第144話 サンガス王国王都陥落

 王都サンガスは海岸から20キロの地点にある。

 俺は再び艦砲射撃を行うこと企画した。

 すでに護衛戦艦の2番艦を三日月島の造船所で造船していた。

 新造の護衛戦艦の2番艦も全長256メートル、46センチの3連装砲塔3基を備え付、副砲15センチの3連装砲塔2基を備え付ける。

 この船も前世の旧日本海軍の巨大戦艦大和を彷彿させる。

 このことから大和級巨大戦艦2番艦と呼ばれるようになった。・・・フッフッフ実は

「戦艦大和みたいだ。」

と俺が呟いて以降、大和級巨大戦艦と呼ばれるのだ。


 大和級巨大戦艦1番艦の艦長としてモンが乗艦し、新造の大和級巨大戦艦2番艦の艦長は白愛虎が乗艦した。

 この護衛船団をモンが指揮を執って、護衛船団は既に東ヤマト州のアンリケ公国の港に回頭されているのだ。

 俺は護衛船団の司令官として、俺の妻達を連れてアンリケ公国に転移で飛ぶと、直ちに1番艦に乗艦して敵国の王都サンガスを落とすべく出港したのだ。


 俺達が抜けた西ヤマト州とサンガス軍の戦線には姫将軍こと義姉カレンと俺の妻の一人クロがインドラ合衆国軍と西ヤマト州の主兵と義勇軍の合同軍を指揮して戦線を守っている。


 護衛船団は一昼夜で、王都サンガスから海上で約30キロの砲撃予定地点に到着した。

 この砲撃予定地点は、護衛船団の主砲が十分届く距離だ。

 エンジン代わりの2頭の海竜が護衛船団から離れさせる。・・・三日月島にある造船所で造船されることから湖竜から体の大きい海竜に代わったのだ。

 砲撃予定地点につくと、大和級巨大戦艦2艦が同時に巨大な46センチの3連装砲塔が合計6基、18門もの46センチ砲門が王都サンガスに向けられていく。

 無慈悲な事をした国民に鉄鎚を落とすのだ。


『ドーン』『ドーン』『ドーン』『ドーン』『ドーン』


と雷鳴のような轟音が海面に響き渡り


『シュル』『シュール』『シュール』『シュール』


と空気を切る魔の進撃音が聞こえると思った瞬間


『ズドーン』『ズドーン』『ズドーン』『ズドーン』『ズドーン』


と爆発音が聞こえて、王都サンガスの王城や城下街が跡形もなく破壊されていく。

 その艦砲射撃は3たび繰り返された。

 戻って来た2頭の海竜に今度は上陸用の舟艇が引かれていく。

 上陸部隊、1個連隊3千名を率いるのは俺とユリアナとセーラだ。


 王都サンガスは艦砲射撃によってなすすべもなく灰燼と化しており、人っ子一人として生き残っていなかった。

 1個連隊で王都サンガスを制圧するつもりであったが、本当の意味で総力戦を仕掛けたらしく、サンガス王城内にほんのわずかに残っていた守備兵はサンガス国王と共に艦砲射撃の餌食になってしまったのだ。

 猫の子一匹いない瓦礫の中にいるよりも、ここから、サンガス軍の西ヤマト州攻略部隊の後背を急襲することにした。


 遠征中のサンガス軍は遠く王都サンガスの方向から落雷のような大きな音と黒く沸きあがる煙が見えたことから動揺が走る。

 その時、西ヤマト州側から遠矢が射かけられる。

 サンガス軍は王都サンガスに気持ちをひかれつつも、西ヤマト州側に気持ちを切り替えて、総員突撃の準備を始める。・・・戦闘と言えば突撃しか戦術が無いのか!いつもの通り密集体形になっている。


 モンが護衛船団を率いて、今度は西ヤマト州の戦場付近へと回頭する。

 サンガス軍は翌朝早朝に西ヤマト州の州兵や義勇軍兵士に対して、総員突撃を行うと、サンガス軍に紛れ込んでいた巡検士から連絡が入る。

 俺達サンガス王城上陸部隊がサンガス軍の後背をつくためには馬で一昼夜の時間が必要だ。

 俺達がどんなに陸路を急いでも、サンガス軍の突撃開始の方が半日早い。


 モンと白愛虎が率いる、護衛船団も再度回頭を終えて西ヤマト州の戦線の膠着している地点に海龍を励まし急行する。・・・艦砲射撃が始まれば俺達が巻き込まれる恐れもあるので良しとしよう!あくまでもポジティブに!


