第19話 エルフ族 俺の覚醒 世界樹帝国と世界樹教
クーナ叔母様やセリナを救出した翌朝、クーナ叔母とまずエルフ族50人と話し合いが持たれた。
男性には
『魔族と一緒に住みたくない。』
という意見を持つ者が多い。
半面、女性は
『世界樹が枯れ、世界樹の種を持ったセリナが、この地にいる限りこの地に住みたい。』
というのがほとんどすべての者の意見だ。特に子供のいる女性にその意見が多い。ダイスケが子供のいる女性と子供を学校の教室等、一部開放して泊まってもらったのだ。その時、施設の一部を見てもらっている。
ダイスケは、こんな面でも優秀だ政治家向きだな。
最終的に、どうしても魔族と住みたくないという男性4人が去った。
残りのエルフ族の住人46名にも一応は学校の教室と病院の病室に入ってもらった。
人が多くなった。この世界には識字率が低いから当然、住民は氏名も書けず、住民の基本台帳なども無い。前回のケンのように悪意がある者は今のところ出来るだけ排除したい。基本台帳を作るとしても字が書けるのが、今のところ俺とエンマ様とシオリ、アンナそれにダイスケだ。
ダイスケは雑貨屋を手伝う関係で父親のユキムラに教わったそうだ。
まだ、人数もさほど多くないので、俺は住民の基本台帳を制作することにした。
まず当然俺達、今までいた者も基本台帳を先に作成し、エンマ様とシオリに健康診断をしてカルテも作成する。その時に、アンナの能力で見極めていく。天馬姉も外にいる。
次にエルフ族のクーナ叔母様達を行う。皆変な顔をしていた。今のところ問題はないと思ていたが、いた!もう残り男4人というところで、エンマ様の前でいきなり隠し持ったナイフを振り上げる『魔族排斥論者だ!』。
違う!狙いはアンナだ!俺はそいつの後ろに移動し、振り上げた腕を取り、逆手にしてうつ伏せに倒して制圧する。
そいつの持つナイフが制圧する勢いでそいつの肩に刺さる。そいつの体が細かく震え始める、口から泡をふく、白目をむく、ナイフから異様な毒物の臭いと、禍々しい気を感じる。
制圧した勢いで顔がずれる、骸骨が現われた!アンナを狙う暗殺集団の一人だ。俺はそいつの死体の襟首を持ち対岸に向かって投げる。
対岸に落ちる前にナイフが発光すると死体ごと爆散する。
残っていた男3人が手にナイフを持ちアンナに向かって殺到する。アンナが腰を落として刀に手を掛ける、一番近い男を抜き打ちで倒す。俺は愛刀を抜きだし後方から残りの2人の首を首の皮一枚を残して抱き首にするようにして切る。3人のナイフを持つ手を次々と切り飛ばし、ナイフを持つ手首ごと対岸に鞘で殴って飛ばす。途中でナイフが発光し爆散する。
倒れた男達の顔がずれ骸骨が現われる。嫌な予感がする。俺は骸骨男の襟首を持つと対岸に向かって投げる。また次々と骸骨男を投げる。対岸に着くと『ドカーン、ドカーン、ドカーン』と骸骨男の体が爆発四散した。
4人の顔が残った。魔族とは住みたくないと出て行った男達だ。朝、心を入れ替えて一緒に住みたいと戻ってきたと聞いていた。
狼が4人の遺体を見つけてきた、4人とも顔の皮が剥がされていた。4人をその場で顔と共に荼毘に付した。
雪がちらほらと降り始める。以前の拠点を馬と牛(牛馬と言うと天馬が怒る)用の拠点として、そこから10キロほど上流の地点にある温泉の湧き出す場所を人用の拠点にする。
人手があるので移築を進める。馬と牛用の地点からこの地点までの間の樹木を伐採して道路を作り、その樹木を使って、温泉の湧くすぐそばに温泉旅館を建てることにした。
エルフ族の中に、畳表を作れる畳職人が3人ほどいたので、温泉旅館の中を和室にすることにした。
温泉旅館の向かい側にはガラス工房を立ち上げることにした。三人娘のクリスティがやってみたいと研究をはじめた。キリガクレ兄妹も手伝っている。
ガラスの食器は当然だが、板ガラスや顕微鏡、望遠鏡、双眼鏡を早く作ってもらいたいものだ。
温泉旅館がある程度形を成し始めると、エンマ様とクーナ叔母様二人で雪が降り積もってきたので、馬車から馬にそりを引かせて温泉旅館に出かけ、のんびりしているようだ。
そんなことをしているある日の午後、そろそろ傷も癒えてきたセリナを、俺とシオリとアンナそして三人娘で見舞う。病室に入るとセリナの抱えている世界樹の実が明るく輝く、そこに白色に輝く世界樹の女神様が立っている。
この世界には宗教はない 。ただ、世界樹を崇めるエルフ族はいるが、宗教と言う程ではない。でもこれを見ると『世界樹教』とか起きそうだ?いや起こすか!等と阿保なことを考えていると、女神様が俺を見てニッコリと笑い
『面白き事を考えるをのこ(おとこの古語)よ、この世界を統べるをのこよ!妾はこの地に根を張り、行く末を見て、この世界が繁栄するのを永久に見ていくとしよう。
さあ、妾と妾が根を張る地に行くぞよ!』
と言うと、世界樹の種を中心に光の輪が広がり、俺達を包み込み、世界樹の種とともに飛び上がる。
世界樹の種が地に着くと、みるみるうちに大きくなり、枝や葉を生やし、幹が大きくなり、幹に大きなうろが出来る。俺達はその木のうろの中で世界樹の女神様の前で裸で立っていた。世界樹の女神様が
『さあ、そのをのこと、お前たちの愛が妾の力となる。妾を守り育てるエルフ族の巫女たるセリナよ、天使族の光の巫女たるアンナよ、魔族にして闇の巫女たるシオリよ、それを守る聖なる戦神の巫女たる三人の乙女よ!
