第12話 寝不足高校生
「あぁ、頭いて」
ぼーっとして落ち着かない思考に、奥に刺さるような痛み。
「完全に寝不足だぁ」
「遊太どうしたん?」
「佐奈ぁ」
俺の言葉を拾ったのは隣の席で呑気に昼飯を喰らっている佐奈だった。
―—あ、ハンバーグうまそう
「ねぇ、遊太どうした」
「ねみぃんだよ」
「だからなんでさ?」
「まぁいろいろ」
―—そういろいろだ。
「遊太、明日試験だよ!」
「わかってる」
「今日......大丈夫?」
「ああ任せろ」
今日というのはつまりは勉強会である。
明日、木曜日の補修に向けた佐奈との勉強会の事なのだがそこまでには落ち着くだろう。残りの授業を睡眠に費やせば。
―—というよりか今は何よりも
「ハンバーグくんね?」
―—腹が減ってしょうがない。
「いいけど、沙月さんは? はい、あーん」
「ん。 あっと」
「え? ちょ、戸惑ってよ」
「うっせ」
正直、沙月ねえちゃんにどれだけやられていることか。もはや空腹の前では恥を超えてくる。
「おい遊太! 何やってんだぁ!!!!」
「佐奈よかったねぇ」
「遊太よかったな」
「うっせぇ」
「うっさいばか!」
教室が沸き立ったのがわかるが勘弁してくれないか。
てか佐奈もそんなムキにならんでいいのに。
「あぁ、もう少しくんね」
「まぁ、いいけど」
卵焼きやおにぎりを貰いながら話すのは明日の試験について。
このワンシーンだけをとればそりゃ高校生の青春に見えるかもしれんがそんな話しではない。
「ねぇ、今日沙月さんのお弁当は?」
「あぁ、まぁいろいろ」
「へぇー、はいウインナー」
「あっと」
―—このことからだが、俺は今日弁当がもらえなかった。
というか完全に沙月姉ちゃんがつぶれてしまっていた。
昨日の夜、あの後酒がガンガン決まった姉ちゃんは晩飯にとコンビニで買った飯を嗜んでいれば追加で酒を飲みだす沙月ねえちゃんを止めようと思っても、いろいろ抱え込んでのやけ酒なので何とも止めらずに気づけば余裕で日付を超えたそんな時間帯。
完全に酔い切った沙月ねえちゃんをベット運ぼうと腕を体に差せば、抱きしめ返されてしまい、酒の強いに匂いと甘い香水の匂い。
それにやけに安心する香り、それに包まれれば俺は抱きしめられたまま、ソファーで眠りにつき朝を迎える羽目になった。
そのあとは作業的で、目が覚めて完全に二日酔いの口臭がアルコールと化してしまったそれをベットに動かせば俺の朝は終わってしまった。
少し早めに出て、コンビニで朝飯代わりに揚げ物を軽くつまんでいけばそれで俺の食事は終わってしまった。
それこそ弁当なんてあるわけはないのに、いつもの癖で弁当があると思い込んでいた朝の俺はどうかしてた。
だから今もこうして佐奈に餌付けされる羽目になってはいるのだが。
「はい遊太、あーん」
「調子乗んな!」
やたら上機嫌でそんなことをしてくる佐奈に軽くチョップを仕掛けながらも与えられるおかずを捕食していけば自然と休み時間と、空腹は満たされていく。
こうして昼休みは終わりを迎えたわけだが、間違いなくわかることは
―—腹もまだまだだし、寝るか。
間違いなく沙月ねえにばれたら怒られるが今はそうしよう。
というか、一から三限までの記憶はほぼないのだが、頼む寝かしてくれ。
よし、四限は英語教師の蛯原。
わかるぞ、みんなどうにか授業参加は任せるぜ。
―—俺は寝る!!
****
「遊太」
―—うっさ、誰だよ。
「遊太!! おきろぉ!!!」
「お、おう!」
突如として頭上に響くそんな怒鳴り声にも似た声に俺の思考は急浮上させられた。
―—てか、佐奈うるさいって。
やけに響く佐奈の声に起きてみればやけにすいた教室にボケた視界がとらえる時計の指針。
―—あれ、てか今って?
「遊太寝すぎ」
「あ、すまん」
授業が完全に終わって、完全下校手前のそんな時間帯。
―—あ、完全にやったわ。
「遊太、大丈夫」
「ああ、大丈夫大丈夫。」
「ほんとにぃ」
疑うような佐奈にそう答えて見せるが体のだるさは変わらない。
だからだろうか
「じゃあ今日、遊太の家でやろうか」
「ああ」
―—こんな誘いにこたえてしまったのは。
―—いや、沙月ねえいるけどどうすんだよ俺!!!
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