第4話 ある親の話

少年の話を聞いて私はどうにも落ち着かなくなってしまった



今まで反逆者に酷い事だってしてきた



それが本当に正しい事だったのかわからなくなってしまった



だから少し頭を冷やそうと家から外へ出た



村の中は穏やかな雰囲気で笑顔に溢れていた



背中から金色の羽が生えた真紅の瞳を持つ反逆者



自分の常識では考えられない光景に眩暈がする



ふと周囲を見ると反逆者ではない子どもが居た



少し離れた所には男女の反逆者が居た



子どもを見守る暖かな眼差しにきっと親子なのだろうと感じられた



この人達はなぜ反逆者になったのだろう



私は聞いてみたいと思った



あなた達はなぜ反逆者になったのか



なぜ世界の理に逆らったのか



なぜ反逆者なんてものになってしまったのか



女性の方に問いかけると



「私たちの話?いいわよ」



そう答えてくれた



「そう……始まりは私達が出会ったことだった」








私たちは空の上の世界で出会ったの



お互いが相手のことを気に入ってお付き合いを始めて



しばらくした後に結婚して子供ができてすごく幸せだった



でもねその幸せも長くは続かなかった



私たちの子供は要領が悪くてね



悪気はないんだけど人に迷惑をかけることが多かったの



自分なりに頑張って迷惑をかけないようにしてたんだけどだめになってしまった



知ってるかしら空の上で生まれた子は翼の色が金色の状態で生まれてくるの



もちろん翼が輝いたりくすんだりもするわ



それでね翼から輝きが完全に消えて白色になってしまうと



空の上から強制的に落下させられるのよ



私たちの子供は8歳の時に空から落とされた



不幸なことに人気のない山の中に落とされて迷子になってしまった



このままだとあの子が死んでしまうと思って空から二人そろって飛び降りたの



そうしたら夫婦そろって反逆者になっちゃった



子供は反逆者ではないからお使いをしてもらってどうにか生活はできていたのだけれど



1年くらいたつうちに限界が来てしまって



そんな時に噂を聞いたの



雪山の奥深く人が立ち入らないような場所に村があるって



そしてそこにはたくさんの反逆者たちが暮らしている



今思えばあの噂もこの村の人たちが反逆者のために流していたってわかるわ



私たちはその噂を頼りに雪山に入っていった



しばらく進むと男の子が現れてこの村まで案内してくれた



あなたたちも案内してもらったあの子よ



そうして私たちはこの村で暮らすようになったの



私たちは間違ったことをしたのかしら?



自分の子供を見捨てて空の上で暮らすことが正解だったと思う?



そうね……世界のルールに従うならそうするべきだったはずよ



そうしていれば反逆者になることもなかったはずだし



そのことで翼の色もくすみはしなかったでしょう



でも私たちはそんなことできなかった



自分の子供を見殺しにして自分たちだけぬくぬくと生きるなんてできなかった



この行動は間違ってたと思う?



「君が死んでいれば良かったのに」って



あっちの広場で遊んでいるあの子にいうことができる?








私はそれを言うことはできなかった



あの子どもに向かって君が死んでいればなんて言えなかった



わからない



わからない



何が正しいのかわからない



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