕まえながら言った。


「あーあー、こんなに汚しちゃって。しょうがない奴だな」


赤騎士がスライムを撫でながら言った。


「お前だわ! しょうがないのは! ……もういいよ、帰れよ」


「わかったわかった。じゃあ……青魔導師と仲良く暮らせよ、スラリーナ三世!」


赤騎士は涙目でそう言うと、青魔導師に背中を向けて走り出した。


「ネーミングセンス! つか、置いてくなよ! 連れて帰れや!」


青魔導師はスライムを抱えて走り出した。

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赤騎士と青魔導師 ジョン @jon5

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