第2章 そして舞台の幕は上がった 1

さて、世界は変わりここは、スノーフォリアの雪の森近辺にある住宅街。ここに住む1人の少女に運命の出会いが、訪れようとしていた。しかし、少女はまだ微睡みの中にいた。


 私は、小鳥の囀りで目を覚まし、しばらくの間ベッドの上でぼーっとして過ごしていた。

この世界には、時間という概念がない。あるのは黎明、朝、昼、夕方、夕闇、夜、真夜中というくくりだけ。私が意識を失いかけていると、どこからか声が聞こえてきた。

「リリス・オルコット! 早く質問に答えなさい!」

「はい! ごめんなさい先生今すぐに」

ってあれ? そうだ。まだ家だった。ここは、学校じゃない。あれは、昨日のことだ。私、疲れているのかな……だからあんな夢をみたのかな。私は、さっきまで見ていた夢の内容を思い出していた。猫は、大丈夫だろうか。私は今日、16歳になる。ここスノーフォリアという世界では、16歳になると人生の転機が訪れるとされていて、私もそれを信じている。今日見た夢の中で、1人の男性が出てきてこの世界の成り立ちについて、色々教えてくれけど、私はそんなことより猫のことが、気になって仕方なかった。その男性は猫が、追いかけられていると言っていた。その猫が、どうなったのか今どこにいるのかお母さんに魔法で調べてもらった。でも、どこにも猫の情報は載っていなかった。だけど夢のおかげでいいこともあった。今日の授業で、丁度その事についてやったのだ。だから私は答えることができた。けれど先生は私の言うことを信じてくれなかった……禁書を読んだの!? と叫ばれてしまった。夢で見たって言ったのに……まあ、疑われるのは仕方ないこと。私は魔法が使えない。そして学校が、終わり森に行く道の途中にあるビルには透明なパネルがついている。滅多についていないパネルが出ていて、こんな歌が流れてきた。それは今注目のバンドでガーディアンというらしい。確か曲名はとある世界でのできごとだったかな

♪目が覚めたらそこは異世界だった

しかもそこは森の奥

そこにいても仕方ないから歩き始める

数分歩いて目の前に広がったのは街の景色

けれどその街に違和感を感じたその理由は


全てが自由自在に浮かんでは動く

そこは魔法が存在する最大都市

今まで見たことない景色に打ちのめされその場にたたずむしかない

さらに帰り道さえ分からない


さて君はこの状況についていけるかい?  ♪

この歌詞が聞こえた途端、突然視界が真っ暗になった。そこには、朝から気にしていた猫が歌詞のような大都市を逃げている光景が、浮かび上がってきた。必死にその光景を目で追っていると、頭の奥の方からこんな声が響いてきた。

「大丈夫ですか?」

そんな声がしてふと、我に返ると女の子がこちらを心配そうに覗き込んでいた。

「大丈夫です。少しぼーっとしていただけですから」

と伝えると、その子は安心したような表情をし一緒に来ていたもう1人の女の子と、連れ立ってその場を去っていった。

私は昔、母から聞いた大都市の話を思い出しながらその場を離れた。その話は、今まで誰にもしたことがないのに……こんな偶然あるんだな、それとあの声どこかで聞いたことがあるようなそんなことを考えがら、雪の森へと向かった。その日は稀に見る極寒の日だった。だから、皆は魔法で気温を確認していた。皆の話からすると、今日はなんとマイナス3度通りで寒い訳だ。

私はマフラーと手袋など防寒対策をしっかりして、手袋を取り鞄にしまってからいつも通り、両親には内緒の魔法の練習を始めた。

私は今日マフラーをしていたけど水色の綺麗なマフラーに目を奪われ思わず買ってしまった。まあ、これは今はどうでもいいか。何度繰り返しても成果はあまり見られない。これで最後にしようと諦めつつも木と木の間に向かって杖をかざしてこう唱えた。

『コールシス レイシャルトシスティナ レイベルト アローシス』

そう唱えた瞬間頭の中に声が響く。

“繋がった! やっと繋がったよー”

“お主、妾の声が聞こえるのか? 凄いだろう? 褒めるがよい、いや妾を褒めたたえよ!”

“まーたそんなこと言って……駄目だよ? この子はまだ私達のことを認識・・していないんだから。混乱させるだけだって”

“なんだまだなのか早く認識できるようになればいいのに……”

そんな話声が聞こえた。その混乱のさなか見てみると、見たこともない光に包まれた扉が開いて、白い何かが飛び出してきたので私は思わず抱きしめた。

「危ない! 落とすところだった……」

と小さく呟き、ほっと一息ついてみるとそれは猫だった。そしてその猫は傷を負ってはいたものの何故かその傷は治りかけていた。私はポケットからハンカチを取り出しそれを割いて猫の右足に巻いた。


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