第20話 帝国城建設、魔王国の女官長とドワーフ族

 俺に魔臓である角が生え魔管が出来た。アンナの舌が再生し魔臓である羽が生えた。奇跡と言えるだろう、やはり世界樹教を作ろう、世界樹の前に、住民全員の力を結集して日本風の大きな社を建てることにする、世界樹教の本部だ。

 世界樹教の紋を公募した。アンナの作品が最優秀で、社の門に紋を金箔で飾る。

 門の両脇は門衛が立つ。

 大きな社が出来たので住民全員で拝礼し、俺やエンマ様、クーナ叔母様、6人の妻たちが世界樹に触れる、明るく世界樹全体が輝き住民全員を包み込む。

 セリナが世界樹教の教祖となり、クーナ叔母様が巫女長、5人ほどのエルフ族の娘が巫女となって一応住むこととなった。ただ、クーナ叔母様には不評だ、温泉に入れないのがその原因だ。

 俺は、火山麓なので温泉の水脈があるはずだと思い、水魔法で水脈を探す。優良な温泉の水脈が見つかる。大きな社の隣の社務所建設予定地の下を通っているので土魔法で温泉の井戸を掘ると、すぐ出てくる、露天風呂を作り、東屋を建てる。クーナ叔母様は喜んでいた。その他に世界樹教総合病院も建てておくか。

 アンナの背中の羽が背中から生えたり無くなったりする?魔臓なのに?

 俺は、風呂にアンナを連れて行き背中の状態を確認する。羽が無くなるのではなく背中全体を覆い隠しているのだ。

 俺も頭の角を兜のようにしてみたり、アンナのように後頭部から後ろに髪の毛のように広げるようにしてみると、上手く出したり隠したりする事が出来た。

 アンナは俺が頭の角を兜のようにしたのを見て、羽を鎧にしてみる。なかなか、可愛い出来になった。他の嫁達が俺とアンナ二人でお風呂にいるのを怪しんで風呂に入ってきた。

 俺の角、魔臓が消えているのに驚いた。角を見せるとまた驚いて、シオリと3人娘もやってみた上手く出来るようだ。

 兜は、『兜』とイメージするだけで、兜が出来上がり、その人のイメージ、使える魔法や魔力量で変わるようだ。例えば、シオリは火魔法を使えるので紅色で燃え上がるような兜に。レベッカは木魔法と土魔法が使えるので木と土で月桂樹のような兜に、アンドレとクリスティは土魔法を使えるので全く同じかと思ったが、兜のイメージと誕生石の色や魔力量等で全く違う兜になった。

 また、シオリ達も髪のように後ろに垂らす事ができ、角の無いシオリ達も新鮮で可愛い!可愛いは正義だ‼

 セリナだけ種族的に魔臓が無いので膨れていた。セリナを抱いて頭を撫でたら、他の嫁たちにも抱き付かれた。6人の妻達に俺は押し倒され・・・その後はご想像のとおりです。

 魔法が使えると便利だ 、土魔法で石を掘り起こしカットして石畳を作る。他の土魔法を使える三人娘から、土で壁を作ったり、土を飛ばすことが出来るが、土の壁もすぐ崩壊して元に戻る。土魔法は他の魔法より魔素を多く使う、貴方は非常識だとあきれかえられた。

 土魔法を使える人が集まり、河の中の石を掘り起こしてみる。土魔法を使える人は当然のこと皆掘ることが出来る。ただ掘り起こすことが出来るが、大抵の人が小石程度しか掘り起こすことが出来ない。魔力量が上がった三人娘でも、50キロ位の石をを上げるのがやっとで、3度石を上げたら魔素切れを起こす。セリナも土魔法を使えるので、やってみると100キロ位の石、いや岩を上げられ、5度岩を上げたら魔素切れを起こした。ちなみに俺、1トン位の岩を上げられ、10回位で魔素が切れた。当然石をカットできる人は俺以外いなかった。

