第23話 元来た道へ

「そいえばさアカリ、ゲームしてたってほんと?」


 三浦さんが先程の会話の1部を思い出したのか南に聞き返した。


「ん?マジだけど?なんで?」


「なんのゲームしてたのかなーって」


 俺も早尾もお互いに深く考えずにそのやり取りを呆然と眺めていた。


「あ、そういえばカリンって弟いたんだっけ?」


 ゲームの話と三浦さんに弟がいることに何か関係性があるのかと思い、三浦さんの方を見た。


「おん。めっちゃゲームしてる弟がいる。私と全っぜん似てない弟が」


 なるほど。と、確かに三浦さんは現代の女子高校生って感じがヒシヒシと伝わって来るわけで、いかにも都市部で遊んでいるような見た目って訳だ。ゲームやアニメなどの娯楽などに親しみは無さそうではある。

 ただ、根は真面目なのか髪は傷んでおらず真っ黒の頭髪が光をキラキラと反射させている。


「あー、でも顔つきは私と似てるから、

 元々はいいんだけどね」


 自分の弟ということだけあって、家では可愛がってあげているのか誤解のないように豪語する。

弟と聞いて、すっかり忘れていたが早尾の妹の件は結局聞かずじまいにしていたなと思った。


 すると、弟がゲームをするという部分に食らいついたのか早尾が食い気味に話に乗っかった。


「三浦さんの弟さん、何のゲームしてるんですか?」


俺も早尾に対して同じように妹は居るのかと聞いてみたくなったが、会話は途切れることなく続いているので、俺がそれを止めてしまうのも嫌なので変わらず大人しく口を閉ざしておくことにした。


「んー、よく分からないけど、剣で敵ざくざく倒してたかなー?一杯出てくるやつ」


 それだけでゲームの趣旨は伝わったようで、「ふむふむ、無双系ですかね」などと1人納得していた。

 無双系と聞けば俺も少しは理解がある。次々にフィールド内で敵がアリのように湧いて出てくるのでそれをなぎ倒し先へ進むゲームだろう。

 話を聞けば少し興味がそそられ、手がうずうずしてきた。やりたい、無双ゲームしたい。なんせ無双ゲームは爽快感が凄い。格闘ゲームと違って敵をバッサバッサと次々にやっつけるのだ。ストレス発散には持ってこいだろう。


 知らない間に早尾がゲームの話から別のゲームの話へとシフトしていた見たいで話題が変わっていた。

 俺はそれをカルピスを飲みながらゆっくりと聞いていた。


 3時頃に食べ初めてもう1時間ちょっと経っており、日差しが斜めから差し込む。

 もう皆満足したのか、もうそろそろ出ようかと話になっていた。

 別々で会計を済ませていき、数時間ぶりに外に出る。

 外はまだ日差しが西側から照っており、東の空は藍色のグラデーションが施されている。



 俺達は元きた道を辿り、早尾の家で今度は4人で遊ぶことにした。

 4人で道に広がって歩くことなど滅多にないことだから少し戸惑ったが、特に人の迷惑になっている訳でもなく、皆楽しそうにしているからこれはこれでいいかと思った。



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