桜桃木眠梨は夢を診る
久音
夢、出会い、停止した時間の中でⅠ
これは夢、なのだろうか。
眼前にぼんやりと広がっているのは、はるか以前に見慣れていたはずの部屋。正面の窓から差し込む
──ああ。あの頃は、ただひたすらに楽しかった。
まだ見ぬ言葉たちと出会えることが、心の底から楽しいと思えた。それなのに。
その日は長く、冷たい雨の降る日だったのを、はっきりと憶えている。
薄暗い部屋。破り捨てられた原稿用紙が
その時かすかに聴こえたのは、小さな声。
窓を叩く
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