2章 ~???~

第1話 「フウくんにもモテ期が来てしまったか……」

 ユッキーが案内してきた転校生こと空乃氷華。通称――クー。

 彼女が言い放った俺の元お嫁さんという言葉によってゲーム部のメンバーには激震が走った。

 時が止まるってこういうことを言うんだなって心底実感したよ。

 その空気を作ったクーさんは


『クー、絶対にこの部に入ります。来週からよろしくお願いします』


 そんな感じに笑顔を振りまきながら最後には綺麗なお辞儀をして帰っていったんですけど。

 おかげで暴走モードに突入したユッキーからは質問攻め、シズはその様子をニヤニヤしながら楽しみ、彼女であるリンダはクーに抱き着かれた時に見せていた静かな怒りはどこかへ消してしまったのか無言だった。

 ユッキーの質問に答える形でクーとの関係は説明したものの……。

 リンダの奴、本当に分かってくれたのだろうか。怒っているわけでも嫉妬しているわけでもなさそうな微妙な顔をしていたが。


「……なあおシズよ、俺は週明けからどうすればいい?」


 何でここでおシズさんが出てくるねん!

 と思った方、それは仕方がないことなんだ。だって俺が今居るのはおシズさんの家でおシズさんのお部屋だから。

 ちなみにどんな部屋なのかと言うと整理整頓がきちんとされていてザ・清楚を体現したって感じ。

 まあ可愛らしいぬいぐるみから少し視線を逸らすと、巨乳でスタイルの良い美少女フィギュアがあったりもするんだけど。漫画やラノベが並んでいる棚の一角には同人誌の類もしっかりと存在しているんですけどね。

 俺はおシズさんがオタクであることは知っているし、ここに来るのも初めてではない。だから割と居心地良く思える。

 が……おシズさんのオタク度を理解していなかったり、表面上のイメージしか知らない関わりの薄い層がこの部屋を訪れたらギャップで凄いことになりそう。


「そうだねぇ……まあ今までどおりな感じで良いんじゃないかな」


 せめて俺の方を見て言ってくれないかな。

 ベッドに横になって漫画を読みながら言われると適当に返事してるだけに思えちゃうから。

 というか、足をパタパタするのやめなさい。

 今日はスカートじゃなくてズボンを履いているけども。でも太ももから足先までは露わになって綺麗な白い肌が丸見えなわけで。

 そんな無防備な姿を見せられると俺も男の子だしオタクだから脳裏に妄想が過ぎっちゃうでしょ。

 だからといって襲ったりはしませんけど。

 この程度のことで間違いが起きるようならもうすでに起きてるだろうし。


「本気でそう思ってる?」

「思ってる思ってる」

「本当に?」

「ほんとほんと。というか、そんなに疑うんなら今すぐリンダちゃんのところに行けばいいと思うんだ。ふたりっきりでイチャコラすれば万事解決なわけだし」


 確かにイチャコラ出来れば今俺とリンダの間にある微妙な空気感は解消されるかもしれない。

 けどそれが出来そうにないからこうやって相談しているんじゃないですか。


「なのに昨日今日と私の家に来るとかフウくんって私のこと好きだよねー」


 いやまあ、そりゃあ好きだよ。

 だってあなたは俺の良き理解者であり友達だもの。だから半分くらい別のこと考えていそうな声で返事をされても怒ったりしないわけで。

 というか、まるで俺が自分からおシズさんの家を訪れているように言っているけども……


「俺の記憶が正しければ、昨日も今日もここに来いと言ったのはそちらだったと思うんですが」


 うん、スマホの履歴を見てみてもやはりそうだ。

 それなのに責任転嫁じみた発言はどうかと思う。お前の方が俺のこと好きじゃん。


「それはまあ予定なくて暇だったし、フウくんならどうせ予定もないだろうと思いまして」

「さらりと暇人認定した挙句、暇潰しの道具にするとやめてもらっていいですか」

「え、やだ」


 何故に?


