第12話

「ふふふ、ハハハハッ」


あぁ、これ、ダメなやつだったか。


エリサさんの顔、完全に歪んじゃってるよ。


「え、レティシアちゃん、何これ?」


「いや、私も知らない」


一応、剣を構える。


まぁ、大魔術師様にオレごときの剣技がまともに通用するとも思えんが。


「あー、レティシアちゃんの相手ばかりしてたから魔力、隠すの忘れちゃってたよ。

ねぇ、レティシアちゃん?

その剣、選定の剣よねぇ……ほんとにどこで手に入れてないの覚えてないの?」


「……覚えてないです」


「そっかぁ……まぁどーでも良いや。選定の剣を使えるってことはあなたは少なくとも戦争を起こしたクズ共の血が流れてるんだろうし私は……あなたを殺す」


あぁーあ、顔が歪んじゃってるよ。


そういえば、確かこの世界でかつて起きた戦争でコミンテルンの魔術師が一人まだ捕まってない奴がいるって言ってたな。


まさかとは思うが……


「あー、レティシアちゃんの思ってること、正解ですよ。ふふっ。私こそが最後の戦犯、コミンテルンの大魔術師よぉ。私の妹を奪ったんだから……私だって奪っても良いわよねぇぇぇ!」


そう言うと彼女は杖を一振りして、大量の魔法陣を出現させた。


選定の剣を持ってるせいで戦争を起こした皇帝の血筋かなんかと勘違いされてますねぇ。


……迂闊に最強の武器欲しいなんて言うんじゃなかった。


「俺……アイツを知ってる……アイツは、アイツは……西部戦線の悪魔だ!アイツの魔法1発で、騎士が5000人も吹き飛んだんだ……みんな早く逃げろ!」


ふむ、周りの人達は逃げて行った。


せいぜい、彼らが安全なとこに行くまでの時間稼ぎにはなるようには努力しよう。


「ねぇアリスさん、良い仕事あるんですけど……受けてみません?」


私は笑いながら言う。


「へぇ……どんなの?」


彼女もまた笑いながら言う。


「大戦犯の魔術師の討伐って言う依頼なんですけど」


「ハハッ、それは楽しそうな任務ですね。良いですよ、私も受けましょう」


「ありがとう、アリスさん」


「良いですよ。前助けてもらったおかげです」


「じゃあ、行きますか」


「ですね」


どうやら、アリスさんは魔術も使える剣士のようだ。


もちろん、下位の魔術しか使えない。


ただ、オレよりは強いだろうね。


「じゃあとりあえず……エリサさんに通用するかは分かりませんが……プロテクト!」


下位防御魔術 プロテクト。


私たちの前方に防御魔法陣が展開する。


「準備は出来ましたか?お二人方」


「あぁ、出来ましたよ……」


「じゃあ、始めましょうか」



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