爆上げからの、いかつい含み損。

午前9時。株式市場が開く。


まずは、順調に1500円から1300円まで、ストンと落ちた。一旦、利確してお金に変える。この時点で、利益は18万円になった。再投資のため、さらに仕掛ける。


元金30万円に加えて、利益18万円。税金が20%引かれて純利益は14万4000円になった。レバレッジを最大にし、空売り玉を作る。【44万4000円】をBETしたのだ。


しかし。ここで思わぬハプニング。謎の「爆上げ」に引っかかったのだ。理由は全く定かではない。株式相場ではこうした現象は良く起こることである。石が浮き、木の葉が沈む。相場に絶対はなく、ありえないことが起こる。


相葉は悩んだが、耐えた。一時期、1600円を超えるまでに上昇。含み損は元本を越えそうになったこともある。


マジか。。。相葉はため息をつくが、泣こうが喚こうが、何もしてはくれないし、どうしようもない。できることは「損切り」をするか「耐えるか」しか無いのだ。


耐えた場合、含み損が増大し、借金になる可能性も高い。しかも空売りの場合、買いと違って損害は天井が無い。いわゆる失敗した時に「買いは家まで、売りは命まで」という投資格言が生まれるに至るわけだ。


少し詳細に解説すると、「買い」の場合は倒産したとしても、「BETしていたお金がゼロになる」だけである。一方「空売り」は、上昇した場合の天井が無い。従って、損失も限定的ではなく可能性としては無限大の莫大な額になってしまう。実際に「ストップ高18連続」という事例があり、株価は538倍に。「買い」で入っていたら、100万円が5億3000万円になっていたが、逆の場合は…考えるだけでも恐ろしい。


こうした事例もあるため、一般的に「空売り」を全力で仕掛けることはほぼ無いと言っていい。だが、相葉は仕掛けた。

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