5話 母の優しさ

夢、それは人間の欲望が作り出した世界。



「ここは・・・」

そこは、確かに地下のバーのはずだが、なぜか空気感?そういうのが違う。

咲は目が覚める。彼女の目の前にはケンカしてる仮面をつけた二人の姿があった。

「ほんと、バカなの!クロウ!勝手に起動して。咲ちゃんはまだ、力が回復してないのよ」

アグマも怒る。

「そうだぞ、サッキーはまだ、回復してないのだぞ!それでもMRTかよ」

反省の顔を示す源さん。

「すみませんでした・・」

僕はなんだか、申し訳なく感じてきたので、

「あの・・大丈夫です」

怒りの沸点が冷えた二人。そしてその時生まれた疑問をした。

「クロウさん・・?」

二人はハッとした。

「そうだ、このことを教えてなかったわ」

明らかに花音の声の赤い仮面を被った女性が言った。

「私たちは、MRT。精神更生団よ。」

僕は、精神更生団?と言った。

そしたら、アグマが行ってきてくれた。

「この精神世界、プリズンに住むディーボを倒し、人間の精神を浄化してるのだ。そして、僕たちはこの世界でコードネーム読みで通じてある」

僕はなんで?と、理由を聞いてみた。

「ディーボに名前を聞かれたら、その対応する人間になぜか記憶されるのだ。」

僕はそうなんですねと、言った。

そして、花音が言った。

「私、ラビッツね。よろしく♪」

「この俺、源はクロウだ!!」

「...ホークです」

それぞれラビッツは赤い仮面をして、クロウは黒い仮面。そして、ホークさんは白い仮面をしてる。

「その仮面ってなんですか?」

アグマが答えてくれた。

「我々の力を最大限に出してくれる代物だぜ・・・おっと、サッキーの分も昨日サクッと作ってあるから、つけてみろよ。」

アグマから、黄色い仮面をもらい、つけた。

「よし、じゃあ、コードネームだね・・フォックスはどうかな?」

ラビッツが言った。

「いやいや、咲には絶対、ジェリーだ」

クロウが言った。

「...フロッグ」

ホウクさんが小さく言った。そして、アグマが

「お前らな、俺らのルールを忘れたのかよ...ったく、サッキー、自分で決めてくれ。それが俺たちの規則ルールだからよ」

僕は考えた。僕の力は反発インパクト、今まで受けてきた痛みなどを全て跳ね返すことのできる力。この力であのセクハラクソ野郎を倒したのだ。そして、みんな動物の名前がコードネームになってるから・・・

「...えっと〜タートルでよろしくお願いします」

なぜ、そのようなコードネームにしたのかは分からない。


そして、アグマが黄緑の仮面を渡した。

「これがタートルの仮面だ」

僕は気になった、なぜ仮面をつける必要があるのかと。

「この仮面は、ディーボに顔を覚えさせないためにつける。そうでもしないと、現実世界で大変なことになるからな」

一体どんなことになるのか、と聞いてみたかったけど、今はそれどころではないらしい。そうすると、着いて来いと言わんばかりの顔を示し、このバーを出た。



空は緑、雲なしの快晴だ。

「この天気だったら、ディーボもおとなしくなってるな...よし、今がチャンスだ。お前ら、行くぞ!!」

アグマがそういうと、彼のタイフーンに乗り、どこかに連れていかれる。



五分、僕にとって過酷な空の旅を味わい、着いたのは...

僕の家だった。でも、何か様子が違う。いや、ここは現実世界じゃないから、様子が違うのは当たり前だ。

「さて、出てくるかな」

え、花音、何が出てくるの?と聞きたかったが、怖くて口に出せなかった。

その時だった、大きく雷が鳴ったのは。その雷の音ともに家のドアが開いた。

「出た、みんな準備して」

そこから出てきたのは母さん?だった。

「お母さん!・・」

僕は・・一体、何をするのだ。わからない。そんな時、花音が動いた。

「予言完了、更生成功率90%。行けるわ、クロウ!」

そう彼女が言うと、クロウが何かを叫んだ。

「闇の弾丸ダークブレッド!!」

彼の手から黒くて丸いものが母さんの方へ...いつの間にか、母さんの見た目が変わっていた。それは、あの担任のようだった。

「タートル、辛いだろうが、これが僕たちの使命であり、契約なんだ」

アグマはそう言ったが、僕にはわからなかった。使命?契約?一体、何のことを言ってるのか。

母さんは今まで僕に酷い仕打ちをしてきた。許せない、普通はそう思うはずなんだ。でも、僕の場合はなぜか、そうは思わない。母さんが好きだったのだろうか、今はそう思うしかない。

「・・・殺せない」

その一言に、みんながこちらを向いた。

「サッキー?おい待て、どうした?」

アグマがつい、口を滑らした。あの化け物に僕の名前が知られた。

「サッキー...まさか、咲?」

僕はその場で倒れこんだ。目には涙がある。

「だめ、僕は母さんが好き、たまらくて好きなの。だから、僕には勝てない」

僕は必死にお願いした。そしたら、

「...ごめんなさいね、咲。私..本当はあなたのことが好きだったの。でも、それをうまく自分で表せられなかったの」

僕は驚いた。母さんも苦しんでたのだと...






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