第3話変わりたい!

街の中心部はハルシステムの影響で混乱していた。車が列をなし信号が赤青どちらも光っている。ビルの自動ドアは高速で開け閉めを繰り返していたり、エスカレーターは行ったり来たりしている。まさにカオスと言っていい状況であった。様々なところで暴動が起きていた。


「街がーーこんな、こんなことに」


「・・・・・」


これは全て僕が引き金となって起こしてしまった。今更だがあんな軽はずみの行動でこんなことになるなんて思ってもみなかった!急に怖くなってきた。自分の行いが目の前に見えると。心の奥から恐怖が襲ってくる。


僕はなんて愚かだったんだろう。甘い汁にそそられてまんまと罠にはまった間抜けが僕。


さっきのジャックの言葉が突き刺さる!


「にしてもこんな状況じゃ辿り着けないのぉ」


街に人がごった返しており、パニック状態になっていた。交通状況は絶望的と言えるだろう。


バイクなので車の合間を縫って少しは前に進めるが、信号が両方赤になっていたり、ずっと黄色になっていたり、ついてなかったりして進むことは不可能に近かった。


「おーーーい!やっほー!こんなところで何してるのぉ〜!」


なんとローザにでくわした!上は白Tシャツに下がデニムとは随分ラフな格好で。出来れば今、最も会いたくない人物に会ってしまった!


あまり見たことない格好だったがこれはこれで新鮮でグッときました!はい!


でもなんでこんなところにいるんだ?そーいえばこいつの家はどこにあるのだろう?近くなのだろうか?


「ん〜?え!?もしかしてルーカス。ついに手を出してしまったんだね、いくら美少女が好きだからって未成年に手を出しちゃダメだよ!性犯罪で捕まるなんて・・・私、なんていったら」


「ちげーわ!ばーーーか!美少女は好きだけど手だしとらんわぁ!僕は世界中のあらゆる少女を愛しているんだそ!その少女たちを泣かせるようなことをすると思うかい?」


僕はキメ顔で眼鏡をあげる!


美少女たちの笑顔を取り上げることなんて僕にはできない!


最近の美少女モノはクオリティも高いし素晴らしいと思う!さらに言うならやはりハーレム無双系は最高だ!よくもまぁあんなにいろんなタイプの女の子達を作れるものだ!素晴らしい!製作者側に感謝感激雨嵐!


僕は美少女モノなら眼鏡っ娘推しなんだけどわかる人いるかな、特に眼鏡のドSツンデレタイプ!いいよね!前から言ってローザから冷ややかな目で見られた事は今でも忘れられないな。


「そーだよね!変態紳士だもんね!」


変態は余計だ!好きなものを好きと言って何が悪い!何も悪くないだろう!


だいたいアニメオタクだなんだって毛嫌いされがちだが、みんなそれぞれ何かしらのオタクであろう!


 好きなものには興味を持って色々調べたりするだろう?なのに、アニメオタクやアイドルオタクはなぜ偏見を持たれるのだろう?おかしい!異論を唱えたいね!


例えば車好きがいるだろう?車が好きでいろんな車種を知っていたり、性能を調べたり、自分の車を少しいじってみたりしているじゃないか!


例えばロック好きがいるとする。ロックのことをよく調べ自分でも歌って、なんなら歌を作ってみたりする。あれも一種のオタクじゃないか!なのにそのことに関してはお洒落な趣味みたいな扱いなのにアニメやアイドルになると途端に変態扱いだ!僕は異論を唱えたいね!


「異論を唱えたいんだ。ぷぷぷ!なんでだろうね〜!不思議だよぉ〜」


いや、人の心読む人達多くない?僕、丸裸なんだけど!言ってないよね?声に出てた?


「でもルーカスがモテなくて変態なのはアニメオタクが原因じゃなくて、ルーカスが原因なんだよ!むしろそれをアニメのせいにしてるルーカスが悪いね!」


な!な!な!なにぃ!


