第40話 夏祭り4

 「もう一つ気になったことがあるんだよ」


 春斗はまたそんなことを言い出した。何も気にせずに毎日を過ごしているような奴なのに、今日はまた随分と気になりまくっているみたいだ。


 「倉橋に会ったって言っただろう。久しぶりに会って分かった。あいつも多分だけど、お前と同じく変な奴」


 「変な奴?」


 俺と同じく変な奴か、また転生者関連か。いつだったか、おっさんも似たようなことを言って、不気味がっていたな。俺自身も思うところがないわけではない。倉橋は明らかに物語に関与してきている、清川と仲良くなっているところとかな。


 「お前は倉橋の何が特殊だと思ったんだ」


 「なんかな。ふわふわしてるんだよ、存在が。分かるか?」


 「あれか、ふわふわと天使みたいで可愛いみたいな?」


 「違う違う」


 さっきまで、俺の転生云々の話を賢そうに話していたくせに、いきなりふわふわな感じでふわふわを語りだした。


 それでも何とかふわふわを考える。色々と俺のためにこいつも考えてくれているようだから、俺もしっかりとしなければならないのだ。


 ふわふわな存在ってそもそもなんだろう。ふかふかはベッド、ふりふりはお尻、ふわふわは綿毛のイメージだな。


 綿毛みたいな存在ってことか。吹けばどこかに飛んでいきそうみたいな。


 俺が思考の迷宮に突入しそうになったところで、春斗が口を開く。


 「あいつさ、あの容姿だから目立つだろ」


 「小学生の時もそれで有名だったからな」


 「そうそう、そうなんだよ。だけどな、今日会った時、こいつ誰だっけ状態で思い出すのにも時間が掛かったんだよ。お前から倉橋の話を聞いてなかったら思い出せなかったかもしれない」


 「度忘れってことはないのか?」


 「ああ、俺のことは俺が一番良く分かってるからな、それはないない。今はちゃんと倉橋のことを思い出せるし、なんであの時、思い出せなかったのか不思議なくらいだ」

 

 俺はこれまでに倉橋に関して思い出せないみたいなことなかったけどな。俺が鈍感すぎて、全然気にしてなかったみたいなこともあり得るけれど。


 「それでさ、気になるじゃん。だから、倉橋の兄貴に突撃取材してみたんだよ」


 「はぁ?兄貴?」



 どうやら詳しく話を聞くと、倉橋はお兄さんと祭りに来ていたらしい。なんやかんやありながらお兄さんは帰宅の意思を示したようだが、春斗は疑問に思ったことは即解決の精神で、そんな帰宅モードのお兄さんを捕まえたらしい。


 積極的すぎてちょっと引くレベルだが、慎重派の俺にはできないことなので、ここは素直にリスペクト。


 「それで、何か話は聞けたのか」


 「あいつの兄貴はシスコンってことが分かった」


 「あー、そうか」


 なにも成果は得られなかったようだ。


 「まぁ、そんな影響はないかもだけどな、一応あいつには注意しとけ」


 「まぁ、おっけ。気に留めておくよ」


 いままで接してきた感じ、倉橋は悪い奴ではないと思うんだけどな。これで普通に悪い奴だったら、女性不信になる自信がある。




 春斗の単純な興味と、小さじ一杯程度の俺への思いやりによってこれまで適当に考えていた制限についてもなんとなく理解が進んだ。


 結局、春斗をこんな風に巻き込んでしまったわけであるが、春斗自身も結構ノリノリな様子ではある。もう巻き込めるところだけ巻き込んでしまった方が良いかもしれない。


 この世界の普遍的な流れをぶち壊すという面においても春斗の存在はでかい。


 とりあえず、おっさんのIDを春斗に教えておいた。


 鏡花さんの方は本人に確認した後で教えようと思っていたのだが、物欲しそうな顔をして俺を油断させた春斗により強引に奪われてしまった。後が怖い。


 「まぁ、どーんと俺に任せろ。じゃあ、祭り飽きたから帰る」


 そうして春斗は帰っていった。


 どーんと任せても良いものかと、最後の満面の笑みを見て少々不安になった。けれど、俺はそっと目を逸らすことにした。きっと、大丈夫、多分。



 しばらくベンチで休憩をして涼みながら黄昏れていると、ふと自分が何の春斗を探しているのかを思い出した。

 