「だってどう考えてもあんな空気感になった後でフウくんとリンダちゃんがデートなんてするわけないし」


 いやまあ、それはそうですけど。

 リンダさんが素直に怒るなり、ヤキモチを焼いてるって反応をしてくれていたならこちらにもやりようはあったんですが。

 何とも言えない反応をされるとどう対応していいか分からないし。

 一応連絡はしたんだけどね。

 でも別に怒ってないとか返ってきたらそれ以上は何も言えないじゃないですか。そこで食い下がる方が機嫌が悪くなりそうじゃないですか。

 それでも食い下がるのは男ってもんだろ。私のことはそんなに大事じゃないのか!

 なんてリンダが思うかもしれないだろ、なんて思った方。

 確かにそう思っているのかもしれない。

 しかし、多少なりともリンダのことを知っている俺からすれば必要以上に食い下がるのは逆効果であることを知っている。

 だってリンダさん、意地になっちゃうタイプだから。あの拳でワンパンにこだわるスタイルを見ていれば何となく分かるでしょ?


「だからって自分の退屈凌ぎに使うのは違くない?」

「別にそれだけのためにフウくんを呼び出してるわけじゃないよ」

「というと?」

「それはですね」


 おシズさんはこれまでと打って変わって真面目に話すつもりがあるのか、読んでいた漫画を閉じて姿勢良く座り直す。

 Vネックのシャツなのでちらりと覗く谷間がエッチぃです。

 サービス精神が強いのか、はたまた俺への信頼の厚さ故か。それとも男の子扱いはしてますよといった発言をしていた気がするが、実際はそんなこと微塵も思っていないのか。

 何にせよタダで女の子の谷間を見れるのってお得感がハンパないよね。

 特におシズさんはこっちの視線に気づいても邪険にしないし。それどころかグラビアみたいに腕で谷間を寄せて強調させてくるし。

 いやはや、マジでこいつは良い友人だわ。真面目に話す気があるのか疑いたくもなってきたけど。さすがの俺もおっぱいより今後のゲーム部の空気感を優先したいし。


「転校生という素晴らしい属性を持ちつつどこか儚げな雰囲気を醸し出す美少女――空乃さんの出現。そんな彼女が我がゲーム部に入部するだけでもこれまでとは違った展開になるというのにですよ。まさかのゲーム内での話とはいえ、フウくんの元お嫁さん。え、これ何ていうラブコメ? みたいな状況になったわけです」


 こいつ、何で漫画を読んでいる時も楽しそうにしてるんだろう。

 確かにネット内だけの知り合いが目の前に現れて、再会と同時に抱き着いてきたりするのを見ればラブコメ感ハンパないけど。俺も立場が違えばそんな風に思いそうだけど。

 でもここで楽しそうに話すのは違うと思うのは俺だけ?

 友達なら真剣な顔で話して欲しいと思うのは俺のエゴですか? 我が侭なんでしょうか?


「そうなればフウくんの彼女であるリンダちゃんにも思うところがあるわけで。いやはや、良かったねフウくん」

「いやいや良くはないから」

「まあ状況だけ見ればそうだけど。そこは視点を変えていただいて」


 どういう視点に変えればプラスじみたことになるん……

 あったわ。俺とリンダという普段はリア充オーラのないカップルだからこそ考えられることはひとつだけありましたわ。


「その顔はお分かりいただけたようで」

「確信してるわけじゃないけどな。というか、あいつのあの顔はそういう類のものだと考えていいのか? 単純に嫉妬してるとかそういう感じには見えなかったんだが」

「それはほら、あれですよ。これまでフウくんの身近に居たのって後輩の丘野さんとか、性転換したドッペルゲンガー的存在の私だけだったじゃないですか」


 俺が性転換したところでおシズさんみたいな美少女にはならないよ。

 まあ内面的なことを言っているんだろうから口には出さないでおくけど。


「それ故にリンダちゃんには危機感みたいなものはなかったわけですよ。イチャコラしててもまたバカやってるとかじゃれ合ってるだけ、みたいな感じで」

「ユッキーからしたら俺とお前の絡みはアウトみたいだけどな。それを許容できるなら今回のことも許容してもらいたいところなんだが」

「許容しようと頑張ってるからあんな顔だったわけですよ」


 さすがはリンダさんの親友にしてライバル。

 俺とは違った方向でリンダさんと腹を割って話したことがありそうなだけに参考になる意見です。

 ただこれだけは言わせて。心の中でもいいから触れさせて。

 その探偵が被っていそうな帽子とパイプみたいな小道具はどこから取り出したの?

