Ally-24:鮮烈なる★ARAI(あるいは、グッドイナフな/甘栗ボイィズ)
とは言え。
「……す、素手・素立ちの状態から即応対応ば出来るちゅうんが、『A★M★N★C』の実戦に即しちゃるばとこだやし」
名前の突拍子無さとは正反対に、御大流護身術というものは実に理にかなったものであったりしたことが徐々に分かってきたわけでもあって。背後から首を絞められた場合とか、正面から胸倉を掴まれた場合とか、こちらが腕を極められた場合とか、事細かな
「……ええと、巻き付いている相手の右の手首を内側からつかんで……」
そして「修行」二日目からは
「……」
柑橘と何かの花の香りが相まったような、それでいて柔らかな
三ツ輪さんを、背後から軽く抱きしめている……
しかして、またまた御大の神ヅモにより、このような恩恵にあずかることが出来ていることは最早疑いようも無くなってきているわけで、何と言うかそういうところは上に立つべくして立つという
「げ、『元老院』も今ん
最後の比喩は1Åも分からなかったけれど、確かにあれだけの狼藉をカマしておいて、ノー報復である可能性は薄いよね……こちらの手札であるところの××動画にしても、開き直られたら効力を失ってしまうだろうし。バックには何かガラの悪そうなのも見受けられたことだし。
あまりそんな物騒なことは考えたくはないけれど、万が一を考えて、自分の身を守れるくらいにはなっておいた方がいいよね……願わくば三ツ輪さんも守れるような男に……いやまあ今回その心配はまず無さそう。身内だし向こうも手荒な真似はしないか。でもそれ以外でも何が起こるかは分からないし、女子を護るのは元来男子たる者の務め……僕はこれまでにあり得なかったほどの真剣さでこの『A★M★N★C』に取り組んでいる。
そんな、にわかに「団」というか「部活動」のような趣きを呈してきた「1Q85団」であった……もちろん初志(と言うほどのものでもないかもだけど)を忘れたわけでもなく、土曜の11時に秋葉原駅の電気街改札前で待ち合わせということを、「修行」4日目の金曜日に告げられ解散の運びとなったけれど。
充実感……
何と言うか、日々体を動かしていることもあって、最近はよく眠れる。そして昼は栄養のバランスの至極取れた天使のお弁当をいただいていることもあって、体も頭も調子がいい。んんん……そして週末極めてデートっぽい、いや極めてグループ交際っぽいイベントが待ち受けているわけで、これはもうリア充と言っても過言では無い域に達しつつあるのかも知れない……
そんな遠足前のような高揚感に包まれながら、布団の中で当日の緻密な
前述の通り、アライくんと僕の最寄り駅は京急長沢で同じなので、そこから一緒に行くのかと思いきや、わ、
爽やかに目覚めた僕は、二段ベッドの下段からのそのそと這い出すと、カーテンと窓を開け放つ。清々しい、朝である……天気は快晴。五月の、ほどよく冷気を孕んだ風が、僕の期待で火照る体を優しく冷ましていってくれている……
ついつい興奮のあまり、母さんには今日のことを喋ってしまっていたこともあり、朝食の席で冷やかされながらも、じゃあちょっと小遣いでもやんなきゃねえ、と三千円也を臨時で貰ってしまい、思わぬ後押しに恐縮しつつも家を出るのであった。
母さん、今日は何だかいけそうな気がする……
何故か男前になっているだろう顔で振り返りながら、僕はリュックを背負いなおすと最寄駅向けて確かな歩様で歩き出すのであった……いざ秋葉原……ッ!!
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