世界を統べるそのをのこの妻となれ!この地からの繁栄を約束する!
世界を統べるをのこよ、その妻たちとまぐわえ!その感激が妾の力となる。』
俺は夢の中で、愛情と感激の中で6人と肌を合わせていく、そのたびに、世界樹が脈動する。6人とも肌を合わせめくるめく快楽の時を過ごす。
世界樹の女神様が
『妾の力となるそなたらよ。そなたや妾の力となる子種がはぐくまれた。』
と聞こえる。ふっと気がつくと、俺達は病室におり、セリナの腕の中には世界樹の種は無かった。
妻となった6人とも、自分のおなかを触っていた。外から世界樹の光の輪が広がっている。
『世界樹帝国』、『世界樹教』
か面白い。
世界樹帝国の国旗、国歌、世界樹教の紋、世界樹教の歌等も作るか。
その日の夕刻、エンマ様とクーナ叔母様が世界樹がいきなり育ち、そこが光り輝いたので慌てて戻って来た。
エンマ様とクーナ叔母様に
「世界樹の女神様の前で俺が6人を妻とした。」
と話したら、二人とも何故か悔しがっていた?
翌朝、俺とエンマ様とクーナ叔母様、俺の妻となった6人と共に座禅を組んでみる。明らかに妻たち6人の魔核が発達している。魔核の光の量から見ると2倍以上の輝きが見える。最も顕著に変化があったのはアンナとセリナだ、彼女たちは3倍以上の発達を見せている。
魔臓にあっても、アンナの背中に天使族の象徴であり、魔臓である白い大きな羽が生えた。シオリと3人娘の魔族の象徴であり、魔臓である羊のような角も一回りは大きくなったようだ。
俺はそんなことを考えていると両方の頭に激痛が走る
「グッ!」
と言う声を出して頭を抱える。両方の頭に大きな瘤がある。いつ頭をぶつけたのだろう等と阿呆なことを考えているうちに、その瘤がさらに大きくなり、頭部の皮膚が裂けて、大きな羊のような血塗られた角が生えてきた!魔臓か?魔臓が出来たのだ、その魔臓に向かい勢いよく魔素が流れ込む、魔管も出来ている。魔素が魔臓どころか手足などに流れる脈動を感じる。
頭を抱える俺を見て、エンマ様やシオリ、アンナが抱き抱える。俺の手のひらから大きな羊のような血塗られた角がはみ出してくるのが見える。エンマ様やシオリ、アンナが俺を座らせて、エンマ様が
「今日はやめましょう。」
と言う、アンナは
「大丈夫...?!」
と声をかける...アンナが声を?皆が思わずアンナの口の中を覗く舌が再生している。
俺は魔臓の出来る頭の痛みが引いてきたので続けたいと、皆に行って再度瞑想を始める。魔核から魔管を通じて魔臓を始め体の隅々まで魔素が行きわたる。今までにない凄い感覚が自分の中に生まれる。瞑想をやめ、ストレッチをして、蹴りや突きをして軽く体を動かしてみる。体がとても軽い、動きが違う。
嫁6人を相手にしてみる、今までよりも相手の魔力の動きがはっきりと見える。相手の動作がゆっくり動いているように見える。いくらでも、相手の動きが見えるので6人を瞬殺・・・いやいや殺してはいけない。あっという間に倒してしまう。
外に出て指先に魔素を集めて火魔法、水魔法、木魔法、土魔法、風魔法と順に使ってみる。使えるようだ。今度は指一本づつに火魔法を使えるかやってみると、一本づつ別々に放ったり同時に放ったり出来るようだ。次に指一本づつに火魔法、水魔法、木魔法、土魔法、風魔法と別々に使ってみる。これは上手くは出来なかったが要訓練だ。
丁度、孫狼同士が喧嘩をして血だらけになっている。孫狼に治療魔法をかけてみる、見る見るうちに傷が癒えていく。治療魔法も出来るようだ。
体に魔素を纏わらせて広げていく、範囲や精度が飛躍的に伸びている。倍いや3倍は範囲が広がった。
最後の試しに、失われた魔法、時空間魔法を使ってみる。世界樹のリンゴの木を思い浮かべる。リンゴの木の横に立っている、が・・・魔素切れ寸前だ、湖竜を呼んで対岸まで運んでもらう、その時湖竜は
『今までの御主人様と何か違和感ありますね?あれ、頭に...、角なんて生えていました?』
と言って不思議がっていた。
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