 清川を探していたんだったわ。


 春斗が言うには、倉橋と一緒にいるとのことだった。さっき、倉橋に注意しておけみたいなこと言ってたくせに、普通に倉橋イベントを置き土産で残していきやがった。


 ベンチから立ち上がり、再び祭りの中をぶらぶら歩きながら探し回っていると、スマホの通知が鳴った。相手は交換したてのボスだった。ちなみにデフォルトで美沙と設定されていた個人名はボスに変更しておいた。


 『清川さん、いたけど』


 おお、ナイスだ。チャットの便利さを噛みしめる。文明の利器最高。


 どうやら話を聞くと、柳谷ボス組と清川倉橋組がかち合っている様子だ。非常に面倒そうな匂いがプンプンだ。


 素早く清川を回収して逃げよう。俺は駆け足でその場に向かう。


 そして、その場所に行くとすぐに清川たちを見つけることができた。というのも、彼女たちが目立っているからだ。無駄に可愛い4人が集まったことで周囲のチラ見をいっぱい集めてしまっていた。それはもういっぱい。


 絶妙に彼女たちから見えないであろうポジション、周囲のロリコン紳士たちに紛れながら、様子を眺める。


 今、あの中に入っていったら俺はロリコン紳士達にリンチにされる。という事でボスにメッセージ。


 『清川だけ放し飼いしてくれない』


 『はぁ?何言ってんの?今、なんかじろじろ見られてて大変なんだから、近くにいるなら助けろ!』


 『その視線は気持ち悪いかもしれないけど、世界で一番安全でノータッチな視線だから大丈夫。怖くない怖くない、多分』


 『余計に怖くなった!何よノータッチな視線って!』


 ボスは興奮していらっしゃる。多分、永遠にこんな感じで会話が進みそうだ。冷静な人にスマホをバトンタッチしてくれないかな。


 『柳谷です。会澤さんから奪いました』


 『あ、良かった。話の分かる奴がいた』

 

 『何よ!私が話の分からない奴って言いたいの!』


 ぐあああ、面倒くせぇぇ。


 助けるって言ってもなぁ。ロリコン紳士たちも別に危害を加えようとはしていないんだよなぁ。無理やり何かするのも理不尽やな。


 彼女たちの様子を確認してみると、さっきのやり取りのことで柳谷とボスは言い合っているようだった。それに伴って、周囲のロリコン紳士達は若干引き気味だった。


 おっと、もしかしたらこれは使えるかもしれん。もっとドン引きさせよう。


 『ちょっと、殴り合ってもらえることってできるか』


 『できるわけないでしょ!』


 『柳谷です。できます』


 ボスは完全お断り状態のようだったが、人目を気にしない悲しいサイボーグこと柳谷は余裕な感じだ。多分、周囲の視線が若干引き気味なことにも気づいてた上での回答だろう。ぼっち道を半端に歩んでしまった故に、人目を気にしてしまう習性が身についてしまっているのかな。


 『いや、殴るは冗談。軽く揉み合いをしてもらうと良いかも』


 本当に殴ってしまっては、彼女たちの友情も壊れかねないので、分かってるとは思うけど一応注意。


 『揉み合うってなによ!変態!』


 あ、これ勘違いしてるわ。そうか、女の子だし揉むって言ったらそっちに繋がるのか。俺の伝え方もおかしかったわい。


 『おっぱいのことじゃないです』

 

