読書

「さーて、夕食の片付けも済んだことだし。趣味の読書でも始めようかしら」


青魔導師が伸びをしながら言った。


「ほうほう、何を読みなさるのだ?」


赤騎士が尋ねた。


「うぉい! 何でウチにいんだよ! どっからわいて来た!」


青魔導師が叫びながら言った。


「失礼だな。他人をゴミ虫扱いするんじゃない」


赤騎士がしかめっ面で答えた。


「虫をゴミ扱いしてる奴に言われたくないわよ。で、何の用よ?」


青魔導師が尋ねた。


「特に用はない」


赤騎士が答えた。


「ねーのかよ! 何で来たのよ! 嫌がらせ?」


青魔導師は頭を抱えた。


「違う違う。なんとなく退屈してたから来てやったのだ」


赤騎士が答えた。


「何で上から目線なんだよこいつ! あんたは退屈でも、私はやることあんのよ」


青魔導師が手元の本を開きながら言った。


「読書など、別に必要不可欠なことではないであろう?」


赤騎士が首を傾げながら言った。


「いやモノサシ! モノサシが自分寄り過ぎる!」


青魔導師が嘆いた。


「まあいい。僕も一緒に読んでやろう」


赤騎士が青魔導師に寄りながら言った。


「だからなんで上からなんだよ! つーか一緒に読むってなんだよ……って、臭っ! あんた臭っ!」


青魔導師が鼻をつまみながら言った。


「そりゃそうだろうよ。さっき、ニンニク油そば食って来たばっかなんだから」


赤騎士が息を吐きながら言った。


「やっぱ嫌がらせじゃねぇか! 口を閉じろ!」


青魔導師が涙目で訴えた。


「わかったわかった。で、何の恋愛小説だ?」


赤騎士が尋ねた。


「何でジャンル限定してんだよ! 推理小説だよ推理小説!」


青魔導師が叫んだ。


「……なんだ、つまらん」


赤騎士はうつむいた。


「お前よりは面白いわ!」


青魔導師の趣味の時間がつぶれた。

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