 翌日、剣道場や体育館で座禅を組む人で一杯になった。

 今日は木魔法を使える人を集める。普通、木魔法は草の下刈り程度で、木魔法で戦うときは、木の槍を飛ばすか、草や蔓で足止めするぐらいだ。大抵の人は、木を切らせてみると、指の太さほどの木を切るのがやっとであった。三人娘のレベッカとクーナ叔母様とセリナに切ってもらうと、かなり太い木まできることができる。

 風魔法や斧で木を切ると切り口から滅多に木の芽が出ないが、木魔法で切ると必ず木の芽が出る、木魔法の特性か?木魔法を使うと植林の必要がない。

 そんな感じで、魔法の力の自己確認をしていった。

 石魔法を使って、馬や牛の拠点から住民の拠点まで石畳の道を作る。約5キロの道のりを作るのに半年かかった。ただこれだけで、馬車での荷物運びが楽になり移築に拍車がかかる。

 俺は、三人娘のクリスティとキリガクレ兄妹がやっているガラス工房に足を運ぶ上手く出来ないようだ。珪砂(ケイシャ:砂の中でキラキラ光って透明な粒)とソーダ灰(以前和紙作りで使った)、石灰石を混ぜて1500度で加熱すればできる。

 珪砂に不純物が多く珪砂の取り出しで苦労しているみたいだ。俺は魔法を使って砂の中から珪砂だけを抜き出して見せる。魔量が多い方が精度が上がるようだ。

俺やクリスティがやるとほぼ100%で抽出できる、キリガクレが80%キリが60%程だ、この後、2人は朝稽古に特に用事がない限り出席している。

 おかげで、ガラス工房が稼働し始めた。板ガラスの製作は溶かしたスズの上に熱いガラスを浮かべて...出来た板ガラスの取り出し方法をどうするか?魔法で取り出すか。土魔法と水魔法を併用して...できた。この両方の魔法を使えるのは、いたセリナだ!教祖様で忙しいが、連れてきてやらせてみるうまく板ガラスが出来たようだ。

 社務所の(将来300メートル幅の)道路を挟んだ反対側にガラス工房を建てる。板ガラスの作製にセリナに手伝ってもらうことから、優先的に世界樹教の社や社務所に板ガラスやガラス製品を渡すことになった。セリナは後に『ガラスの聖女』と呼ばれるようになった。

 ガラス工房の通りに面した側を土産屋にしてガラスのコップや皿を中心に販売した。世界樹教の土産品の最初がガラス製品になった。

 社務所の隣にも温泉旅館を建てる。窓ガラスも二重窓にし、ガラスをふんだんに使って建てた。

 妻たちが妊娠して2ヶ月が経ち、雪がチラチラと舞い始めたころ。100名位のボロボロな衣服を着た女性の集団が現れた。集団の中には数人の男の子がいた。

 女性達は俺が魔王城にいた時に見かけた顔が何人もいた。

 狼達は警戒のうなり声をあげ、エルフ族の戦士達が槍を構える。当然槍は石の穂先から銀色に輝く鉄の穂先になっている。

 俺はアンナを通じて

『心配ない、エンマ様とシオリの配下の者です。エンマ様とシオリを呼んできて。』

と狼達とエルフ族の戦士達に伝える。

 エンマ様とシオリが現われると、100名位の集団の中から、年嵩の女性、確か女官長と女官頭3人が前に出て、エンマ様とシオリに対して膝をつく、女官長が

「女官長のクリシナで御座います。エンマ様、シオリ様よくぞ御無事で、女官68名、女官の親族の者達等32名、総数100名只今到着いたしました。」

と告げるとエンマ様は

「大儀、よくぞ無事参った。妾達はここにいるカールに臣下の礼をとっている。今しばらくはここに泊まり気持ちを決めてからでよい。クリシナできれば、貴女達もカールに臣下の礼を取って欲しい。」

と答える。女官長は

「それでは、しばらくはここに泊まります、よろしくお願いいたします。」

と答えた。ダイスケが学校の講堂に住民の基本台帳の用意をしたと告げる。オレとダイスケが住民の基本台帳を作成し、エンマ様とシオリに健康診断をしてカルテも作成する。その時に、アンナの能力で悪意が無いか見極めていく。天馬姉も外にいてアンナを補助する。