 チャットが途切れた。多分、勘違したことを恥ずかしがっているのだろう。文字って難しいね、しょうがないよ。


 『あのー、元気ですか』


 『元気よ!』


 元気そうでよかった。ないすおっぱい。今度おっぱいの揉み合いを頼むときは、勘違いされないように乳繰り合ってくださいって頼むようにしますね。


 『ということで、喧嘩ドン引き戦法で頑張ってください』


 既読がついたので、多分納得してくれた。


 せっかくなので俺も観戦するとしよう。


 軽く背伸びしながら様子を見ていると、柳谷とボスはいつもよりも激しめに言い合っているようだ。


 ボスは気分が盛り上がったのか、柳谷にビンタをしていた。おっと、あれは嬉々としてやってますね。柳谷はそれに対してノーモーションの初見殺し右ストレート。


  軽く揉み合いの話はどこにいってしまったのだろうか。俺も紳士たちと一緒にドン引きだ。


 女性に幻想を抱いていた気高い紳士たちの一部がその場から去っていくのを確認。

 

 その光景を間近で見ていた清川はいつも通りぼーっと眺めている。なんかまた始まったな的な感じにしか思ってないのだろう。


 倉橋は特に気にした様子もなく、周りを見渡している。


 あれ、なんか目が合った気がしたぞ。


 気のせいではなかったようで、倉橋は紳士たちを気にせずに軽やかな足取りで俺の方までやってくる。残念美少女三人組はそのまま取り残されている。


 「照人君ー。そんなところで何をしているのかな。気づいてたなら近づいて来ればいいのに」


 「いや、うーん。あのですね。ちょっとガヤガヤしてたんでね」


 「そうかぁー」


 クスクスと笑いながら、そんなこんなトークタイムをしていると、遅れて残念組がやってくる。それに伴って、残った強靭なロリコン紳士たちの視線も俺に移動する。刺されないように注意しよう。


 「こんな近くにいるならさっさと来なさいよ。私殴られたんだけど!このロボット女に!」


 「先に手を出したのはそっちよ。というか元はと言えば佐藤君のせいじゃない」


 「……照人、やっと見つけた。勝手にうろちょろしないで」


 はい、早速、責められてます。あぁ、逃げたい。でも、清川に対しては反論したい気分である。


 「お前、俺が迷子になったみたいな感じで思っているだろうけど、どっちが先にうろちょろしだしたかには議論の余地があるからな」


 「どっちも平等に迷子で良いんじゃないかな」


 倉橋にそう諭され、どちらも不服の表情を見せるが、大人な俺たちは何とか納得。


 「……」


 とりあえず、ここは無言で成り行きを見守ることにしよう。こんだけいれば誰かが仕切ってくれるはずだ。


 「そういえば、照人。あんた、倉橋さんとも知り合いだったのね」


 「まぁ、同じクラスだから」


 あんたの知り合い女ばっかりねという意味を含んでいそうだったので、咄嗟に言い訳。

 

 「隣の席で、小学校も同じだよ」


 倉橋からも援護射撃が……、いや違うこれ、昔から知り合いですマウントだ。


 「へー、そうなんだ。それにしては仲良さそうに見えないけど。ちなみに私はこいつのチャットID持ってます」


 「……照人君」


 倉橋は俺に向かって手を差し出してきた。スマホを貸せということらしい。怖いので素直にパス。倉橋はすぐに操作を終わらせ、返してきた。


 俺の友達リストにまた美少女が追加されていた。おいおい、これはいつか不幸なことが起こる前兆かもしれん。

 

 「こんな風に照人君のIDはいつでも手に入れることができるんです」


 「それ無理矢理じゃん」 

 

 ボスの時も無理矢理感があった気がしないでもないが、そこは触れないでおこう。あと、倉橋って案外負けず嫌いなんですね。


 二人の相性が最悪なのを確認していると、柳谷から声が掛けられる。


 「会澤さんは、誰にでもあんな感じなのね」


 「あれがボスと呼ばれる所以だ」


 「ふふ、あなたしかそう呼んでないけど」


 柳谷とこそこそと話していると、清川がスマホ片手に話しかけてきた。


 「……私ともID交換して、また今日みたいなことにならないように」


 「あ、お前持ってたのか」


 野に放したら一生迷子になるポテンシャルを持っているポンコツだから、おっさんに念のために持たされていたのかもしれない。


 とりあえず、交換しておいた。それを横目で寂しそうに見ている柳谷の姿も心のシャッターで撮っておいた。ジェネレーションギャップに動揺している昔の人みたいで可哀想でした。いつか、みんなで交換しましょうね。




