第二章
23話 素トーキング
♤
「臨時緊急会議開始」
「中国語みたいよだね、文字だけ見ると」
「大人はやたら難しい言葉使いたがるからね、って脱線できる余裕はあるんですね砂流さん」
「頭の中めっちゃくちゃこんがらがってるけどな」
いつもの場所いつものメンバーで、いつもとは違う会議内容。
場所はマクドナルド。メンバーは俺と砂流。内容は無論、彼らである。
花の日曜日に、ストレス発散として遊び歩いていき、昼にメイド喫茶で昼食を食べているときに突如発生したこの会議内容。
「会議といっても今回は探偵ごっこだけどな」
「メーデーメーデー!星は三角チ○コパイを食べている模様!今その熱いモノを口の中に突っ込みました!」
どこにモザイク入れとんねん。誤解を招くだろうが。
「砂流隊員!至急お医者さんに診てもらいなさい!」
「拒否します!」
一見ふざけているように見えるが俺たちは大真面目だ。今すぐにでも飛び込んで、彼らの仲を引き裂きたいだろう。
砂流の目線の先、我が席から少し離れた席に、2名の友人が座っている。
都楽龍斗くん。
海鷺華月さん。
我々のお気に入りにして親友と呼ぶべき間柄のお友達は、今日この時、この二人のツーショットを目撃してしまった。
以前訳あって二人の協力を貰いたく、マクドナルドで会った時は、二人は仲が良かったわけでも悪かったわけでもなく、それぞれの友人として呼ばれた雰囲気だったはず。
それが今や、2人とも私服でショッピングをするという、言わずもがな「デート」をしているのだ。
「2人の会話聞こえる?」
「いいや。周りがうるさすぎる」
ピークを超えたと言っても、流石全国チェーン店のマクドナルドである。昼を過ぎても客はぼちぼち入ってくる。
出来れば真横の席で、横目で観察しながら話を盗み聞きしたいのだが、席が埋まっていて斜め後ろになってしまった。
「私だって都楽くんとイチャイチャしたいのにーッ!」
「それで海鷺さんに指一本触れてみろお前。末代まで呪うからな」
もし、仮に、例え、平行世界の可能性として都楽くんがこいつの旦那になったとしても、その確率はかなり低いけれども、運悪く実現してしまっても、都楽くんもろとも俺はこいつを呪うことをやめない。
「おいストーカー。お前都楽くんとしょっちゅういるんだから、二人が知り合いだってのは聞いたことあるんじゃねぇのか?」
「は?都楽くんと仲良くしている人は、私ぐらいしか知らないし、だいたい、彼は人と付き合うのが好きなタイプじゃない。そこに私は魅力を感じたのだから」
「もう都楽くんにも謝ったほうがいいと思う」
俺はついででいいからまず都楽くんに謝れ。
「でもどうするんだ武田?会話が聞こえないならもう、『あっ偶然だねー』作戦で特攻するしか無いぞ」
「今のお前は女子だぞ。『えっ、どちら様でしょう?』で終わりだよ」
「クソッ!こんな事なら中性ファッションにしとくべきだった!」
結構ボーイッシュなファッションだが、生足と胸の膨らみはどっからどう見ても女子だ。
「じゃあどうすんだ?このまま見過ごすわけにもいかないでしょ?」
「………………………俺に考えがある。でも、この案は互いの信用が不可欠だ。守れるか?」
「言え。まずは聞かなきゃ信用できるかわからん」
「新婦、砂流夜麻、あなたはここにいる新郎『都楽龍斗』を、健やかなr」
「誓う」
「………………信用していいんだな?」
「都楽くんの為なら、私は業火に焼かれても、悪魔に魂を売ろうとも後悔はない」
俺は業火でもなければ悪魔でもない。結婚式の時だけ急にカタコトになる神父役だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます