そして舞台の幕があがった 5
どんなものも真実しか見えないから怖がられちゃったって悲しそうに笑ってた。この力はこの先あなたの力になるからってそういってあの子は授けてくれたんだ。だから僕はどんな魔法でも見抜ける」
その話を聞いて、私は泣きそうになってしまった。人のために、尽くすことができてとても心が広くて素敵な人。私もあってみたかったと思ってしまった。もしその子が生きていたらきっと仲良くなれたんだろうなとしんみりしてしまった。でもしんみりしている場合ではない。私の魔法について詳しく聞かないと
「私の魔法について詳しく教えて」
そう伝えると猫は教えてくれた。
「ここからが本題だね。魔力遮断魔法というのはその言葉通り、魔力を感知するとそれを遮断してしまう。つまり、魔力は魔法を使うには必要不可欠なものだから、君は魔法が使えない。あとは干渉禁止魔法と透視防止魔法か。干渉禁止魔法は他人からの干渉を禁止する。これも言葉通りの魔法なんだけど……まあ、他人が解こうと思っても解けないってこと。最後は透視防止魔法。これも名前の通りだね。優秀な魔法使いは透視魔法が使える。これでその人にどんな魔法がかかっているかを確認する。これは大魔法使いクラスじゃないと分らない魔法かな。つまり、君の両親は優秀な魔法使いってことだね」
私はその説明を聞いて自分にかけられている魔法について理解することができた。そして私の両親がどれだけ優秀な魔法使いかも。それが私を苦しめている要因なのに……
私が黙っていると猫がまた話しかけてきた。
「君は苦しんできたんだね。まったく、自分の子どもを好きでもさすがにこれはやりすぎだよね……でも君のお父さんが君に魔法をかけた気持ちもわからなくはない。でも、君の両親が優秀であることは間違っていないよ。僕は伝言を頼まれているからね。君の両親の前の雇い主から。僕はね、別の世界から来たんだ。君が見た扉は、ゲートと呼ばれるもので精霊たちの通り道といった方がいいかな。扉が開いたときに、声が聞こえた? その声は精霊の声だね。精霊たちは仲良しなんだ。ごめん話がずれたね。僕がいたのは、レイヴンルースという世界でそこでは、魔法が日常生活に使用されているんだ。そこの首都である、クレメンスという町から僕は逃げてきた。その世界で僕は幸運を呼ぶ白猫と呼ばれていてね。多分君の両親は以前はそこに居たんだ。でも窃盗事件に巻き込まれて自らその責任を取って辞めこっちにきたというのが正しいのかもしれないねでもそれは濡れ衣なんだ。だから戻ってきてほしいと女王自ら頼まれてしまってね。まあ判断は君の両親に任せると言っていたよ。」
私は、なんとなくそんな気がしていた。私の両親は自分たちの過去について話したことがない。その話題を避けているように感じていたのだ。今の話を聞いて、納得がいった。だから、今まで話してくれなかったんだと思った。でもその話を聞いてやっと決心がついた。私はこの猫と仮契約を結びたいと
「晴れやかな顔をしているね。じゃあ仮契約について話そうかな」
この猫はどうして私の考えてることがわかるんだろう。そんなに私はわかりやすいのかな……
「君は考えていることがなんでも顔にでるからわかりやすいよ。さっきも言ったけど僕と契約するのには名前が必要あとどこかに僕はキスをする。大抵の人は手の甲とかかな。それは見られては困るものだから僕が手袋か何かを渡すことになっているんだ。君はキスとかって大丈夫なの?」
と猫に尋ねられたので少し考えてみることにした。
キスか。まあ大丈夫かな。手の甲くらいならと思っていた。
「うん。大丈夫かな」
「そんなもんなんだね。まあ口にするわけではないしそんなものなのか。君は手の甲でいいの? たまにだけど足にキスしてほしいとかいう物好きもいるよ。理由を聞くとかっこいいからって言ってたけど……まあ君はそういうタイプの人間じゃなさそうだね。言い忘れてたけど、本契約には君の願いを言ってもらうよ。まあ思いついたら言ってくれたらいいよ。そんなに急いでないしね。僕は君と仮契約ができれば今は十分。いい名前考えてよ。僕と君はこれから生涯のパートナーになるんだから」
そう期待を込めた眼差しで猫はリリスを見つめる。
その眼差しをきにしつつリリスは世の中には不思議な人もいるものだな。生涯のパートナーって少し大げさだな。そんなことより、猫さんの名前考えないと。どうしようかな。何にしよう。そうだ! 今日寒いしこの寒さからつけるのもいいかもしれない。名前決めた。
「これはねお母さんから習ったんだけど……確かどっかの国で今日みたいな凍るように寒い日のことをグラシアルっていうんだって。そこからとってラシェはどうかな?
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