 一通りガヤガヤタイムを堪能した後、清川がぼそり呟いた。


 「……そろそろ帰らない?もう私、満足」


 「私も帰りたいわ」


 春斗に連れ回されて、疲労困憊みたいだな。ボスに振り回され続けたボスも同様に疲れている。


 「じゃあ、帰るか」


 「聞こえてる!何帰ろうとしてるのよ!まだ祭りはこれからよ」


 ビンタが飛んできたので、体をのけ反らして回避。


 「ちょっと疲れてしまったなぁと思いまして」


 「…‥疲れた」


 「帰りましょう」


 数の暴力で、ボスを圧倒してみる。


 「せっかくみんなで集まれたのに……」


 ちょっと寂しそうなボスに心が揺れかける。咄嗟にじゃあもうちょっと遊びますかの一言が出そうになったが、それよりも先に倉橋が口を開いた。


 「でも奈々ちゃんも疲れてるみたいだし……」


 うとうとモード、いや要介護状態の清川を倉橋が抱き寄せる。あら可愛い。


 これにはボスも強要できない様子だ。可愛い子分を見るような目になっている。ボス攻略完了である。


 そんな感じで、何とか帰る事になった。



 帰り道は途中まで、みんなで帰るという事になり、それぞれを家の近くまで送っていくという事になった。ボスがみんなと別れるのを寂しがっていたので、その処置も兼ねてということだな。


 どうにかこうにか一人ずつ送り出していく。


 現在、道中でお眠り姫になった清川をおんぶしながら、倉橋を送り届けている最中だ。

 

 さっきまでは俺が話さなくても色々と話してくれる人がいたので賑やかな雰囲気が成り立っていたが今は静かな感じだ。春斗に倉橋を気にしておけと注意されたことも相まって、なんか気まずい。


 「今日、春斗と会ったんだよな?」


 「あー、会ったよ。相変わらずだったね」


 「あいつは一生あのまま変わらなさそうだ」


 「あはは、だね」


 春斗の話題に繋げて、思い切って例のふわふわについて聞いてみるか。この気まずさは早めに解消しておきたい。


 「それでさ、俺も春斗に会ったんだけどさ。お前の事、ふわふわな存在って言ってたんだよな。あいつの言ってることだから、特に意味はないのかもしれないけどな」


 「え?ふわふわ?……あー、そういうこと」


 何それと疑問を浮かべる倉橋だったが、その後、納得したような顔で頷いた。


 「どういうこと?」


 「私ってさ印象に残らないというか、人に忘れられやすいだよね。お兄ちゃんにも似たようなこと言われたことあるし。春斗君もそう思ったんじゃないのかな」


 「なるほど?」


 人に忘れられやすいか。こんな可愛い女そうそう忘れないと思うけどな。春斗の認知症を疑った方がまだそれっぽい。


 もしかたら、そういう制限か。春斗が経験したみたいに忘れたとしても思い出そうとすれば思い出せるっていうところも、ガバガバでおなじみの制限っぽさがある。


 これまでの俺だったら、制限を連想した時点でここで自分が転生者であることを沼カミングアウトをしていただろうが、今日の俺は一味違う。賢い感じで問いかけてみよう。


 「お前は何者なんだ?」


 口にだして分かった。めっちゃ中二病感半端ないって。


 「あはは、何そのセリフ。漫画に出てくる人みたい」


 「俺もそう思いました」


 「照人君は私が何者だと思う?」


 質問返しをされてしまった。はて、何者か。正直に答えるのなら、転生者に連なる何かだとは思うけれど、安易に転生者情報を言ってしまうのは自分の首を絞めてしまう可能性があるので、正直には言えない。適当に言っとくか。


