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佳能子は中から一枚取り出し、開いてみた。
するとそこには、彼女の名前があったのだ。
開くことを決めた時点で、半ば予想された結果だった。佳能子は別の票も確認せざるを得なくなった。もう一票取り出して開くと、そこには彼女ではない人物の名前があった。
しかし、佳能子は安堵できなかった。自分を示す票が何票あるのか確認するまで、それが十分に少ないとわかるまでは安堵できるはずがなかった。
職員室へ日誌を届けねばならない。あまり時間をかけると担任教師が怪しんで、教室に様子を見にくるかもしれない。
たった一人だけの開票作業は急がなければならなかった。他人の票を数える余裕はないと考えた佳能子は、自分の票だけを数えた。
佳能子は無意識に、その後の動作も考慮して時間を取っていた。開票自体は数分で済んだ。
結果、佳能子に投じられた票は十五票だった。クラスの人数は四十人だから、学級委員に選任されてもおかしくない票数である。
では、どうするか。
改ざんするしか、ない。
佳能子はすでに、何票減らすか、ということを考えていた。
五票程度残してあとは入れ替えることに決めた。入れ替えるならば同一人物の方が効果が高いだろう。
咄嗟に、二回目に開いた票の名前を書いた。十枚の白紙に名前を書き、折り方も変化をつけた。箱に戻そうとして、総数を数えておこうと考えた。
どこかに票を落としていたら、改ざんが露見してしまう。佳能子は票を数えた。すでにかなりの時間を使っている。そろそろ職員室へ行かねばならない。
焦って数えたからか、票は三十八票しかなかった。クラスは四十人なのだから、四十票あるはずだ。もう一度数えた。
やはり三十八票しかない。佳能子は半狂乱だった。箱の中には残っていない。机の下にもない。椅子を引いてみても、ない。教室中を探し回ったが、なかった。
もう時間がない。一度、職員室に日誌を届けてから探せばいいと気づき、箱を元に戻した。
佳能子は職員室へ急いだ。
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