第9話 で?どうしてくれるのこの空気
人生の教訓だかなんだか、と言うよりはリアル反面教師にでもなったつもりなのだろうか、「私のようになるな」と藪から棒に言われても佐藤先生の過去を知らなければ何を学ぶにしたって何も無い。
「あ、あはは…」
なんて、薄ら寒いその場しのぎの苦笑がこぼれるだけ。
「あの、その…私のようになるな、と急に言われてもそもそもなんの事やら分からないのですが…」
すごく困った顔で1番聞きたかったけど気まずい空気の中聞けなかったことをバッサリ聞いてのけた
この人は恐れ知らずか?それとも天然か?あるいは好奇心旺盛なやつなのか?
うーん。
「まあ、確かに。保健室を保健室本来の使い方から外れた事をしていたわけでもあるまいしな」
「何を言って…」
あっ、ちょっと志鶴さん顔赤くなってる可愛い
「正直に言うなれば、ただそのセリフが言ってみたかっただけなんだけどね」
「…あっ、あぁ…」
四季は考えるのをやめた、これ以上は馬鹿らしいと。
「はぁ?」
志鶴は考えを続けた、これ以上の意味があるのかと。
「意味なんて何も無いぞ、考えるだけ無駄だ志鶴、そんなに深く考えるとハゲ散らかすぞ」
「言葉遣いがいちいち汚いですね佐藤先生…」
「まあな、そっちの方が君達とは距離が近くて楽なんだ」
「教師とは?」
「んなもん知らん、スマホでもカタカタやれば出てくるだろ」
あぁ…なんで適当な人なんだろう、だからいつまでも独身なんだなぁ…
「なあ四季、お前今すごく失礼な事を言わなかったか?」
たいそう怖い顔で考えをピタリと当てられる恐怖
「イヤマサカソンナコトアルワケナイジャナイデスカーヤダー」
「目が泳いでる挙句カタコトて…わかりやすいなぁ君は」
「先生はそんなに適当だから結婚できないんですね、合点がいきました」
すごくスッキリした顔で生き生きと毒を吐くこの人
「何事も適当にし過ぎると人間堕落してダメ人間になるから私のようになるな、適当はよくないということだったんですね。全て納得がいきました!」
すごく可愛い顔で、その上目を輝かせてここまで人を傷つけるに特化した人間がそういてたまるかよ!
「………」
あーあ、目ん玉ひんむいて口開けたまま気絶してるじゃねぇか…よほど効いたんだなぁ。
そうして保健室にはスッキリして顔を輝かす志鶴と気絶する佐藤先生、それを見て頭を抱える四季、そんなカオスが広がることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます