第17話 呼び出しー春日井 響ー


高校を卒業した俺はガーディアンを引退し、今は大学に通いながら

春日井組の若頭をしていた。


仲間の内、元々側近だった朝陽と律が春日井組に入り、俺の側近と

して今も隣に並ぶ。樹は親の病院を継ぐべく同じ大学の医学部へ、

類は同じ大学だが組には入らなかった。


そんな感じだが、俺達はいつも一緒にいることが多い。


あれから3年が経つが、未だに玲の行方は分からなかった。


俺達の大きな過ちを償うことができる日はくるのだろうか?



そんな日々を過ごしていた時、親父である春日井組組長に呼ばれた。


要件は、竜神会トップである大神組に行くというものだった。


家の春日井組は竜神会のNO.2で大神組とは同盟を組んでいる。


確か、大神組の若頭も俺と同じ歳だったはず、冷酷無慈悲だがかなり

頭の切れる男、既に周りからの信頼も厚くいつでも組を任せられると

言われている。


何年か前に結婚して子供もいると聞いたが・・・。


何となく落ち着かない気がしてくるのは気のせいか?


走り出す車の中には、俺と朝陽、律の3人が乗っている。


前の車には、組長である親父と側近である朝陽の親父ともう一人の

側近、前後を組員の乗る車が護衛する。


車が向かう先は、大神組本家だ。


高速を使い辿りついた場所は有名な繁華街から程近い、大きな日本家屋


門を潜り中に入ると、厳つい男達の鋭い視線が突き刺さる。


生まれた時からこの世界にいる俺でさえ、その威圧感に圧倒される。


これが、竜神会トップなのか。



親父の後に続き長い廊下を進む。


通されたのは広い座敷。


座布団に座り一息ついたところで、襖が開き恐ろしい程の存在感漂わせた

大神組長と同じような雰囲気を持った男、おそらくこれが若頭だろう男と

数人が座敷の中に入ってきた。


これがトップに立つ男なのかと納得する。


そして、後ろに座る若頭の俺に向ける射すくめる程の冷たい視線・・・。


会うのは初めてのはずだが・・・


何故、そこまでの敵意をむけられるのか?


思い当たるふしもなく、俺は困惑していた。



これから知る事実に、俺は自分の甘さとこの世界の厳しさを知る事になる。



そして、一生手に入らない愛しい存在も・・・・。






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