 似合ってはいるし、ちょっとドヤってる顔は可愛いんだけど。でも今さ内容的には真面目な話をしているわけじゃないですか。

 シリアスな空気になりすぎないように配慮してくれているのかもしれないけど、別にシリアスな空気になっても俺は大丈夫よ。

 というか、あなたが明るい声で話すからそれだけでシリアスな空気になりにくいのが現状です。だから普通に話すだけで十分です。

 そう思うなら口に出せばいいだろって?

 バカ、相手はおシズさんだぞ。俺のことをソウルメイトとか言ってくるような奴なんだぞ。口に出したところで……

 華麗にスルーされる。

 テンションが上がって話が脱線する。

 真面目にバカやってんだよ! って有無を言わせない勢いで押し切られる。

 そのどれかだから言葉にはしない。こうやって黙って話を聞くのが最も話が進むんだ。おシズさんの小芝居は見てて別に不愉快というほどでもないし。場合によっては可愛い成分の補充にもなるし。


「でも私や丘野さんと違ってあの子はリンダちゃんの知らない子なわけじゃないですか。そんでもってリンダちゃんの知らない頃のフウくんを知っている。さらに再会した瞬間に人目を気にせず抱き着くという行為、それはもう段階までは不明にしてもフウくんに好意を持っているのは間違いない」


 俺の知るあの子はそういうことをするタイプじゃなかったんだけどね。

 俺の記憶の中にあるのは、隣じゃなくて少し後ろを歩く内気で大人しい感じの子だったし。


「フウくんにもモテ期が来てしまったか……感慨深い」

「これから面白くなりそうって感じのニヤニヤ顔で言うんじゃねぇ。まだそういう好意がどうか分からないだろ」

「えー、聞いた限りの経緯だとなかなかの確率でそういう好意だと思うんだけど」


 この経緯が分からない人のために簡単に説明しよう。

 まずクーは友達に誘われる形でVRMMOにデビューしました。ただ右も左も分からない初心者に加えて昔ははっきりと自分の意見が言える方ではなかった。それ故に他のプレイヤーに絡まれた時に対処できないこともあったわけで。

 偶然そんなところを通りかかった俺が助け、友達と同じくらいのレベルに早く近づけるようにあれこれ手伝ったというわけです。

 え、それだけで結婚はしない? 元お嫁さんができるわけないだろって?

 それは仕方がないだろ。だって当時やってたそのゲームは、結婚したプレイヤーに経験値とかにボーナスが入ったりする感じだったんだから。ちょうどクーが始めた頃はそのボーナスが増えるキャンペーン中だったんだから。

 効率を考えれば提案くらいはするだろ。そんで友達に追いつきたかったフーがその提案に乗ったっていう話。それ以上でもそれ以下でもない……はず。


「だからリンダちゃんも不安になってるんじゃないかな。でもフウくんから聞いた印象と今の印象だとズレがあったりするし、今はもうただの初恋の相手とか昔の恩人といった認識になっているかもしれない」


 俺としては是非ともそっちであって欲しいと願うよ。

 話題のひとつとして使われて騒がしくなるだけなら良いけど。ギスギスが発生するような展開はご免だから。

 無論、もしもリンダかクーのどちらかと選ばなければならない状況が来たとしたら迷わずリンダを選びますが。

 だって俺が今好きなのはリンダだから。


「リンダちゃんもこのへんのことを考えてくれていることでしょう。何ならこのへんのことを考えてしまったが故にどうしていいのか分からなくなっているまである」

「おシズさんはよくリンダさんのことがお分かりで。ちなみに俺が何かできることってある?」

「ないね」


 即答。

 ねぇ本当に考えた? 考えてくれた?

