第25話 違和感と熱気
扉をやや乱暴にバタンと開けた先に写りこんだのは、
「早尾!大丈…夫……か?ってお前、何してんだ?」
扉を開けた先に写りこんだのは、何ともないようにして真っ直ぐと突っ立っているだけの早尾の姿だった。
もしかしたらリビングか台所かで倒れ込んでいるのかもしれないと最悪の事態・想像を何度も考えてしまっただけに、ただただそこに突っ立っているだけの早尾を見て少し力が抜けた。
「……へ?あー、タカナ氏。どうしたん?」
「いや、お前どうしたん?って、そっちがどうしたんだよ、ぼーっとしやがって。ほら、お茶さっさと用意して部屋いこうぜ?」
ぼーっと気の抜けた返事が返ってきたと思ったら、おもむろに俺のことを逆にどうしたのだと確認するものだからついふっと笑ってしまい、そのまま最初の目的を思い出して勝手に冷蔵庫の側まで歩き勝手に開けてコップも4人分用意し、順番にお茶を注いでいく。
一応氷もと思い、二個から三個程度お茶の入ったコップにぼちゃんぼちゃんと辺りに零れないようにゆっくり入れていく。お茶を注ぐ前に氷を入れておけばよかったなと思いながら、俺もちょっとこの暑さに当てられているかもしれないと、急ぎめにコップをトレイの上に移し運ぶ。
「おら、いつまでぼさっとしてんだ?ほら、行くぞ」
一刻も早くクーラーの効いた涼しい部屋に入りたかったので、早尾を急かす。
本当に何事もなかったように、ふらつくことも虚ろげな目をしているわけでもなく、普通通りに階段を登っていく。
一体何だったんだと思いながら部屋に入った。
数分前にこの部屋にいた時はこれ程涼しいと思わなかったが、今では、「あぁ、ここがオアシスか」と声が勝手に出てしまうくらいには快適な部屋へと変わっていた。
しかし、その中でも南と三浦さんの周りだけは熱気のようなものがたち籠っており、そこだけ温度が高そうだなと思った。
南と三浦さんは既にゲームを用意しており、コントローラーを両手にテレビ画面に食いつくようにして目を見張っている。
画面の中には当然二人の操作するキャラクターが構えている。
カウントダウンが始まり、そして第二ラウンドの開始の合図が鳴った。
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