03.プロローグ

具体的な数字を言うと年齢がばれてしまうので、あえて言葉を濁して言います。


当時は携帯電話がガラケーでテレビがアナログ放送だった時代になります。

その時私は十代そこらの少女でした。


十代そこらの少女でいたので、当たり前のように当時の私には気になる男子がいました。


彼はもちろん顔がよくて、お喋りはたどたどしいけど、愛嬌のある素敵な声をしていて、引っ込み思案であるけど、気配りが良くきく人で、面白みに欠けると言う人がいるけれど、言い換えればクールな人です。それと他の男子と比べて背が低かったのですが、むしろそれが良いとさえ思っていました。


そんな彼の全てを私は愛していました。


当時は今と比べるとお笑いブームでした。

彼もその性格とは裏腹に意外とお笑い好きなようで、無理して芸人の真似なんかしたりして人を笑わせようと必死だったと思います。そういうところだけは、どうかと思いました。


そんな彼の名前は、暗弩撃ヤストラ。


変わった名前に見えるのは、偽名にしたからです。彼に迷惑を掛けるのは私の信条に反する事なのでこういう手段をとりました。ちなみに中二病的ネーミングのセンスは彼からの影響でしょう。


とにかく私は彼の事が好きでした。


彼が存在するだけで、それだけで嬉しかったので、好きですけど、付き合いたいだとかはおいそれと考えようともしませんでした。


それに当時の私は自分に自信が無かったので、彼の傍にいる事は許されないことだと信じていたのです。


ですが、彼の傍に他の女子がいるのは許しません。


彼は一人でいるだけで素敵なのです。

私は孤高でいる彼が好きだったのです。


それなのに、彼の傍に「キムラ」という鼻持ちならない女が近づきます。

キムラは暗弩撃くんに色気を使い彼を篭絡しようと画策するのです。


ただ残念なことに私の力は及ばず、キムラの毒牙に罹った暗弩撃くんは彼女が主催する同好会に入会することになります。それは「スタンダップコメディ同好会」という不毛な活動をする間抜けな同好会です。


私はとても悔しかった。

キムラを本気で殺してやろうかと思ったくらいです。


それでは早速、そんな私の恋に闘う十代の乙女時代、周囲の人からは「化け物モンスター」と揶揄された、そんな時代の数々を皆さまにはご覧いただきたいと思います。

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