第9話暗闇

小さなことで 気持ちが揺れ動いて

大切な人を傷つけてしまう

わたしのメトロノームの振り幅は 時々あり得ないほど広いんだ

そんな自分の気持ちの変化に ついて行けない自分がいるんだ


いつもなら 笑って流せるくらいの嫌なこと

それが心に引っかかってささくれができる

そのささくれを いじって剥いてしまうのがわたしの癖

ほら、どんどん深くなってゆく

ささくれからの流血を無言で見ていた


暗闇が落ち着くの

自分の存在が消えた気がして気持ちが楽になるの

漆黒の闇は わたしを包んでくれる

隠してくれる

闇にまぎれて深く眠りたい


暗闇よ、一緒に寝よう

ほら、太陽が登ってきちゃう

急がなきゃ 急がなきゃ

光がさす前に 一緒に眠りにつこう


太陽よ、登ってこないで

また一日が始まると思うと

絶望した気持ちになるの

また同じ一日の繰り返しだから


わたしは暗闇に紛れて ずっと眠っていたい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る