猫の冒険と女王の憂鬱 2
そう宣言されたので、僕は輸血の誘惑に負けその声に頼ることにした。
その声の主である女王が言うことにはこの住宅街を真っ直ぐ行くとリーヌ川という川があるらしく、その川沿いを50m進んで川を渡ってまた真っ直ぐ進むとミスト山脈という山が見えてくるみたいだ。その山を越えると、麓に闇の森があってリーヌ川からミスト山脈まで約500mあるようだ。ミスト山脈から闇の森までは20m程で闇の森は闇の精霊の管理下にある場所で、その闇の精霊が10年に1度移動する為に開く扉があるらしい。その扉は開いている時間が短いのため、今すぐに行かないと間に合わない可能性があるということだった。
そして女王はこう言った。
"これだけのことをお教えしたので協力してくださいね?"
僕は面倒くさいことになったけど、ここまで教えて貰ったし、輸血もしてもらえるみたいだから協力しようと思い女王に伝えた。
`分かったよ。協力するよ……っていうか初めから拒否権なかったし……でもその前に説明意味わかんなかったんだけど! そんな何メートル先とか言われてもわかんないよ! 目印とか言ってもらわないと´
“そう言われても困りますね。これが私の説明の仕方ですから……そういえば部下に説明に不向きと言われた記憶が……”
`あるの? なんで説明するときだけ部下に代わらなかったの? もういいよ君に頼むのは、これっきりにする。もう君には絶対頼まない。それに僕が、怪我したのは君のせいだからね? 君が話しかけてなければこんな怪我負ってなかったんだから!輸血は当然だね! でも君は遠隔操作魔法で治療出来ないんだね……僕の友達の契約者はできるのに´
そう呟くと女王は驚いたような声を発し、その人物について知りたそうな声音をしていた。そしてこんな話を持ちかけてきた。
"その人物について、教えていただけませんか? その人物は、有名な結界師であることそれ以外の情報は今のところ私の元には届いていません……これはどういうことか教えて貰えませんかっていうか教えなさい。"
そう矢継ぎ早に質問を投げかけてきた。
`そんなこと僕が分かるわけないじゃん……それに、君に教える訳ないでしょう? そんな命令口調で言われても答えられないよ……でも、君は名前だけは知ることが出来るかもしれないね! ただ情報を、集めるにしても彼女に関しての情報は少ないよ。だから、集められるといいね。それと僕はこれから逃げることに、集中するからそのなんて山だっけ? まあいいや、その山越えたらこっちから話しかけるから、それまで話しかけてこないでよね! ああそうだ、途中で輸血の可能性もあるからしっかりと準備しといてよ? 種類はペルシャだから血液型はB型。まあ、この位物知りな君なら知ってると思うけどね´
僕はそう一方的に告げると逃げることに集中するため、リーヌ川へと向かって走っていった。そして脚を庇いながら、家の屋根などを走りそのまま川沿いを進みリーヌ川へと飛び込んだ。そして溺れそうになりながらもなんとか川を泳ぎきり、山の頂上まで来た瞬間、僕は目眩を感じ倒れそうになり限界が近いと感じた。だから、女王にこう呼びかけた。
`ねえ! 悪いんだけどさ……輸血してくれない? 多分そろそろ限界´
そう伝えると女王は予想してたかのように答えた。
"そう言われると思ってい準備していました。それではこれより遠隔操作魔法を用いて輸血を開始します。『アリーナ・べルーカ』"
そう女王が唱えると、血が身体全体を巡っていくようなそんな感覚に陥った。そして僕は素っ気なく言った。
`ありがとう、もう多分大丈夫。君の願いをいいなよ。仕方ないから聞いてあげる´
そう告げると女王が呆れたように笑うのを感じた。僕はそれを感じながらその願いを山を越え、闇の森に向かいながら聞き取っていた。
それはこんな内容だった。
彼女には以前仕えていた優秀な魔法使いが居た。本名は分からないが、エリと椿と名乗っていた。そんなある時、窃盗事件が起こってしまった。それは彼女の大事にしていた指輪が盗まれるというものだった。彼女は、最初から彼らのことを疑っていなかった。けれど、もういいと言い一息置いてから疑っていないと言おうとしたのにいなくなってしまったらしい。どこから知ったのか分からないが、その彼女には娘がいるみたいなので娘と一緒に戻ってきてと伝えてほしいというものだった。
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