第16話ようやく

ようやく家の中に上がらさせてもらえた。

そのままリビングに通され椅子に座るように指示を受ける。

「はい、勝手に淹れちゃったけどよかった?」

「あっ、ありがとうございます大丈夫です、いただきます」

緑茶がでてきた、暖かくて美味しい。苦味もなくどこかスッキリとした上で甘さがある。

「美味しいです、このお茶。どこのお茶っ葉ですか?」

「そう?よかったわあ。これ静岡のヤツなのよ〜まあスーパーで買えるやつなんだけどねっ」

Vサインもくれた。可愛いなおい今星見えたぞ星がお母さま包んでたぞおい。

「お母さん…恥ずかしいからやめて…」

お茶をスっと啜って顔を赤くする志鶴、なんかちょっと気まずい。なんだろうこの空気。

「でー?なんで急にうちに呼んだの〜?しかもおとこの娘だなんて!あらあらまあまあ」

すごくにこにこしてるなんだろう嫌なヨカーン。

「違うから!別にそういうんじゃないから!」

おっ、顔がさらに赤くなった、可愛げがある…いいなあこれもこれで、うん。萌える。

「えっ?違うの?」

あらッ、空気がふわふわしなくなったな。

「ち!が!う!」

「じゃあなんでわざわざ呼んだのよ」

なんか俺置いてかれてない?二人の世界入ってない?

「あの…」

「それは…色々わけがあったのよ」

「じゃあそのわけってなによ?」

「それはそれは…その…」

「まあ、顔真っ赤よ志鶴!あなた酔ってるんじゃない?」

「なんで高校生が帰ってきてそうそう人家にあげて1人で酔っ払ってるのよ!?飲むわけないでしょう?未成年よ!私は!」

あっ聞こえてないこれダメだ。

というか感情がこんなふうに出るのを見るのは新鮮だな〜いつもなんかクールっぽいもんな。面白いな人の意外な一面とか眺めるの。しかしお茶うめえ。

この人四季は人の一面を見ながら啜るお茶の美味さを知った。

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