「た、たし、確かに!今やアニメも立派な文化だし、アイドルオタクでもアニメオタクでもモテる人はモテるし、しっかりしてる人はしっかりしている。僕自身が偏見で見ていたのか!自分のせいを他人に擦りつけていたのか!」


ジャックが引いていた。これ以上ないまでに。さっき諭されたばっかなのに、余計に距離ができてしまった。


何だかなぁ、もうこれ以上ないところまで落ちた気がしたよ。


でもなんだか少し気が紛れた!なんだかずっと気分が重くて、でもローザと話していたら少し気分がよくなった。


少し持ち直せた気がする。このことに関して全くの無心になったわけじゃない。もちろん反省はしている。でも心のどっかでまだ向き合えていない自分がいる。心のモヤモヤが消えない。


「違うんじゃよ!今この混乱で人手不足での!ハルシステムに少しでも役に立ちそうな人材に手を貸して貰おうと思って同行してもらってんじゃよ!」


こいつなりの優しさなのかローザには真実を告げなかった。僕への配慮なのか。ちょっとした嘘をついた。でも距離はやっぱり近くにはきてくれていない。気持ち悪がられているみたいだ!


「ヘぇ〜そうなんだねぇ〜!てっきり私は犯罪を犯してしまったものかとぉ!」


ストレートだな!僕の信頼全くねーな!すごく傷ついたぞ!


「それよりお前こそこんなところで何してるんだよ。お前の家この辺なのか?」


「あ〜!ルーカスゥゥ!ちゃっかり私の家の場所を把握しようとしてるぅ〜!スケベめ〜!こういう奴がのちのストーカーとかになるんだよ〜!サイテー!」


あの、さっきから酷くない?!僕そんなに信用ない?!あれれ〜!!!おっかしいなぁ!!僕とお前との関係にはもう少し信頼関係が成り立ってたと思うのに!変態だから?変態だからそんなに避けるの?そりゃそうか!あれ目が霞んで前が見えないや!


「ごめなさいね!プライベートなことでしたもんね!!」


これで満足かこのやろー!これがお前らのやり方だろうが!僕をなじればいいさ!それで気がすむのならな!ローザ!


「冗談はさておき、街がこんな状態だからさ。ちょっと様子見に外に出たんだけどね!ルーカスに会えてよかったよ!少し心ボソかったかし!」


なんか申し訳ない気持ちになったわ!ごちゃごちゃ言ってごめんなさい。大人気なかったです!

そっか、こんな状態で一人だもんな!少し怖くなってもおかしくはない。正直僕のせいでこうなったと思うとローザには間接的に怖い思いをさせてしまった。


「なぁお嬢ちゃん!わしら警察署に向かいたいんじゃが、何か抜け道なんかないのかの?人通りが少ない道でも構わないんじゃが?とりあえずこのままだと進まなくての!」


流石に街の一番の大通りだったからな。人も多く車も多い。こんな中抜けるのは難しいだろう。信号も機能してないしな。


「警察署?んーどうだろう」


ローザは人差し指を顎に当てて考える。まじでそんな考え方する人いるんだ!おっちゃんびっくり!


「あー、あそこならバイクでいけるかも!」


え!?あんの?


「ほう!是非教えてほしい!」


「んーとね!ちょっと遠回りになるんだけど、あそこに立ってるでっかいビルがあるでしょう?ここから左に向かってなるべく細い路地を通って、少し進むと人通りが少ない道に出るはず!そこからビルに向かって右折すれば着くよ!」


まじかよ!すげぇなローザ!この街を熟知しとんのか!!


「すまん!助かる!」


「ありがとな!ローザ!また今度。」


もうローザと会えるかわからなかったが、僕はまた今度と伝えた。きっと警察署に着いたら故意でなくてもこんな大事件の引き金となったんだ、ただでは済まないだろう。

面会くらいは来てほしいな。


「うん!また今度!ゲームしようね!」


ローザの笑顔が余計に僕の心を抉った。きっと失望させてしまうだろう。あいつの悲しい顔は見たくない。悲しくさせてしまった自分が余計に嫌になる。ローザにはたくさん助けてもらった。ひとりぼっちの僕に声をかけて友達になってくれた!僕の唯一の友達!