 サンガス軍が早朝静かに騎馬軍団の轡を並び始める。

 その後方に槍を手にした歩兵部隊が整列を開始する。  

 護衛船団も何とか、西ヤマト州の海岸線ギリギリのところまで艦をよせることができた。

 護衛船団を寄せた場所は、サンガス軍の西ヤマト州攻略部隊の指揮所テントが張ってある場所まで、海岸線から約40キロであった。この距離は護衛戦艦の46センチの主砲の有効射程距離ギリギリの範囲である。


 サンガス軍総指揮官の15歳になる王太子が立ち上がる。

 総員突撃の合図をする為だ。

 王太子の右手があがる・・・。

 それを合図にしたように遠くで


『ドーン』『ドーン』『ドーン』『ドーン』『ドーン』


という雷鳴のような音が遠くで響き渡る。

 王太子は不思議そうに音のした方向を右手を挙げたままむく。


 すると

『シュル』『シュール』『シュール』『シュール』


と悪魔のささやきのような滑空音が聞こえたと思ったとたん、15歳の王太子の体は指揮所のテントごと爆散した。


『ズドーン』『ズドーン』『ズドーン』『ズドーン』『ズドーン』


と爆発音が聞こえて、騎馬軍団が馬ごと吹き飛び、歩兵部隊は槍を手にしたまま薙ぎ倒された。

 突撃の為、密集隊形で居並んでいたサンガス軍にとっては大打撃だ。

 血まみれのサンガス軍兵士が右往左往して、統制がとれなくなる。

 応援に来ていた魔王軍の魔法使いの魔法の障壁さえも砲弾が簡単に粉々に粉砕して爆散していく。

 サンガス軍は、数にものを言わせて密集体勢のまま突撃を図ろうとしたことが裏目に出てしまった。

 サンガス軍の数多くの将兵が艦砲射撃によって戦場の露と消えたのだ。


 戦意を喪失して、サンガス王城まで退却を図ろうとしたサンガス軍が見たのは、俺達3千人が掲げて持つインドラ連合国の国旗だ。

 西ヤマト州とインドラ連合国の合同軍もサンガス軍の突撃に対応するため兵を揃えていたことから、そのまま進撃に転じる。

 合同軍が動き俺達の軍で挟撃されたことから、サンガス軍は武器を投げ出して降伏をする者が相次いだ。

 中にはサンガス軍の幹部の首を切り、それを手土産に投降する者まで出る始末であった。


 一人、副官の王弟である宰相が督励のため突撃の最後列にいたため、護衛船団の砲撃を免れて、逃げ惑うサンガス軍のために、最前列、殿しんがりの形で、西ヤマト州とインドラ連合国の合同軍と対峙していた。

 彼の手元にはサンガス軍の宰相の親衛隊1万人が無傷なまま残っていた。


 混乱し逃げ惑うサンガス軍の敗残兵の中には、王太子に諫言かんげんもできない無能な指揮官である宰相の首を取って手柄にしようと、後方から親衛隊に襲いかかる。

 宰相は親衛隊を円形に陣を構えて、裏切ったサンガス軍2万と西ヤマト州とインドラ連合国の合同軍約14万強に備える。


 降伏したサンガス軍将兵は土魔法使い達が石牢を作り放り込んでいく。幾つもの石牢が作られ、おびただしい数の石牢の中にサンガス軍の将兵が入れられていく。

 俺達3千人の兵が現れると、数の少なさを見て、親衛隊を包囲して裏切ったサンガス軍2万人が再び俺達に向かって来た。

 俺は雷神を抜き出し、サンガス軍の兵に雷を落とす。ユリアナとセイラが戦略的火魔法を放つ、その場はサンガス軍2万人の将兵の墓場となった。

 宰相の親衛隊1万人は、この惨劇を見ても円陣を崩さなかったのだった。

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俺、転生したの・・・前世は警察官 いのさん @kiis907595

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