 「なんでも知ってそうな女」


 「うわ、なんか性格悪そう。そんな風に私のこと思ってたの?」


 「……いや、うーん。思わせぶりな女かな」


 「それ何者とかそういうのじゃなくて、普通に私の印象を言ってるよね」


 ジト目を向けられつつも、分からないからだと首を振ってこたえる。


 「多分だけど、君が想像しているよりも私、大したことないよ。だから、そんなに怖がらなくても大丈夫。いつもみたいに接してくれたら嬉しいな」


 「分かったよ。でも、結局まだ言えないみたいな感じか」


 「言えないってことはないけどね。秘密の1つくらい持ってないと、君は私に興味失っちゃうでしょ」


 「いやいや、そんなこと……」


 ないと言い切る前に、倉橋の人差し指が俺の唇はふさぐ。


 「思わせぶりな女の子は嫌い?」


 そして、上目遣いの小悪魔ポーズでフィニッシュ。


 「嫌いじゃないです」


 正直、めっちゃしごいてもらいたい。


 そんなこんなありながら、倉橋とは別れたのであった。もやもやとした気まずさはほとんど消えたけど、新しくムラムラ気分を残していった倉橋でした。



 そして、初期パーティのメンバーになったわけであるが、清川は瀕死状態で俺の背中に乗っかっている。


 こいつ普通に爆睡しているんですけど、もうちょっとヒロインらしくあれ。おまけに歯ぎしりもしてるし、もうほんとこいつって感じ。いびきとかだったら一周回って可愛い感じがするけど、歯ぎしりだと日頃のストレスとか大丈夫なのかと心配の気持ちが勝つ。


 常時鳴り響く歯ぎしりのキリキリ音に耐えながら、なんとか清川宅に到着。


 「おい、着いたぞ。起きなさい、ポンコツ」


 「……がぁぁぁぁ」


 ガラガラの唸り声をあげながら姫様は起床した。


 「玄関前で良いだろ?」


 「……私の部屋までで良いよ」


 おい、運ぶ距離伸びた。


 仕方ないので、清川家におじゃまして、ポンコツの運搬作業を行う。ついでに、おっさんにも挨拶しておくか。勝手に春斗にIDを教えてしまったことも言っておこう。


 そんなことを考えていると、目の前におっさん。

 

 「ああ、帰ってきたのかい」


 どこかげんなりして見えるのは気のせいだろうか。


 「うっす。……あの、勝手に春斗、俺の友達にID教えちゃったんですけど、大丈夫でしたか」


 「ああ……、被害は受けてるけど、大丈夫だよ」


 ああ、可哀そうに、大丈夫じゃなかったみたい。あいつ何をしたんだよ。いつも飄々としているおっさんがこのざまとは。


 「僕が頼んだ、祭りっぽい食べ物、焼きそばとか焼き鳥とか色々買ってきてくれた?腹も減ったところだし、食べようじゃないか」


 やべぇ、すっかり忘れていた。清川も小銭が入ったビニール袋以外持ってないし、俺も代わりに渡せるものは美少女のお面しかない。これで勘弁してもらうか。


 「あのですね。戦果はこれだけです」


 「あぁぁぁ、そうかい。まぁ、大丈夫。この美少女お面だけでおなか一杯さ」


 いや、本当にごめんなさい。


 「……私は買ったけど、春斗に全部食われた」


 はじめてのおつかい失敗の原因は、我が親友でした。


 「あぁ、彼か。早速、ブロックしようかな。……まぁ、彼に巻き込まれたのならしょうがないね。チャットで会話をしただけだが、彼のやばさは僕も理解したつもりだよ」


 なんかこのおっさんの反応見ると、鏡花さんのIDをあいつに教えちゃったのまずい気がしてきた。十中八九セクハラしてる。


 しばらくすると、外出中だった鏡花さんも帰ってきた。何故か目を合わせてもらえなかったが、気のせいだと思いたい。春斗ぶっ殺す。



 その後、傷心のおっさんは高級寿司の出前を頼んだ。そして、俺はちゃっかりごちそうになってしまった。食事中はお通夜状態だったが、寿司は最高においしかったです。


 色々な意味でお腹一杯な一日だった。



 



 



 


 


 


 


 



 




 


 


 


 


 

 

 



 


 

 


 


 




 


 

 

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