困った時も、悲しかった時も励ましてくれた。そんなローザに会えなくなるのは寂しい。胸がギュッとなる。


「とりあえず教えてもらったルートでそこに行くしかないのぉ。お主を預けて、作戦を考えねばな。」


そう言って僕達は狭い路地に進み始めた。


ジャックは僕を預けた後一人で戦いに戻るのだろうか、、今思うとジャックもすごい奴だよな。普通こんな仕事できない。あんな怖い奴らに立ち向かう勇気は僕にはなかった。なのに、こいつは立ち向かい僕の命を守ったくれた。僕を導いてくれようとした。


そう思ってるうちに狭い路地を抜けた!人通りが少ない通りに出ることができた。


「それにしてもあそこのバカでかいビルはなんじゃ?すごい高いのぉ」


ジャックが指を指す!ローザが言ってた目印のビルに!


「あー、あそこはこの街で最も有名なデートスポットだよ。ニューパラスビル。全70階。ショッピングにスポーツ、レストランに展望台、ありとあらゆるものが揃ってる。あそこで告白すれば必ず成就すると噂もある場所さ。ハルシステムに次いでこの街のシンボルだよ。」


「つまりお主に全く縁のない場所ということじゃな!」


喧嘩売ってのかなこいつ!ちょいちょい人を馬鹿にしやがって!たしかにそんな機会僕にはなかったさ!そーさ!案はなかった!でも別にカップル専用のビルじゃないからね!面白いアミューズメントも多くあるからね!あそこのゲーセンでも一人で遊びまくったわ!やり尽くして見てた子供達からゲーム王って言われたぜ!


あれ、なんか、少し悲しくなってきた。


すると後ろ側から微かにプロペラの回る音がする!一体なんだろう?


「なぁ、あれって?」


「ん?」


それは中心部から少し離れた、この街の郊外の方から。つまりさっきまで僕たちがいた方からこちらに黒い物体が空を飛んで近づいてきていた。


「ルーカス!!!奴らじゃ!ヘリコプターまで持っとるとはの!」


奴らって!あの部屋に襲いにきた奴らか!?僕を狙って!?しかも今回はヘリで!?


「流石じゃの・・ヘリの方が速いわい。しかも戦闘ヘリときたもんじゃ。機関砲までついとるわい。奴ら狩にきとる。」


狩にきてるって、、んなこと言ってる場合か!!ヘリとバイクじゃ戦力差は一目瞭然だぞ!


「やばいじゃん!どーするんだよ!僕はどーすればいい?!このまま逃げきれんのか?」


機関砲ってなんだよ!!あの映画でよく見るあれか?あんなん撃たれたらたまったもんじゃないぞ。


僕は背筋がゾッとするのを感じた。今までにない死の恐怖がジリジリと近づいてる。


「バババババッババババババババババッバババババ」


ヘリがバイクの後ろまで追いついてきた。


「ガガガッガガガッガガガッガガガッ!!」


ヘリは機関砲で僕達を狙って撃ってくる。


ジャックは人気のない脇道に曲がりながらヘリの弾をかわしていく。


「うぁぁぁあ!かすった!かすった!死ぬぅ!死ぬぅぅぅぅぅ」


あっぶねぇ〜!当たる!いつか絶対に当たっちまう!でもジャックすごいな!すんでのところでかわしてやがる!


「このままじゃジリ貧じゃの、いづれ追い込まれる。」


いくらジャックが上手くかわしてもそう長くは持ちそうもないみたい!


僕は顔から血が引いていた。もう助からないかもしれない。そう思うと涙が出てくる。


もう死ぬのか!?僕の人生は二十才にして幕を閉じるのだろうか?短かったなぁ、まだまだやりたいことが残っていた気がする。終わりたくないなぁ。


「ルーカスお主、わしを信じられるか?」


ジャックからの唐突な言葉に僕はすぐには理解できなかった。


「へ・・・?」


こんな時になんの話だ・・?


