6話 カゾク

僕が12歳の頃、父さんはどこかに行ってしまった。母と大ゲンカしたからだ。

原因は聞けてない、聞けるはずがないのだ。その時から、母はおかしくなってしまった。


あの時、僕が初めて母に反論した日、それまでは母に従順だった僕がついに我慢しきれなくなった。夕食を二人で食べている時、なぜか今まで心に留めていたはずの疑問が口から出た。

「母さんはどうして父さんと別れたの?」

「...咲、その話はやめなさい!」

「え、どうしてよ?」

「もう黙って!!私はあの男のことが大嫌いなのよ!!」

「...嘘...そんなの嘘に決まっている!」

僕がそう言うと、母はなぜか泣き出し、

「なんで、みんなみんなが私をいじめるの?」

その時、僕はふと我に返ったような気がした。

「...ごめん」

母の顔を見ずに言った。

「...もう許せない...」

僕はえ?と思い、母の顔を見た。

「咲がそんなことを言うなんて

「母さん...」

そんな時、いきなり母は僕を殴った。それはまるで


それから、僕は心を閉ざすようになっていった...



でも、僕は今わかる。なぜ、母がそんな行動したのか...

母にがあったからだ。

そのトラウマはつい最近、僕が自殺する日の前に見つけたある日記に書いてあった。

『8月2日、私は見てしまった...あの人がラブホテルから知らない女性と一緒に出ているところを。私はそれについてその夜に、彼に問いただした。彼はこう言った。

「気持ち悪いんだよ、お前が俺に対して、甘え言葉でベッドの中に入り込むのがな」

私はショックだった。そして彼とはすぐに離婚した。幸い、咲は連れて行かなかった。これからは私が、咲を守るからね』

僕は死が怖くなった。今まで、ずっとこの苦しみに耐えてきた。その苦しみから抜け出したい。でも、母の僕を『守る』という言葉が心の中で突っかかる。





そして今、僕には僕を助けてくれる彼らがいる。

「・・お前の母も苦しんでる、お前だけじゃないんだぞ!!タートル!!」

僕に向けてクロウが言った一言が胸に刺さった。

なぜ、そのようなことを言ったのかはわからない。でも、何か真っ暗やみのトンネルにやっと光が見えてきたような感覚が湧いてきた。

「・・僕、母さんのこと、本当は大好きだよ...あの時から今、いやこれからもずっと・・・」

僕に力が湧き出してきた。それは光だ!光は体の内から外まで、巡っている。

「母さん、今、助けるね」

僕の目には涙が流れた。今までの苦痛あいじょうがすべてを反発して、一筋の光に変わり、化物ははの心臓を貫き、辺りに優しい光が包んだ。




その光がなくなると、僕たちは倒れていた。

「大丈夫か、タートル。」

アグマが近づいてきて頭を撫でた。

「つらいだろうが、これで更生したのだ。新しい人生が切り開かれた、そう思っておくのが、今のタートル...いや、咲にとって一番ベストなんじゃないかな」

彼はそう言うが、僕はそれほどつらくない。

「僕、やめます...」

その一言は、周りのみんなは驚いた。

「ちょ、何言ってんだ、タートル!!」

僕はまた、新しい人生に向かいたかったけど、やっぱり母さんのことが忘れらない。そのことを他のみんなに伝えたら、少し涙ぐんでいるような気がした。




それから、数年後...

僕をいじめる者はいなくなり、母さんもあの頃の優しい母さんに戻った。

あの人たちが頑張ってくれたのかは、今はもう知らない過去の話だ...






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心の十字架 アカサ・クジィーラ @Kujirra

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