第8話 あっ、どうも、こんにちは…

カーテンを開けられ硬直する四季しき

カーテンを開け硬直する志鶴しづる

流れる気まずい空気。

のほほんとお茶をすする佐藤先生。


目を逸らすどころか瞬きすら憚られる空気!

すすったお茶で火傷する佐藤先生!


「あっ、どうも、こんにちは…」

ついにこぼれるその場しのぎの言葉

「あっ、どうも、こんにちは…」

勇気を出して四季がこぼした言葉をまさかのオウム返し。

絶体絶命待ったなし。

「君たち仲良しだね。」

見当はずれ甚だしい言葉の一般通過

凍り付く保健室。

「いつまで見つめ合って愛なんか確かめちゃってるのさ」

その言葉をとどめに互いに顔を真っ赤にして勢いよく目を逸らす。

「「別に仲良しでも愛を確かめ合っちゃってなんかないですけどぉ!?」」

綺麗にハもった。ついでに声も仲良く裏返った。

「おー、おー、仲良しじゃんか、いいねぇ…青春だよ、君たち」

勝手に微笑み、最後には勝手に喪失感に浸られた。

あぁ、人は時間と共に何かを得て、何か大きなものを失ったのだろう、と思わせるほどに。

「まあさっきのは冗談さ、真に受けるなよ少年少女よ。ハハハ」

もう怖かった、瞳孔がん開きで虚空を眺めているのだから

「私のようになるなよ、君たちは、さ。」

なにがあった!?すごく気になるけれど絶対聞けない!でも気になる。

声に出せない心の声は自分の胸の中で良く反響した。


どうしよう、気まずい空気がさらに増すばかりか重苦しくなった。

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