「奴らを倒す策があるんじゃが、お主、わしを信じてその作戦に乗れるかのと聞いておるのじゃ」


策?この状態から?一体どうするんだ?


でも今更何言ってやがるんだ。はっきり言って僕に選択肢なんてない。ジャックにすがるしかないのだ。それが僕に残された生きる道!生きたいと心の底から思っている。ニートで夢もなくダラダラと過ごしていた僕だけど!やっぱり生きたい!生にしがみついて仕方ない!


「そ、それ、それしかないならやるしかないじゃないか。ジャック!君を信じるよ」


ジャックがニコッと笑う。


「よー言った!いいか!まず二手に分かれる。」


え・・・?この状況で?二手?信じるといった直後だが疑うぞ、それ!


まさか、、


「あの馬鹿でかいビルの対面する建物があるじゃろ?あの建物にお主は入り、屋上まで上がれ!そこでヘリを引きつけておけ!いいの!任せるぞ!」


それって囮じゃん!僕狙われるじゃん!今より死亡率高まるんだけど!!大丈夫なのその作戦!!


「はぁーーー?なに言ってのオマエ〜〜!」


「いいからわしを信じろ!必ずお主を守る!約束じゃ!」


ジャックは振り向きながら強い目で僕を見つめる!


「ぅぅぅう、いいから前向いてくれ!」


クソォ!本当に信じるからな!死んだら化けてでてやる!


「わかったよ!ジャック!信じるからな!」


「あぁ!任せろ!奴らに一泡ふかしてやる。」


ジャックはニコっと笑いながら言う。


「そして奴らを月まで吹き飛ばす」


うぐっぐっぐ、月までってなんだよぉ!飛ばせるわけねーだろ。逃げるので精一杯だ!


「本当に本当に頼んだゾォ!絶対守れよ〜」


泣きべそかにながら僕は言った。まさかこんな役目を請け負うとは。


僕はニューパラスビルの対面しているオフィスビルに入った。


「二手に分かれたぞ。」


「バイク方は放っておけ!まずはターゲットからだ。」


ヘリの男達が言う。


「クソッ!ジャック!ドアが開かないよ!」


「退いてろ!」


そう言うと拳銃でドアを撃つ!


ドアのガラスが割れて入れるようになった。


「じゃ、頼んじゃぞ!ルーカス!屋上で会おう!」


「う、うん。」


当然のごとくエレベーターは動かない。


ビル内に人はおらずこの混乱状態で出て行ったのだろう。エレベーターが動かないのは考えてみればハルシステムが使えない状態なので使えるわけがなかった。


仕方がない、階段で行くか。


僕は階段を上って行く。このビルは確か30階ぐらいあっただろうか。


こんなに運動したのはいつ以来だろう。中学校以来かもしれない。どうにも運動不足で息が切れる。クッソ!上り階段はきついな!足がだんだん上がらなくなってくる。


外から音が聞こえる。なんの音だ?


気がつくとビルに機関砲で撃たれている。


「うぁぁぁあ」


弾は貫通し階段も少しずつ崩れかかっていく。


むちゃくちゃしやがって!このビルを潰す気か?いや、潰す気なのかもしれない。いっそ僕が瓦礫に埋もれたのなら万々歳だろう。


奴ら、本当に僕の命を狙ってきているんだな。


「うわぁ!」


上から瓦礫が崩れてくる。早く屋上まで上がらないと本当にペシャンコになるのは時間の問題だ!

僕は崩れかかっている階段を滑らないように上っていく。


「はぁはぁ、はぁっ、はぁっ」


30階を階段でなんてどこの体育会系だよ!筋トレでもこんなことしないぞ!ちくしょー!それに僕は根っからの文化系だ!走る、登る、飛ぶなどのアクションは備わってないぞ!


だいたい本当にこれで奴らを倒せるのか?本当にジャックは助けてくれるのか?まだ会って半日もたっていない相手だぞ?


大体どーやって奴らを倒せる?秘策?本当にあるのか?


何故僕はあいつを信じたんだ?本当に信じられるのか?


クソッ。余計なことまで考える。どんどん悪い方に、 希望のない方ばかりに考えてしまう。


機関砲から弾の嵐が打ち込まれてビルが揺れ出してきた。


迷っていても仕方がない・・・もう敵はすぐそこにいて、ここで突っ立ていても死ぬのは変わりない。僕はもうジャックの提案にすがるしかないのだ。


あいつは守ると言ってくれたんだ!こんな俺だが無条件に身体を張ってくれていた。ならもう信じてみよう!信じて僕にできる最大限のことをしよう!


だんだん上がらなくなってきた足を一歩一歩前に押し上げていく。


気持ちとは裏腹に僕の足取りは次第に遅くなって行った!


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」


クソォ、足が上がらない。震えてくる!日頃のどれだけ運動してないか思い知らされるな。でもいい。遅くても一歩一歩進んでいけ!前に進んでいくんだ!


揺れるビルの中、微かな希望に向けて上がっていった。


「はぁ、はぁ、はぁ、」


ついに屋上までたどり着いた。30階を駆け上がるのは流石にきつかった。


ヘリが真正面に体勢を直す。


「目標を確認!直ちに攻撃を開始する!」


あぁーーもうダメかもしれない。


愚直にもあいつの言葉を信じて結局僕は撃ち殺されるのか・・・人を信じるなんて久しくしていなかった。今もあいつの言葉を全て信じたわけではなく、それしか道がなくて、勝手になるようになっただけなのかもしれない。


散々堕落していた僕への天罰なのかも・・・次の人生は絶対勝ち組に転生してやる。イケメンで、出会う女の子全て僕を好いてくれて、やることなすこと全て完璧なやつに!


次の瞬間!!


僕はこの瞬間を一生忘れないだろう。僕の中で衝撃が全身を駆け回った。


対面していたビル。つまりニューパラスビルからバイクが飛び落ちてきたのだ。ほとんど最上階にちかいあたりから勢い良くこちらに向かって走り落ちてくる。


「まさか!!そんな?!」


ジャックはバイクに乗りながらヘリコプターの真上に落ちてきた。


当たる直前にバイクを踏み台にこちらにジャンプした。


人間業とは思えない。


「うぁぁぁ!!どっから攻撃が?!」


バイクはヘリに直撃し、ヘリのプロペラに刻まれて爆発する。その勢いでヘリも爆発し、大きな爆発音と共に地面へ墜落していった。


ジャックは勢い良くこちらのビルに落ちてきた。


ジャックの体は傷だらけのボロボロの状態であった。


「お、おい!大丈夫か!!しっかりしろ!」


こいつ、本当に、本当にヘリを落としやがった。本当に約束を守ってくれた。普通こんなこと思いつかない。いや、思いついたとしてもやる奴なんていない!もしかしたらあのバイクと一緒に吹き飛んでたかもしれないんだぞ!


僕は少し涙ぐんでジャックに近づく。


「へっへへ〜、見たか?奴らを月まで吹き飛ばしてやったぜ!」


頭から血を流しながら陽気に笑っていた。息を切らしながらも不敵にも笑っている。


「ばっかじゃねーのか、無茶しやがって・・」


僕も興奮しながらジャック伝える。


なんだろう、この気持ちは!心の奥から湧き上がってくるこの感情はいったいなんだろう。フツフツと燃え上がるものが僕の心の中で渦巻いている。


助かった安堵感なのか、階段を駆け上がって心拍数の上がりを勘違いしてるのか、アドレナリンが出て興奮しているのか。


いや、きっと感動しているのだろう。僕は!ジャックに感謝の気持ちと感動が渦巻いているのだろう!もうほとんど死んだと思ったものだから、助けてくれたことに感動したのだ!


「ありがどゔ。ありがどゔ。約束守ってくれて!!」


「わしは約束を守る漢での!」


こんな僕を信じ守ってくれた。こんなしょうもない僕を!


「綺麗じゃったろ?はっはっはっ!」


「何言ってんだか、もうわけわかんねーよ」


僕は泣きながら何度もお礼を言った!何度も何度も。



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