目覚めし者

「目覚めし者」

(秋那・テーリッツ編)


ガバッ。ベッドから飛び起きた私!また悪夢を見てしまったわ。汗まみれのパジャマ。ドーナツを食べて落ち着くのだ私!御飯ルームへ向かう。味噌汁のいい香りとドーナツの素敵スメル、今日も朝から究極のハーモニーを楽しめる。御飯ルームには既に人がいる。「おはよう、暗黒さん」「もう十二時ですぜ...」

  


暗黒さんとカギヤちゃんが御飯ルームにいた。「ティガー君は?」「アイドルの聖地巡りにいったわ」カギヤちゃんが答える。カギヤちゃんはトンドルの月出身だ。だからカギヤちゃんって呼んでいる。「着替えなせえ、汗まみれですよ」暗黒さんが言う。彼はフォールンエンゼルの唯一の生き残りだ。

  


暗黒さん、暗黒テキーラ昼寝男はセイントメシアクラーケンとともに深海に沈んだ。アームヘッドと完全融合し、世界にあだなす存在となった。故にパパに倒された。しかし融合していたことによりエラ呼吸が出来るようになった彼は地上へ帰還できた、アームヘッドの呪縛からも解放され救助されここにいる。

  

「秋那お嬢さん、また悪夢を見たんで?」「どんな夢なの?」「みんなが死ぬ夢...」「...」みんなの雰囲気が暗くなる。「そのあとの夢」そう、絶滅絶望のあとのジエンドの向こう側の夢なのだ。安眠妨害の...。「大変っすね」「だから頼んだでしょ?」「へ?あっしはこれから昼寝なんですがね」

  


暗黒さんの愛車テキーラカーにのり、街を行く私達。ドーナツの店!「あ、アームヘッドスルー付いているわ!」「目的地はそこじゃないでしょう」「ソールは大きいから入れないね」残念...。ティガー君に頼んで改造してもらおう。そしてテキーラカーが目的地のビルディングにつく。看板には「昼寝道場」と書かれている!

  


受付嬢が夢うつつなのは仕事熱心なのか?そうでないのか?「道場見学を申し込んだ者です」「...、グー...あっはい、...秋那様ですね...」内線で案内を呼ぶと寝た。「あの人、かなりの高段者ですぜ...」そうなのか?「適材適所ではないわね」カギヤちゃんの言う通りだ。「どうも」案内が挨拶する。

  


「ここは人間の意識を睡眠に近づければ近づけるほどアームヘッドの覚醒同調に貢献できるという理念に基づき設立されました」そして不眠治療もついでにしているらしい。「大導師様がお会いするそうです」果たして大導師とは?  


昼寝道場は複数の部屋に別れている。下位段者は布団をひきくらい部屋で寝るが、上位になるとより厳しい条件での昼寝を要求される。しかし更に高位の者は布団に回帰するのだ。昼寝道場の奥ふかさ。だが、カギヤちゃんは気づいた。「ねえ、あなたトンドリアン?」「そうですが」案内が答える。

  


昼寝道場には多くのトンドリアン、トンドルの月の民がいた。この国は多くのトンドリアンを受け入れてはいるがちょっと不自然かな、カギヤちゃんは技術を期待されて来たけど。「大導師様もまたトンドリアンです」そしてグランド昼寝ルームへと着く。「安眠」の書道のなされた掛け軸、その前に睡眠装置。

  


「大導師、オプショナル・ウインドウズ様です」眠り姫めいた女性が眠っていた。「大導師様は2ヶ月ほどお休みになっております。彼女は昼寝を極めしお方ですので」「もう昼寝じゃないですよね、それ」もっともなことをカギヤちゃんが言う。「私に会いたいのに寝てるじゃん」「う、うん。大導師様の脳波に反応?凄いぞ!」案内が興奮する。

  

「予知未来夢って知ってるかしら」え?睡眠装置が開いて?この声は?「大導師様!」動きが速すぎない?「私は起きている時はすごいのよ」大導師が私の目の前に来た。「え、…」「あなた、ネクストエイジを見れるそうね」ネクストエイジの夢…。私は常に悩まされた夢を思い出す。「ええ」「私もよ秋那さん」大導師が答えると不意に意識が飛んだ。

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎


ネクストエイジ、ドン・ヴァルジャニの夢。トドやジュゴンがディバインパニッシュメントが削り取った大地の夢のあとを泳ぐ。文明は眠り、108の魔塔がそびえる。隕石湾の少女ドンは呪われた岩で過去を取り戻し...。世界は悲しみで引き裂かれたのだ。ネクストエイジを産んだ二つの憎しみが!

  


ネクストエイジはなぜ始まった?なぜ!アームヘッド。セイントメシア。セブンシスターズ。ジエンド。ビスケットハンマー。最終反乱。ディバインアームヘッド。全領域支配皇。エクジクト・ナウ。ティガー!◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎


「止めて!」

  


「苦しんだのね...」「一体これはなんなんですか?」「理想を追い求めた結果よ」オプショナルが言った。「理想?」「あなたは全て忘れて、そうすればみんな幸せよ」幸せ...。私は何が起きているのかすらわからない。「忘れなさい、あなたは戦わなくていいのよ」オプショナルがなだめる。

  


「私が一体何をすると言うの!」「落ち着いて秋那ちゃん」「何もしないわ...」私はなんだというの、夢、未来?あれが?「安眠枕をあげるわ、未来を楽しむ方法を探すことね」未来を楽しむ?...。私達は帰った。カギヤちゃんも道場に誘われたようだ。私は少し気負い過ぎたのよ。ゆっくり眠ろう。

  


遥かな未来の夢をまた見た。夢の中で少女ドン・ヴァルジャニは自分のアームヘッドに言った。「かつての英雄、秋那・テーリッツのお話、聞かせて欲しいな、アビス」


「目覚めし者」終わり

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