 ってツッコミを入れたくなるくらい間がなかった。


「リンダちゃんも一応女の子だからフウくんには見せたくない一面があったりするのです。フウくんの前では自然体でサバサバした自分でいなきゃ、自分勝手な言動をして嫌われたくないとかも思ったりするわけです……多分」


 最後の力のない発言は口に出さなくても良かったんじゃないかな。

 その一言のせいであなたの発言に対する信頼度が一気に下がり始めたんだけど。


「まあまあそのへんは後日このおシズさんがちゃんと確認しといてあげるから。どうせ答えがまとまらなくて連絡してくるのは目に見えてるし。正直めんどくさいなって思うけど相手してあげますよ」


 おシズさんってリンダに対しては割と辛辣なところあるよね。

 まあ誰よりもリンダとの付き合いが長いからってのもあるんだろうけど。


「なのでフウくんは私に深く感謝していいよ。というか、するべき」

「そういう言い方をされると素直に感謝したくなるんだけど」

「元お嫁さんの件でトラブルが起こった時、丘野さんは間違いなくリンダちゃん側に付くよ。そうなったらフウくんは数的不利。ここでおシズさんの好感度を上げておかなくていいのかな?」


 そんなこと言われたら上げるしかないじゃない。

 感謝の言葉を並べるしかないじゃないですか。

 脅して言われるのはどうかと思うけど。でもそれで言われた感謝の言葉で好感度上げてくれるのは優しいとも思うけど。


「とはいえ、私はフウくんの友達であるのと同時にリンダちゃんの友達でもあります。つまり中立の立場、故に問題が起こった際は話を聞いてフウくんが悪いと思えばボロクソに叩いちゃうぞ♪」


 そうだね、おシズさんってそういう人だよね。

 そんなことは分かっていた、分かっていましたよ。でもだからって今みたいな言い回しは良くないと思う。何かこっちとしては裏切られた気分になっちゃうから。

 あと物騒なことを満面の笑みで言わないで。

 それが一番怖いから。あなたの口からボロクソなんて言葉聞きたくないから。


「だからフウくん、悪いことはしないようにね」

「善処します。この若さで死にたくないんで」

「そんな言い方されるとまるで私が物騒な人みたいじゃん」

「ある意味では俺達の中で一番物騒なタイプでしょうが。おシズさんの行動次第ではフウマさんはオコですよ」


 ……ねぇ。

 俺さ、別におかしなこと言ってないよね?

 自分のこと大切にしない行動取ったら怒るよって言っただけだよね?

 なのに何だかおシズさんが頬を赤らめてクネクネし始めたんだけど。


「お前はいったい今何を考えている?」

「そんなこと私の口からは言えないよ。ただ……フウくんからどんなお仕置きをされちゃうのかなって。きゃ……♡」


 お前の中の俺はどういう性癖してんだよ。

 俺には他人にお仕置きして興奮を覚えたりする自覚はないんだが。

 それ以上にさっきまでの真面目な話はどこに行った?

 というか……


「お前とそんなプレイしようものならリンダとの関係が完全に終わるんですが。それにピンクな声を出さないでもらえますか。誰かに聞かれでもしたら誤解されるんで」

「大丈夫、今この家に居るのは私だけだから!」

「あっそう、ならいいんだけど」


 いや良くないから!

 世間一般的にここで終わらせていい話じゃないから!