 健康診断が終わりエルフ族の女性達が女官達を食堂に案内する。

 当然悪意がある者は別室に案内される。そこで待機しているサルやエルフ族の戦士に身柄を拘束されるのだ。

 100名全て終了したが悪意のある者はいなかった。住民用の拠点にある温泉旅館や病院の病室に入ってもらう。

 3人娘の兄弟が何人かいて、3人娘を囲んで談笑している。

 ダイスケが将来の為、世界樹帝国の城兼行政庁を建てることを提案された。

 確かに、住民の基本台帳を学校の職員室に置いておくのも考えものである。

 馬と牛用の拠点と住民用の拠点の中間に、前世のアメリカの国会議事堂をイメージして建てるか。かなり巨大なものになるが、城の役目も持つものにする。正式名称は世界樹帝国議事堂兼世界樹帝国城か⁉名称は世界樹帝国城、いや帝国城にする。そして、そこから世界樹教の社へ真直ぐな幅300メートルの道路を通す。中央には幅200メートルの公園や緑地帯を作る、その両脇は幅50メートルの石畳の道路が続くようにする。

 国会議事堂の右側に裁判所と地下牢を作り、左側に総統府を作り中央集権国家の軍や行政の中心となるものにしよう。

 先ずは、イメージの図案を作り、帝国城の建築設計図を描く、測量を行い建物の大きさを確認する。雪の降る中、ダイスケが指揮を執り、土魔法や木魔法を使える者、製材所がフル回転をして帝国城が作られていく。

 俺は当然元日本人、帝国城付近に温泉の湧き出るところないか探しだして、東屋付の露天風呂だけは作った。後で議員宿舎兼用の温泉旅館を建てる準備をする。露天風呂は寒い中、作業している人には好評だ。

 その後は鍛冶小屋にこもり女官達等に与える守り刀、小太刀を作りまくる。

 俺一人では女官達全員の分をとても作り切れないと思っていると。ドワーフ親方が息子や俺の兄弟子や弟弟子等の家族90名を引き連れて会いに来た。

 ドワーフ親方達は膝をつき俺に臣下の礼をとって、

「魔王城から女官長達が逃げ出して、エンマ様やシオリ様の下に向かった、そこに俺のもとで鍛冶師をしていたカール様が世界樹帝国を樹立しようとしていると噂を聞いてここまで来た、どうか臣下に加えてくれないか頼む。」

と言われる。ダイスケが住民の基本台帳の準備をし、エンマ様やシオリが健康診断をして、食事を与える。

 ドワーフ族には気の強い者が多いが悪意のある者はいなかった。

 ドワーフ親方は、俺の鍛冶小屋やたたら製鉄の付近に住みたいと許可を求める。

俺の鍛冶小屋やたたら製鉄は馬や牛用の拠点にある。俺は住居の拠点から上流5キロの地点の山すそに鉱山の横穴がある。そのそばに鍛冶小屋やたたら製鉄を移築するつもりなので、現在の馬や牛用の拠点の鍛冶小屋やたたら製鉄の付近で住むよりも、雪がかなり積もってきたので移築途中の学校の教室などで泊まってもらう。

 ドワーフ族は鍛冶師が多い事から、土魔法や木魔法を使う者が多い、帝国城の建築や住民用の拠点の移築を手伝ってもらう。

 女官達は68名いるが、特に今現在は、移築などの建築作業以外は働くことは無い。女官としても働くこともない。エンマ様とシオリが個人個人を面接する。武芸に優れた者28名を女官部隊として採用する。教養のある者のうち特に優れた者4名、識字率の異常に低い現世では、実はこの4名しか文字を読めないし、書けなかった。この子達は俺の嫁になった3人娘同様、魔族の貴族の娘で行儀作法見習中の、いわゆる女官見習いであった。学校の代用教員兼行政事務手伝いをしてもらう。使える魔法や特技により残り36名は繊維業、農業、畜産業、工業、建築、土木等やってもらうことにした。

 6人の妻たちのお腹が妊娠三ヶ月で目立ち始めた。エンマ様とクーナ叔母様に相談して世界樹教の社で結婚式を挙げることにする。

 

 

  

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