猫の冒険と女王の憂鬱 3

僕はそれを聞いて一言。

`それさ、悪いの貴女じゃない? 人呼吸おいて言わなければ誤解されることは無かったのに……まあいいや、伝えとくよ。でも彼らが今ここに来ることには反対だね……ここは今危険すぎる! まあ一応伝えるけど選ぶのは彼らの自由だよね? それと何故娘のことを知っているの?´

"ええ彼らの判断に任せます。それは御想像にお任せします"

そう言ってきたので、僕は仕方ない伝えてやるかと思っていると、闇の森が見えてきて今にも閉じそうな扉があることに気づいた。最後の力を振り絞って何とか扉の前にまで辿り着いた。

そして最後にこう伝えた。

`そういえば、輸血のお礼言ってなかったから言っとくよ。ありがとう。それと僕はもう扉の前に来たからもう行くよ! それに僕はわざわざ君と話すために残り少ない魔力を使ってあげてるんだから感謝してよね? でも約束は守るよ……だって僕はそう決めているからね! じゃあさよなら。多分またどこかで会うと思うけどね。そういえば君の名前聞いてなかったね。当ててあげるよ。君の名前は「」だよね? なぜ知っているかは教えないよ。君のこと信用しているわけじゃないから。またね´

そう一方的に言い放つと僕は扉の中へそしてどこまでも続いている暗い道へと飛び込んだ。

「何故あの子が私の名前を知っていたの!」

そう私は思わず叫んでしまった。それから私は落ち着かなければと思い直し、今まで見届けていた魔法の鏡の前で一息ついた。あの猫が言っていた名前は私が女王になる時になくした名前だった。この国では女王になると名前が消えてしまう。そういう決まりになっている。あの猫がなぜ私の名前を知っているかはわからなかったけれど、あの猫が生意気だったことは確かな事だと思っていると兵士が慌てて飛び込んでくる。

「女王陛下! 大変です! 幸運の猫の生体反応が消えました! この国の外へと抜け出した模様です! 急ぎ捜索しますか?」

そう焦ったように報告してきたので私はそういえば説明してなかったな……というか幸運の猫が消えた程度でその取り乱す様はどうなんだろうと思いつつ答えなければならないと思い、私は口を開いた。

「探さなくていいわ。私が逃がしたから、それにあの猫に頼らずともこの国の人々は十分やっていけると私は信じています。それとこのことは極秘にしなさい。下がりなさい」

そう言い放つと兵士は敬礼をし下がった。

けれど、私の憂鬱は消えなかった。なぜなら今日は騎士団長であるセレスティナと警察庁総監であるディランが来るから。そんなことを考えていると侍女の必死に止める声が、聞こえた。そして私はその人物が慎重に扉を開け、最後に油断したのか蝶番がペキッという音が目の前で壊れるのを目の当たりにして嘆息した。

すると、その人物は申し訳なさそうに謝ってきた。

「ごめんなさい、女王陛下……壊してしまいました。」

私は前よりかはましになったから、まあいいかそう思っていると後ろから男の人が追いかけてきた。大変そうだなと思っていると彼は怒鳴った。

「セレス隊長! 貴女また扉壊したんですね? いい加減にしてください! まあ少しは加減を覚えたようですから? いいですけど……それより先に行かないでくださいと言いましたよね?」

私は、また始まってしまったと思った。この2人はいつも喧嘩ばかりしているな……また私が直すことになるのかないつも私が直しているのよね。今日は、直してくれるといいなそう物思いに耽っているとセレスと呼ばれた女性が反論した。

「ワイアット、しつこい男は嫌われちゃうんだよ? やっぱり、扉純金にしとくべきだったな」

そう呟いたのを、私は聞き逃さなかった。私は、純金は遠慮してほしいな……私、そこまで偉くないし。それに私は、市民と気楽に話し合える関係が理想だなと思いながらワイアットの反応を見る。

「純金だなんてやめてください! ただでさえ騎士団はお金がかかっていて純金なんかにしたらお金の無駄だって臣下たちに言われてしまいますから」

ワイアットには、その自覚はあるみたいだけどセレスにはないから困ってるんだよね……それに、セレスはいつも突拍子もないこと言い出すからそれをなんとかしてほしいと思いながら言い合いを見守った。

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