 と思っている自分もいるが……シズ相手に本気で抗議してもな、という自分もいるわけで。

 とりあえずご家族に誤解とかされないならいいかって思っちゃうんだよね。


「そういやフウくん」

「今度はどした」

「私ね、フウくん好みのおっぱいが書かれてる漫画買ったんだ」


 淡々と言っているように見えておシズさんの顔は


『読む? 読んじゃう? 読んじゃおうよ。ここで読まなくていつ読むの!』


 そう訴えかけてきている。

 何で彼女でもない奴が俺好みのおっぱいが書かれている漫画を買うんだ。

 そうツッコミたい人間はいることだろう。

 だが思い出して欲しい。

 俺の好みなおっぱいということは、おシズさんが好みなおっぱいでもある。その事実を。


「読みます」

「素直でよろしい。ではここへ参れ」


 ここって……そこおシズさんのベッドなんだけど。

 まるでベッドに一緒に並んで同じ漫画を読むって流れに思えるんだけど。


「シズえもん」

「何だい」

「さすがにそれは俺もドキドキしちゃう」

「フウくん嘘を吐いたらダメだよ。これくらいのこと今までに何度もしてきてるはずでしょ」


 いやまあ、確かに似たような経験はこれまでにもありますが。

 でもそれはリンダさんが相手だったりするわけでして。おシズさんの場合もありますが、リンダさんもその場に居たりしたわけで。


「それにいつかはリンダちゃんとくんずほぐれつなイチャコラ体験するんだから。この程度でドキドキしてたら初体験が失敗に終わっちゃうよ」

「俺達からすれば良い思い出になるかもしれないでしょ。というか、それはおシズさんの経験に基づくアドバイスなんですか?」

「キスすらしたことがありませんが何か?」


 何か? じゃねぇよ。

 俺やリンダよりも劣るなら上から決めつけるような言い方はやめなさい。


「そんなことより早くこっちに来なさい。マジでこの漫画、良いおっぱいが描かれてるから」


 一緒におっぱい見ようぜって誘ってくる女の子を皆さんはどう思いますか?

 俺は有りか無しかでいえば有りだね。だって身近にそういう女の子が居るから。

 有りだと思えないなら友人関係よりもワンランク下の付き合いになっているだろうから。

 というわけで、部屋主の指示に従って横に寝そべりたいと思います。


「……何で写真を撮ろうとしてんの?」

「記念に?」


 何で疑問形なんだよ。

 てか何の記念なんだよ。脅しの材料とかに使われそうで怖いから今すぐスマホを仕舞いなさい。


「そういうことするなら帰るよ」

「そういうこと言うなら本気で撮っちゃうよ」

「張り合ってくるな。いいからさっさとおっぱいを見せろ」

「や~ん、フウくんのエッチ。おっぱいを見せろとか……あ、ごめん電話」


 どこの誰か知らないけどナイスタイミング。

 あれ以上言わせてたら人聞きの悪い言葉しか出てきていなかった。

 もしも電話の相手が知っている人間なら今度会った時に褒めてやりたい。

 しかし、俺の目の前で電話に出るということは別に話を聞かれても困らない相手ということなのかね。

 会話の内容的に外に出てこれないかって感じの話をしているみたいだけど。

 でも……おシズさんの顔が凄く面倒臭そうな感じになっている。おシズさんにこんな顔をさせる相手ってある意味すごいよね。尊敬とかはこれっぽっちもしないけど。


「……すまぬフウくん。おシズさんには急用が出来てしまった。すぐに帰って来れそうにもないので今日は帰ってもらえないだろうか」

「おけ」

「返事が軽~い。もう少し残念そうにしても罰は当たらないよ?」

「家族ぐるみの付き合いがあるわけでもないんだから俺が留守番するわけにもいかんでしょ。なら大人しく帰るしかないじゃん。我が侭言っておシズさんに迷惑かけたくないじゃん」

「フウくん、君ってやつは……そんな君にはこの漫画を貸してあげよう。一緒に読めなかった分、私のおっぱいの感触も想像しながら読んでくれ」


 そう言って差し出された漫画を受け取りはしたが……多分おシズさんのおっぱいの感触を想像しながら読むことはないと思う。

 だっておシズさんのおっぱいのこと考えてたら絶対漫画の内容が入ってこないから。現実のおっぱいと二次元のおっぱい、そのふたつを同時に楽しむなんて真似を俺はできないから。

 俺は楽しむならひとつひとつ全力でそれだけを楽しみたい派だし!


「ではフウくん、また学校で会おう!」

「あいよ」

「ちなみにこれからお着替えタイムだけど……覗いてく?」


 覗くわけないでしょ。

 そういう意味も込めて足早に部屋から出て行きました。

 振り返ることもせず家から外に出て自宅に帰りました。

 ちなみにおシズさんから借りた漫画に描かれたおっぱいだけど……

 すごく俺好みの大きくて形の整ったおっぱいだった。さすがはおシズさん、良いものをありがとうって感謝したよ。



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