第7話 その先に待つのって、なに?

火曜日 職場体験の反決め、場所決めから早一日が経つ。

朝のHRも聞き流し

一時間目、現代文

「ねむっ」

あくびがもう止まらない

朝一番にそれはなかなかに効く


最初はうつらうつらと船を漕ぐにとどまっていたがそれも虚しく気がつけば夢の中。


と、いうことを三限まで、授業と授業の間休みは起きていられるのだが、始まると共に眠気に負ける


シャッキリとはしないまま体育がやってきた

「着替えるのめんどくさー」

つい、こぼれおちた自分の声に少し驚く

心の中でポツリと零したつもりだったが為に。


そんな心ばかりの抵抗虚しく体育館へ

ズルズル、グダグダと足を引きずる。


内容はバドミントン

そこからはまるでベルトコンベアのように流れ作業

コートに立ちラケットを握る、誰が打ったかも不明瞭なシャトルが顔面に突き刺さり保健室へ


「いたぁ…」

綺麗に眉間直撃

保健室の天井を眺めながらサボる口実ができた幸福感とどこかやるせない複雑な気持ちが渦巻く事に不思議だな、と思っていた所でまた1人来客がやってきた


「すみません眉間にシャトルが刺さってしまったのですがここで寝ててもいいですか?」

自分と同じ状況ではあるものの改めて文章に起こすととんでもないな、と思わず笑みがこぼれてしまった

「またですか…とりあえず顔拭いてそこでどうぞ」

保健室の番人佐藤先生は呆れてため息をつく

「ありがとうございま、す?先生今、って言いましたよね、先客がいるんですか?」

「そうよ、あなたと同じ眉間でシャトルを受け止めた子がね。流行ってるの?」

「そんな流行なんてあるわけないじゃないですか…」

「事実あなた含め二人いるんだから少なくとも流行りといっても過言じゃないのよ」

「それは過言すぎます」

「じゃあわざとなの?さぼるための口実ってやつかしら」

「そんなことのために両目をチップに、賭けなんてしませんよ」

「まあどちらにせよゆっくりなさい、場所が場所なだけに当たっただけ、とはいかないんだから」


急に会話が止んだと思った次の瞬間、隣のベッドに人が入るのを音と気配を以て気が付く。


四季は迷った、隣にいる人が職場体験で同じ班の坂原志鶴さかはらしづるだとわかってはいたが果たして声をかけるべきか否か。

同じ班だし、と最初は思ったが気軽に声をかけるような仲ではなく、

「やあ志鶴さん、僕たちシャトルを眉間で受け止めた仲間だね!奇遇だね!あはははは!」なんてとてもじゃないが言えたものではない。

そんなことを今、いきなりカーテンをかっぴらいて言ったとて

その先に待つのは、なんだ?


A.気まずい空気。

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時間割

曜 月曜 火曜 水曜  木曜 金曜

1日本史 古文 体育  公民 英語

2現文  公民 日本史 英語 体育

3古文  英語 LHR 保健 英語

4体育  英語 LHR 現文 

5LHR  

6LHR

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