24話 作戦開始

 ♡


 武田の作戦はこうだった。

 私か武田のどちらかが絶賛デート中の彼らを尾行し、もう片方は買い物をする。


 買い物内容は、衣服。


 それぞれ自分の性別とは異なった男装、もしくは女装をして、着替えた後に堂々と「偶然だねー」作戦を実行するのだ。


 外野、すなわち視聴者から「今の服を二人でチェンジすればいいじゃん」と声が上がりそうだが、断言しよう。それはない。


 互いに衣服を交換するということは、同時に服を脱ぎ、つまり下着姿にならなくてはいけないのだ。それだけはあってはならない。絶対に。絶対にだ。


 あれ?そういえば、今日のブラ何色だったっけ?まぁ、私の下着姿で欲情する武田ではないと思うが。


 とりあえず、衣服を買う方向に決まった。


「ジャンケン小僧思い出すなぁ」

「高校生だぞ?小僧じゃないだろ」


 ジャンケンで決まった。


 私がグー。

 武田がチョキ。


「で、どっちがどっち?」

「買った方が先に買う」

「………………ジャンケンの意味あった?」


 ルールを確認しなかった私も悪いけどさ、不正じゃね?


「とりあえず吉良爺よろしく電話で逐一報告する。お前も交代したら、どこに行ったか、何をしているか言え」

「ナニをしているか!?」


 白い目の武田が、「やっぱりこいつ病院行った方が……」って頭の中で言っている。


「とにかくさ、ぱっと見で男だってわかる服で、注目を集めなきゃなんでもいい」

「ナニナニ?注目を集められたら困るの?もしかして気があるとか?もしかして彼氏面?」


 ニヤニヤ。


「……………………フッ」

「お前今鼻で笑いやがったな!?」

「いやぁ〜いっぽん取られたなぁ。山田くん、座布団持ってきてあげて」

「マジで死ねぇ!!」


 立ち上がるついでに食い終わったハンバーガーの袋を丸めて投げる。


 奴にダメージなんてないし、私のイライラも解消されないが、今はいち早く服を買って、都楽くんと話がしたい。


「いってらっしゃーい」

「帰ったら殺すっ!!」


 クソッタレめ!

 男装用の服と一緒に、コスプレイヤーの武田が嫉妬するほど、可愛い服着てドヤ顔してやる。


 ん?あれ、まって?武田の得意分野でドヤるって無理ゲーじゃね?

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