第6話 おかえりなさい。

結局7歳になったが誰も俺のことを迎えには来てくれなかった。まぁ俺みたいにコミュ力が無くて人見知りな人間は嫌だろう。

 そう思っていた。

 夜になりそろそろ寝ようかなと自分の部屋に戻ろうとしたときだった。

 急に孤児院側のドアがノックされた。

 シスターはこんな時間に誰だろうと不安がっていた。

 俺もカイトからもらった短剣を懐に隠して、一緒に様子を見に行った。

 ドアが開くとシスターが嬉しそうな顔で俺の顔を見た。

 そこにいたのはカイトとハルだった。

 俺があげた指輪をふたりともしてくれていた。そして、ハルは俺の顔を見た瞬間駆け寄って抱きしめてくれた。

 それが嬉しくて俺は大泣きした。

 その後2人とこれまでの話を一緒にした。

 それこそ夜が明けるまでずっと。

 2人は遠征に行ったあと、王様の護衛とドラゴン退治で大活躍をしたらしい。

 王様暗殺計画があることをたまたま寄った酒場で聞いたカイトが、信頼できる数人の仲間とともに防ぎ、真犯人を捕まえたとのこと。ハルはドラゴン退治で、ドラゴンにとどめを刺すような魔法を繰り出したり、他の兵士等の怪我をその場で一瞬にして直したりと言った活躍をしたということを聞いた。

 俺は俺でカリンが国の軍隊に攫われたこと、悔しくてずっと剣技を勉強したり、体作りをしていたことを話した。

 最初カイトは驚いていたが、話を聞いて頭をなでてくれた。

 何より嬉しかったのは、2人が結婚したことだった。

 2人は護衛とドラゴン退治から帰ってきたあと領地と爵位をもらったらしい。

 そのタイミングで離れ離れになる事に気づいたカイトは一緒になりたいとハルに告白をした。

 それを聞いた王様は自分の命を守ってくれた功績とドラゴン退治で活躍した功績を持つ2人が一緒になることが嬉しかったのか、本来血筋にしか与えられない公爵の爵位と王都カ―ルディアスほど近いところに広い領地をくれたらしい。

公爵の爵位をもらうために、2人はカリディア王家の養子となったので、カイト・カルディア公爵と、ハル・カルディア公爵夫人という名前に変わったのも教えてもらった。

 公爵家の人が教会に来たと、シスターは笑いながら2人をいじっていた。

 2人はそれからが大変だった。結婚式を上げたあと、領地についていろいろ調べてみるたらでてくるわでてくるわ。元々いた貴族がとんでもない運用をしていたらしく、土地を取り上げられ国外追放になり、王家直轄地になっていたこと。そのせいで領民たちは貴族にあまりいいイメージがなかったため、イメージアップのためにまずは他の公爵家の人たちに知識を貸してもらったりとあたふたしていた。

 そのせいで去年の誕生日に来ることができずじまいだった。さらに今年も前半は一昨年までの不作で税収が落ち込んでいたため、領民の収入安定と税収のアップのためにと公共事業を行ったり、となかなか時間が作れず気づくと今日になっていた。

 いつもは2人だけで動けていたが、今じゃ公爵家の二人になってしまったため、俺を養子に入れることを王様に報告したり、俺の迎えだと馬車だなんだと用意に時間がかかってしまったためこんな遅い時間になってしまった。

とのことだった。

 正直理由なんてどうでも良くて二人が生きていただけで俺は嬉しかったと伝えると、2人は本当に幸せそうな顔で泣いてくれた。

 ただ今日はもう遅いとのことで俺を引き取るのは明日になるらしい。

 2人はこの後の予定を全てキャンセルしたらしく、カイトと2年ぶりに一緒に風呂に入ることにした。

 湯船に浸かりながら2人は思い出話に明け暮れた。そしてカイトは俺がカリンのことを好きなことに気づいていたことを話し始めた。

 恥ずかしくて顔を真赤にしていると二年前のお返しな!と言われいじられる。

 カリンと去年のこともあって2年間ずっと落ち込んでいたが、雪解けのようにそれがなくなってきた。

 次の日、カイトとハルは正式に俺の後継人……というよりは親として認められ、俺はエリク・A・カリディアと名前が変わった。

 荷物をまとめ馬車に乗ろうとしたとき、シスターに呼ばれたためシスターのもとに向かった。

 シスターは少し寂しそうな顔をしていたのでシスターを抱きしめた。

 シスターは俺の顔を見て笑うと、こういった。

「主神アレア様のご加護がありますように。」

……忘れてた。そういや俺この世界救って元の世界に戻らなきゃだった。

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異世界を救う代わりにたくさんチートをもらうなんて卑怯じゃないですか?僕はそう思いませんけど。 @mamepu_paip

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